2014年 4月 No.101
ホームドクター通信

◆当院からのお知らせ

4月になりました。現在、4月下旬でゴールデンウィークにちょっと突入しています。もう4月も終わり。今年も3分の1が過ぎたことになります。時のたつのは早いです。確か昨年も同じようなことを書いていたような。あまり進歩してませんね。

陽春の候とはいえ(現在4月下旬)、まだ寒い日があったりで天候は不順です。
インフルエンザは全国的にほぼ終息しています。しかし、まだ散見されます。
インフルエンザが夏から秋にかけて流行したことがありましたので、また時ならぬ流行があるかもしれません。
新しいインフルエンザのパンデミック(爆発的流行)が危惧されていましたが、今シーズンは免れたようで。しかし、注意は必要。
感染予防のための手洗い、うがい、咳エチケットは習慣にしましょう。 

花粉症の方にはつらい時期です。アレルギー性鼻炎の新しい治療法、舌下免疫療法が6月に保健適応になる予定です。
これはアレルギーの根本的治療になる減感作療法の一種で、今まで注射でしていたものが舌下投与でできるようになったもの。結構効果があるのではないかと期待しています。ただ、医師の方にも処方には一定の条件があり、アレルギー学会の主催する講習会を受けて、ネット上で試験を受ける必要があるそうです。5月10日の土曜日に京都で行われる舌下免疫療法の講習会を受けてきます。このため、10日は11時頃診療を終了します。舌下免疫療法については、後日院内報で書く予定です。

住民健診は今年は5月19日より開始されます。
今回特定健診の自己負担費用は500円です。
忠岡町在住の方、是非健診受けて下さい。

高血圧のガイドラインが変わって、高血圧管理目標が高くなりました。
今まで135/85以下を目標にしていましたが、後期高齢者は150/90でいいんだとか。
戸惑いますね。更に日本人間ドック学会と健康保険組合連合会による健康診断時の判定基準作成のためのエビデンスの見直しで,血圧の基準範囲の上限がこれまでの基準値(130/85mmHg)より高い147/94mmHg
となりました。
まあ、少し様子をみることにしましょう。
私自身は、家庭血圧重視で、やはり135/85を基準としつつ、高齢者はそれほど厳格にしなくもいいというスタンスでいきます。
高血圧ガイドラインについてもまた院内報で取り上げる予定です。

また、月末に院内報を書いています。
もう締め切りをつくることにしました。
次回は5月20日に発行します。6月は10日に。
7月から1日発行とすることにします。催促・叱咤激励してくれる人を探さないと。
今月は在宅医療について書いています。
前回書ききれなかったことの続きです。
5月はアレルギー性鼻炎の新しい治療法、舌下免疫療法。6月は高血圧の新しいガイドライン、7月は糖尿病の新しい薬、治療法について書くよう予定しています。テーマを決めておけば、流石にとっかかりも早いだろう、と思うので。

【休診・診療時間のお知らせ】

当院の都合で水曜日夜を休診にさせて頂いています。
5月7日・14日・21日・28日は夜休診です。


5 月10日(土)午前診療 11:00終了
5 月13日(火)午後診療 19:00終了

御迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

◆アネトス通信

桜の花の美しさが深く胸にしみる季節となりました。
先月、アネトスの郵便ポストを見ると一通の手紙が入っていました。
以前アネトスを利用されていた方の娘様からでした。
手紙の内容は、アネトスで久しぶりにお風呂に入ることができたことや
また以前のようにパン作りができたことを母がとても喜んでいたとの内容でした。
利用者様はI様  虫垂癌ターミナル期  腹膜播種 イレウスがあり
経口からの食事は行えずCVポートから高カロリー輸液を24時間行っていました。腹部にはドレーンが3本留置されておりストーマ管理も必要でした。
病気になる前は、趣味がパン作りで毎日のようにパンを焼いては近所の友人に持っていったりお孫さんと一緒に作ったりしておられたそうです。
T様は利用中よくパン作りの話を楽しそうにされていました。
その姿を見て、スタッフで話し合いパン作りを計画しました。パン作りの器械は真嶋Drが個人的に持っておられたものを貸していただき、アンパン、ソーセージパンなど、利用者様と作りました。I様は、手際よくパン生地にあんこをくるくるっと巻いては悪戦苦闘しているスタッフにパン作りのコツを教えてくれました。焼きたてのパンはとてもおいしかったです。
その週を最後に利用者様は入院された為、パン作りが最後の利用日となりました。I様は、パンは作れても口からの摂取はできません。スタッフの中でもパン作りをしたことが良かったのか、この関わりで利用者様は満足されたのか、いつも考えさせられることでありサービス提供の難しさを感じていました。
そんな中、「自分で食べるというよりは誰かが喜んで食べてくれることが好きだった。スタッフの人達がおいしいと食べてくださったことが嬉しかった」「パン作りをした日に利用日をもう一日増やしたい」と言っておられたことをこの手紙で知ることができました。この手紙を読んでスタッフ一同感謝の気持ちでいっぱいです。お手紙本当にありがとうございました。

◆在宅医療

先月号からの続きです。
在宅医療とはなんらかの理由で病院、診療所を受診できない人のために、自宅で提供する医療のことです。

在宅医療には保険診療上の区分が2種類あって、往診と訪問診療に分けられます。

往診は、患家の求めに応じて医療をすること。
訪問診療は訪問計画をたて、定期的に患者宅を訪れて医療を提供するものです。
実は私のしていることはほとんど訪問診療で、往診はあまりしていません。
というのは急性期の患者さんが、家に来てなんとかしてほしい、と思われても、実際のところ現代の医療状況では急性期医療は在宅では提供しづらく、当院受診してください、とか病院に行ってください、ということが多いからです。

しかし、実際にしていることは訪問診療でも、言葉としては往診のほうが通りがいいため、我々でもよく訪問診療のことを往診するという言葉を使います。
訪問診療には、癌、介護保険対象の高齢者、難病、障害者、小児など様々です。
中には人工呼吸器、中心静脈栄養などを受けながら自宅で過ごされている方がいます。

当院の在宅事情ですが、患者数は大体40名前後、定期訪問を火曜から金曜の午後の時間帯にあてています。
当院の看護師と一緒に行くスタイルです。
当院看護師には訪問スケジュールを組んでもらったり、物品の管理をしてもらったり、訪問看護ステーションとの情報交換してもらってり、更には車の運転もして頂いて患者宅に連れて行ってもらってます。

 自院では訪問看護を持っていないので、すべて外部委託です。
原則、当院が訪問診療にいく患者さんには、訪問看護をつけてもらっています。
連携させて頂いている訪問看護は24時間対応、ファーストコールを受けてくれるステーションで、在宅医療で中心となるのがこの訪問看護の看護師さんです。
患者さんからのコールを受ければ、電話での指示、訪問に行って観察、救急車の要請などを看護師さんが判断して行動してくれます。
主治医連絡は観察後にしてもらっています。

  夜間呼び出しが大変でしょう、とよく言われますが、訪問看護のおかげで平均月3件。
実際に診療に行くのは平均 月1件くらいですが、これを書いている日はたまたま、2件の呼び出しがありました。
でも、こんなことは珍しいです。

訪問診療について

計画的在宅ケア症例の方針は、

  1. 安定した在宅生活を送るための援助
  2. 急変を避けるための予防
  3. 急変時、悪化時は病院での入院加療依頼
  4. 症例に応じて介護保険等を利用して、リハビリ、訪問看護、ホームヘルプなどを導入

などをして在宅でのQOLの向上につとめること、としています。

また、在宅主治医の役割は安定した在宅生活ができているかどうかの評価、入院加療が必要かどうかのみきわめ、後方病院の確保、メディカルコーディネーターの役割、最終的な看取りとなります。

一般的な在宅診療のイメージは、患者さんは介護保険を利用して、介護ベッドを借りて寝ていて、週2-3回のデイサービス、または訪問入浴を利用しています。
家族・ヘルパーによる排泄管理が行われています。
週1回の訪問看護を受け、主治医の訪問診療は1-2週に一度で、共同で体調管理をします。

発熱等あれば、まず訪問看護に連絡してもらっています。
必要があれば訪問して主治医と相談、という感じです。

在宅ターミナルについて

ターミナルの定義は一般に難治性の疾患を患い、現在のあらゆる医療技術を駆使しても治癒の見込みがなく、死期が近い(およそ6ヶ月)と考えられる状態のことをいいます。
この状態で自宅で過ごす方に訪問看護、訪問診療をする場合、在宅ターミナル症例としています。

このときの方針ですが、原則的に治癒のための医療はできません。
主に症状に応じて対処する対症療法がなされ、特に苦痛の緩和に努めます。
症例毎に急変時の対応、自宅での看取り、病院紹介を本人・家族と相談しています。

一般的な在宅ターミナル症例イメージ

病院での退院時カンファ後、退院。介護ベッド使用。必要に応じた回数の訪問看護を受けます。
毎日訪問してもらうこともあります。
訪問診療では、痛みのコントロール(医療用麻薬)、諸症状緩和のための投薬が行われます。

退院後、家族としばらく穏やかな日を過ごしますが、次第に傾眠傾向となり、 食べられなくなります。
呼吸状態低下、在宅酸素を導入することが多いです。
しばらくすると、意識レベル低下し、自宅での看取りとなります。
意識が低下せず、呼吸困難など苦痛がでる場合、鎮静剤を使って少し寝てもらうこともあります。

厚生労働省は、病床数が増えないため、在宅療養、在宅での看取りをすすめようとしています。
私は在宅診療を担当している医療者、家族を看取った経験者として、在宅での医療・自宅での看取りをお勧めしています。
患者家族満足度が高いと感じるからです。

在宅医療を受けるためには

まず、患者本人の在宅療養希望を確認することから始まります。
自宅で過ごしたいという希望があれば、まず家族の協力体制をつくりますが、独居でも在宅医療は可能です。
次にケアマネージャーにはいってもらい、在宅生活の体制をつくります。住宅改修、福祉用具などを行います。
それから、在宅主治医をみつけます。
今のかかりつけ医が自宅に来てくれるか確認してもらいます。

病院にかかっている人は相談員に相談するといいでしょう。

私は泉大津市医師会の在宅担当理事をしており、病院から在宅主治医の依頼のあった人に在宅主治医を紹介する、という業務もしています。
国の推進もあり、今後ますます在宅医療を受ける方が増えてくると考えられます。

家族の方の在宅医療、御自分が最後まで家で過ごしたいなどの御希望の方は御相談ください。


◆編集後記

5月水曜日、午後診療休診します。

※午後休診日:7日・14・21日・28日・30日

午前診療は、通常通り行います。

予約日の調整・変更などご迷惑をおかけいたしますがご了承ください。