2014年 7月 No.104
ホームドクター通信

◆当院からのお知らせ

梅雨の季節です。何か雨が少ないような気がします。
ブラジルでワールドカップが開催中です。
日本は残念ながら、一次リーグで敗退しました。
本田選手が世界一になる、と言ったり、マスコミが煽り立てるので、絶対一次リーグ突破のwaveが日本列島を駆け巡っていいました。
しかし、冷静に考えると前回の院内報にも書きましたが、日本はFIFAランキング46位です。
対戦相手のコートジボワールは23位、ギリシャは12位、コロンビアは8位だったのです。
FIFAランキングでみると、日本はかなり不利だったのです。
しかし、FIFAランキング1位はスペイン、イングランドも一次リーグ敗退しましたので、本当に何があるかわかりません。
これからの決勝リーグも楽しませて頂こうかと思います。
ブラジルかコロンビアが強そうな印象を受けます。
どうなるのでしょうか。それと今回アジアから選出されたチーム(日本、韓国、オーストラリア、イラン)が一勝もできなかったことで、次回のワールドカップではアジア枠が減らされるのではないか、との危惧もあります。
次回のワールドカップに向け、出場枠を巡る今後の議論に、注目が集まります。できれば、アジア枠、そのままにしておいてほしいですね。

STAP細胞について
近日中に英科学誌ネイチャーに掲載された理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーらによるSTAP細胞の論文が、撤回される見通しになりました。
論文を投稿した複数の共同執筆者が明らかにしたものです。
理研は論文が撤回されてもSTAP細胞の存在を調べる再現実験は続ける方針ですが、生物学の常識を覆すとされた「世紀の大発見」は発表から5ヶ月で白紙に戻ることになります。
興奮した分残念です。これから小保方さんも交えた再実験が行われるようですが、なんとか再現してほしいですね。
これがダメなら理研内の研究ユニットが消滅することになりそうです。

変わってiPS細胞は明るいニュースがあります。
ヒトのiPS細胞から神経細胞を維持する細胞を作り、全身の筋肉が動かなくなる難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)のマウスに移植して症状を改善させ寿命を延ばすことに、京都大iPS細胞研究所の井上治久教授らのグループが成功しました。
ALSは運動神経細胞に異常が生じて筋肉が次第に小さくなり、全身が動かなくなる病気で、厚生労働省が特定疾病に指定している。
日本では8500人の患者がおり、9割が40歳以上で発症します。
徳洲会の徳田虎雄先生やホーキング博士が罹患している病気です。
知能は障害されません。私も数人のALS患者を在宅で診療しています。
ALSにはまだ根本的な治療法がありません。
マウスではヒトの胎児から作った神経細胞を移植すると一定の治療効果があると分かっていましたが、安定供給に倫理上の問題がありました。
iPS細胞を使うことで、この問題を解決した治療法につながる可能性が出てきます。
京大のグループはiPS細胞から、神経細胞に栄養を供給する「グリア細胞」のもとになる細胞を作製。
ALSを発症して90日のマウスの脊髄に、作った細胞8万個を注射針で移植しました。といっても注射です。
ALSはグリア細胞が機能しなくなることで運動神経細胞が細くなって症状が進みますが、このマウスでは移植した細胞が新たなグリア細胞に変化。
神経細胞の維持に必要な栄養となるタンパク質も増えました。

 この結果、歩いたり起き上がったりする運動能力の低下を遅らせ、平均寿命も延びました。残念ながら、完治までには至っていません。

 しかし、研究グループは「まだヒトでの応用には時間がかかるが、iPS細胞が有効な治療法になる可能性を示せた」と話しています。

またいろんな病気の治療にiPS細胞が使われるという夢が拡がりますね。

7月も水曜日の夜診を休診にさせていただきます。

7月23日水曜日、ISO9001の審査があります。今回は同じBSiという審査機関から来られますが、今までの方とは違った方が来られるとのこと。
また今回は診療部門の審査とトップインタビューがあり、ちょっと気になっています。
7月23日の診療予約を制限させていただきますので、よろしくお願いします。

夏季休暇のお知らせ
8月15日(金)〜8月18日(月)休診致します。
8月19日より通常診療致します。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

この7月号より1日発行にすることにしました。
締め切りを守る、とゆう精神で頑張ります。

◆糖尿病

今回は、糖尿病に関する最近の話題について書きます。
御存知のように 糖尿病は、放置すると、眼・腎臓・神経などに細小血管合併症を引き起こします。

また、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化症も進行させます。
糖尿病合併症で苦しむ患者さんの数は今なお減少していません。

糖尿病が強く疑われる成人男女が約950万人に上ることが、厚生労働省の「平成24年国民健康・栄養調査結果」の推計で明らかになりました。
総務省の「人口推計」の全国人口を乗じて推計値を算出したところ、糖尿病が強く疑われる人は、前回調査より60万人多い950万人で過去最多でした。

一方、病気の可能性を否定できない「糖尿病予備群」は220万人減の1,100万人で、はじめての減少となりました。

 「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性を否定できない人」の合計は2,050万人ということになります。前回は2,210万人でしたから、少し減ってますね。それでも多いです。

先月記載した本邦における2010年の高血圧有病者数は約4300万人にも驚きましたが、糖尿病も多いですね。

この「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性を否定できない人」の合計は、「平成9年糖尿病実態調査」では約1,370万人であり、この15年の間に約680万人増加したことになります。

日本人における生活習慣の変化、すなわち食生活の変容や運動不足、そしてその結果引き起こされる内臓脂肪の蓄積や肥満が糖尿病患者数増加の重要な原因であると考えられています。

 糖尿病が強く疑われる人のうち、「治療を受けている人」の割合は、男性 65.9%、女性 64.3%であり前回より増加、「ほとんど治療を受けていない人」は、男性 27.1%、女性 31.3%であり、こちらは少し減少しています。
糖尿病となった方が健康で幸福な寿命を全うするためには、早期からの治療が必要といわれています。
いい薬もたくさんでてきたことですので、糖尿の方には是非医療機関を受診して頂きたいです。

ヘモグロビンA1c 7.0未満に
過去1~2ヶ月の血糖の平均値を反映する臨床検査値であるHbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)が新しい基準になってから2年が過ぎ、定着したというか慣れてきました。

これを受けて、日本糖尿病学会は昨年熊本での糖尿病学会にあわせ、HbA1c 7%未満にしましょうという宣言を出しました。

その根拠は昭和62年から平成10年にかけて熊本県で行われた日本人の2型糖尿病患者さんを対象とした熊本スタディにおいて、HbA1cが6.9%未満であれば細小血管合併症の出現する可能性が少ないことが報告されたことです。

また諸外国においては、より大規模な臨床研究が行われ、その結果に基づいて合併症予防のための管理目標値として、HbA1c 7%未満を推奨しています。

あなたとあなたの大切な人のために Keep your A1c below 7% 熊本宣言です。

 Keep your A1c below 7% 熊本宣言

クマモンが印象的です。
当院においても、治療目標を7.0未満にしています。
現在のコントロール目標の表も参考のためにいれておきます。
ちなみに、糖尿病が強く疑われる人はHbA1c 6.5%以上、糖尿病の可能性を否定できない人は HbA1c 6.1%以上、6.5%未満です。

血糖コントロール目標

糖尿病の新しい薬

この数年で新しい糖尿病の薬が相次いで発売されています。
代表的なDPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬についてお示しします。

・DPP-4阻害薬

インスリンは食事を取り、血糖が上がることによって分泌されます。
このインスリンの分泌には消化管で産生されるインクレチンというホルモンが大きく寄与していることがわかっています。
インクレチンは食後の血糖値上昇に伴い腸上皮細胞から分泌され、その中でもK細胞から分泌されるGIPとL細胞から分泌されるGLP-1が中心的な役割を果たします。
これらは膵臓β細胞表面の受容体に結合してインスリン分泌促進及びグルカゴンの分泌抑制により血糖値降下作用を示します。
インクレチンは、食事を取っていない空腹時には分泌されず、インスリンへ影響しません。高血糖時においてのみインスリン分泌を促します。
このインクレチン(GLP-1とGIP)はいずれもDPP-4(ジペプチジルペプチターゼ-4:Di Peptidyl Peptidase-W)という酵素によって分解されます。そのDPP-4の機能を止めてしまえば、インクレチンが分解されにくくなる。
これにより、インクレチン濃度が上昇し、インスリン分泌が促進される。結果として、糖尿病の症状を改善することが出来るということになります。
このようなDPP-4阻害作用を示す薬としてシタグリプチン(ジャヌビア、グラクティブ)、アログリプチン(ネシーナ)、ビルダグリプチン(エクア)、 リナグリプチン(トラゼンタ)、 テネリグリプチン(テネリア)、アナグリプチン( スイニー)この薬が低血糖をおこしにくく、高齢者にも使いやすい薬となっており、最近ではよく使用されます。販売当時はよく低血糖が起こると警鐘が鳴らされました。私も3回ほど低血糖の経験があります。血糖を下げるタイプの薬のSU剤との併用、腎機能の少し落ちた方でよく起こっていました。併用するSU剤の量を下げることで、最近ではあまり低血糖は起こらなくなりました。高齢者の糖尿病の第一選択薬ともなってきています。

SGLT2阻害薬

 こちらの新薬は新しい発想で、高くなった血糖を尿に排泄させてしまおう、という薬です。結果、尿糖が増えます。この薬は、いったん尿に排出された余分な糖質(グルコース)を腎臓が再吸収(尿から血液に糖質を戻す)するのを妨げる形で尿糖を増やし、血糖値を下げ、体重も減少させます。

 この薬は、腎臓内の糖を再吸収する部位である「SGLT(ナトリウム・グルコース共輸送体)2」の働きを阻害し、抑制します。
このため、本来だったら、血液に戻っていた尿の糖質がそのまま尿となって出て行くのです。
また、薬で血糖が減少したことにより、細胞に取り込まれる糖は少なくなり、結果的に体重が減る。この影響でインスリンの効き目が良くなり、インスリンを分泌する膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島β細胞の負担が減って、インスリンの分泌能が回復することが期待されます。
副作用としては、尿糖が増えることから体内の細菌が繁殖するなどして起きる性器と尿路の感染症などに注意する必要があります。使用後に副作用が報告されたので、6月に糖尿病学会は勧告を出しています。

  1. 低血糖がよくおこるので、インスリン分泌促進薬やインスリンと併用する場合には、低血糖に十分留意して、DPP-4 阻害薬の場合に準じてそれらの用量を減じる。
  2. 高齢者への投与は、慎重に。
  3. 脱水を防止すること
  4. 食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には休薬する。
  5. 皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止。
  6. 尿路感染・性器感染に留意すること。
  7. 原則として、本剤は他に 2 剤程度までの併用が当面推奨される。

上記を気を付けながら処方しなさい、ということです。
低血糖が思いのほか起こる、ということはDPP-4阻害薬と同等の効果があるということかな、と期待しているところです。
私はまだ処方したことがなく、もうちょっと世間の動向をみながら処方してみようと思っています。

最後におまけ、というか米国での話題です。

吸入インスリン

塩分摂取測定器

米食品医薬品局(FDA)は6月27日,速効型のヒトインスリン吸入パウダー(商品名Afrezza)を承認したと発表しました。
Afrezzaは速効型の吸入インスリン製剤で、小型のデバイスに充填された薬剤を食事開始から同20分までに使用して血糖コントロールを図る。
同薬を開発・販売するMannKindによると、同薬吸入から12〜15分でインスリンレベルがピークに達し、約180分までにベースラインの値に戻るとの成績が得られている。

2006年1月には米国でファイザーの吸入製剤Exuberaが初めて承認され、この院内報でも紹介したことがありましたが(2006年9月号),従来の注射製剤に比べ高価であったことから,販売不振との異例の理由により承認から1年で企業が販売を中止。
これを機に他企業の開発も停滞したと言われています。ちょっと価格までは調べられなかったのですが、今回はどうでしょう?普及が期待されます。
日本での承認はまだまだ先でしょう。

 

◆編集後記

7月の休診のお知らせ

 

水曜日は午後休診させていただきます。

午後休診日:2・9・16・23・30日
※午前中は通常通り診療いたします。

ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願い致します。