2014年 8月 No.105
ホームドクター通信

◆当院からのお知らせ

暑中お見舞い申し上げます。
梅雨があけ、夏本番です。梅雨明け後に台風の接近があったりして、天候はまだ不順です。
今年の夏も暑くなるようです。
熱中症には十分注意してください。

もう随分前になるような気がしますが、サッカーワールドカップ、ドイツの優勝で幕を閉じました(平成26年7月14日)。
日本は残念ながら予選リーグ敗退。
私は続く決勝リーグは朝早くからテレビでみており、ブラジル(特にネイマール)を応援してました。
7月5日のコロンビア戦でのネイマールの負傷・腰椎骨折はかなりショッキングな出来事でした。
さらにショッキングだったことは、7月9日の準決勝でブラジルがドイツに1-7で敗れたこと。
こんな大差がつくなんて、考えもしませんでした。
私がこれほどショックを受けるのですから、開催地ブラジルの人たちの気持ちはいかばかりか、と思われます。歴史的大敗、まさに悪夢だったことでしょう。
ネイマールがいたら、全然違った試合になったと思われます。
でも、勝負事、何があるかわかりません。
また、4年後を楽しみにしたいです。
日本の次の監督も決まったようですし。
また、別のニュースですけど、このブラジル大会を率いたザッケローニという監督は選手からとても慕われていたようですね。また、エピソード収集します。

ISO9001の審査
7月23日水曜日、ISO9001の審査がありました。
午前中の予約診療をしませんでしたので、ご迷惑をかけた方もおられると思います。
また、ご協力いただき有難うございました。
無事審査は終了し、ISO9001の認証が継続されました。
今回も同じBSiという審査機関から来られましたが、今までの方とは違った女性の方が来られました。
また今回は診療部門の審査とトップインタビューがあり、いろいろな気づきがありました。
診療においては同意書や手順書をもう少し整備しておいたほうがいいというアドバイスを受けました。
看護や事務と考えたいと思います。
トップインタビューでは、改めて、何故ISO9001を長年にわたりとっているのだろうという初期の思いを再確認することができました。
10年前、ISO9001を取る目的な顧客満足度の向上のため、でありました。
顧客すなわち患者さん(患者だけではなく、業者とか連携病院もはいるのかもしれませんが)の満足度の向上を目指してこの認証を受け、継続させることを決めたことを思い出しました。認証継続のためのシステム作り、改善の仕組みなどをつくって診療所のとしての向上をスタッフみんなでしていきます。
今回のインタビューで久しぶりに思い出すことができました。初心忘るべからず、ですね。

7月中でしたが、とても暑い日に熱中症での死者が出た、というニュースが流れました。
今年も暑いようなので、熱中症には注意が必要。
暑い日が続くと、体がしだいに暑さに慣れて(暑熱順化)、暑さに強くなります。
暑熱順化は、日常運動をすることによっても獲得できます。
日頃からウォーキングなどで汗をかく習慣を身につけて暑熱順化していれば、夏の暑さにも対抗しやすくなり、熱中症にもかかりにくくなります。
熱中症の危険率が年々高まるのは、65歳以上の高齢者です。
これまでのデータ分析により、高齢者は気温35、36度付近で急激に発症する傾向があります。
高齢者の方は遠慮せずエアコンを使うべきだと思っています。
若い人は涼しい恰好をして、水分・塩分を十分とり、エコな涼感グッズを使って我慢しましょう。

熱中症以外の夏の注意事項(毎年書いていますが、懲りずに今年も)

夏バテ予防:
ビタミン・ミネラルを十分摂って、規則正しい生活を心がけましょう。冷たいのみものの摂りすぎにも注意。
食中毒:
細菌をつけない・ふやさない、殺菌する。が予防のポイント。
清潔・迅速に食材を保管調理する。
保存には冷却を、調理は加熱を心がけてください。
紫外線対策:
日傘,帽子,長袖,長ズボンなどにより,皮膚に到達する紫外線を減らすように。
野外での活動は日焼け止め(サンスクリーン剤)を塗ります。

以上、気をつけて、楽しい夏を過ごしましょう。

8月号は8月1日発行を目指していましたが、諸般の事情で8月6日発行になってしましました。

休診のお知らせ
8月の水曜日、午後診療休診します。
午後休診日:6日・13日・20日・27日
夏季休暇:8月15日(金)〜8月18日(月)休診致します。
8月19日より通常診療致します。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

現在、ネット予約システム入れ替え中のため、ネット予約が利用できません。
大変ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、
ご予約の際は、お電話お願いします。

◆フレイル

少子高齢化に伴う諸問題の一つに、わが国においては要介護状態にある高齢者数が増加し、介護及び介護予防サービスに要する費用は8兆円を超えていて、予算を逼迫していることがあげられます。
今後もこの介護に関する費用は増大が予想されます。
このような社会における高齢者の医療としては、単なる生物学的寿命を延長するのではなく、生命の質も視野に入れた健康寿命(介護の必要なく過ごすことのできる期間)の延長が重視されています。
要介護状態になるのをできるだけ食い止める必要がでてきているといえます。
脳卒中などでは、健常状態から一気に要介護状態に落ちることがありますが、一般的な高齢者は健常状態から要介護状態になるまで、一定の中間の期間があります。
この時期を欧米ではFraility(フレイルティー)とよんでいます。
Frailityは弱さ・虚弱という意味の英語で、欧米では既に20年程前から、医療現場で使われている言葉ですこのたび、日本老年学学会は健常者から要介護者に至るまでの中間層、欧米のFrailityにあたる部位をフレイル、と命名しました。
フレイルの状態像は、介護が必要とはいえないが、筋力や心身の活力が低下した状態といえます。フレイルの位置づけ
そして平成26年5月、日本老年学学会が声明文を出して、「高齢者の多くは、“フレイル”の段階を経て、要介護状態になるので、フレイルの早期発見をして対処することが必要だ」と医療・介護関係者に呼びかけました。
フレイルの位置づけですが、図にすると、長寿医療研究センターの高齢者総合診療科の先生が作成された図が参考になるので、提示します(フレイルの位置づけ)。
縦軸は身体の予備能力を表し、横軸は加齢という時間軸を示します。
加齢が進むにつれ、身体の予備能力は低下し、一定以上に低下すると、日常生活に介護が必要になっていきます。
そして多くの場合、その経過の中で、自立した生活をできているけれども健康障害をおこしやすい、身体の機能が低下した時期が訪れます。この時期は、健康寿命の範疇ではありますが、要介護状態の前段階でもあり、いわゆるグレーゾーンと考えられます。
この脆弱な状態を、老年医学的にはフレイルと呼び、早期に発見し適切な介入をすることが重要であると考えられています。

フレイルの定義

 

日本にはまだ診断基準が無いので、アメリカで使われている方法を紹介します。あなたはフレイル?
図あなたはフレイル?

  1. 体重減少 (日本人の体格だと、1年間で2〜3kg減っていたら要注意)
  2. (最近、以前より)疲れやすくなった
  3. 筋力の低下 (握力の低下、例えば、買物で2gのペットボトルなどを持つの が大変に)
  4. 歩くのが遅くなった (横断歩道を青信号の間に渡るのが難しくなった)
  5. 身体の活動性の低下 (最近、趣味のサークルに出かけたりしなくなった)

この中で3つあてはまったらフレイルの疑いがあります。
日本では上記に加えて、認知機能、社会的な環境(たとえば配偶者などを先に亡くした、独居etc)などを加味した日本のフレイルの評価方法を学会として策定する方針です。

 

フレイルの悪循環フレイルの悪循環

まず、「体力や筋力が低下」します。
すると「日常の買い物にも出かけるのがおっくうに」なります。
その結果、「人と接する機会が減ったり、食生活がバランスを欠いたものになって」、「ますます体も衰え」さらには「判断力・認知機能」いわゆる頭の働きも低下、といった悪循環が起きる、これがフレイルの悪循環・フレイルサイクルです。
このフレイルサイクルは健康寿命を阻害する病態として注意が必要です。
このモデルの中では、「低栄養」と「サルコペニア(筋肉量減少症)」が中核として位置づけられています。
数多くの消耗性疾患が引き起こす「低栄養」や「サルコペニア」はすべてフレイル状態の増悪を招きます。

 

フレイルの頻度

国立長寿医療研究センターの調査によると、愛知県大府市に住む65歳以上の高齢者約5千人(脳卒中などの持病がある人を除く)のうち11%が上記アメリカの基準の5つのうち3つ以上に該当したという。
これを全国に当てはめると、およそ300万人、フレイルの方がいる、という計算になります。
介護保険の要支援状態を考えると約450万人という試算もあるそうです。結構多いといえますね。

フレイルの予防フレイル予防法

学会のワーキンググループ代表を務めた、京都大学の荒井教授が提案している、予防法を提示します(フレイル予防法)。
この中で、特に運動と食事が重視されています。
運動としては、高齢者では、ウオーキングなど無理のない範囲で運動するのが効果的です。
ある研究では、要支援・要介護、認知症などの予防には1日5000歩を歩き、そのうち7分30秒は早歩きすると効果があるという。
研究結果をふまえ、フレイル予防もこの数字を目安に考えるのがよさそうです。
また、フレイルに陥った人には筋トレも大切です。
最近は高齢者用の運動プログラムを組むジムも増えている。
自治体の中には商店街の活性化とウオーキングを結びつけ、高齢者が外出しやすい環境を整える動きもある。
こうした仕組みを有効活用するのもよいだろう。

食事ですが、糖尿病などの持病がある人は悪化しないよう気をつけつつ、肉や魚、乳製品、大豆などの良質なたんぱく質を含む食品を75歳以上になっても積極的にとることが重要です。
特に「体重が減った人は高たんぱく食品を中心に しっかり栄養をとるようにしてください。
ビタミンやミネラルの摂取も効果的です。
予防法の3-6は主治医と相談するのが良策のように思います。

 

以上、新しい健常状態から介護状態に至るまでの新しい概念フレイルを紹介しました。
なるべく長い健康寿命を送るため、参考にしていただきたいと思います。

◆編集後記

休診のお知らせ

8月の水曜日、午後診療休診します。
午後休診日:6日・13日・20日・27日

夏季休暇:8月15日(金)〜8月18日(月)休診致します。
8月19日より通常診療致します。

ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。