2014年 11月 No.108
ホームドクター通信

◆当院からのお知らせ

早いもので、もう11月になってしまいました。
今年も残すところあと2カ月。
ハロウィンが終わると、町はクリスマスムードです。
介護施設もクリスマス向けの装飾をしていました。
寒暖の差がまだ激しいので、体調には十分注意して年末年始を迎えるようにしてください。

水痘ワクチン予防接種が10月1日より定期化されています。また、肺炎球菌ワクチンの助成も始まっています。
町からお知らせの葉書が来た方が対象ですので、またお申し出ください。

インフルエンザ予防接種

10月1日よりインフルエンザ予防接種を行っています。
1回2500円、2回目は2000円、忠岡町在住の65歳以上の方は1000円です。
一昨年からWHO推奨を受けて、3歳以上13歳未満は成人量と同じ0.5mlの二回打ちを推奨しています。
13歳以上は0.5ml接種、一回またはおよそ1-4週の間隔をあけて2回となっています。
インフルエンザワクチンは打てば必ず発症がおさえられるというワクチンではありません。
その役割はかかりにくくすることと、かかっても免疫があるために重症化しないこと、です。
ワクチン接種により死亡者や重症者を減らすことが期待されています。
ワクチンの予防効果持続期間はおよそ5カ月と推定されています。
ワクチンの接種を受けていても、日頃から手洗い・うがいをきちんと行い、流行時期は人ごみをさけて感染機会を減らすことが大事です。

11月に入ってからですが、厚生労働相は、東京都内で開かれていた認知症問題をめぐる主要7カ国会議で、認知症対策の新たな国家戦略を年内に策定する方針を表明しました。安倍首相の指示を受けたもので、来年度予算に反映させるとのことです。
厚労相は会議で「最も早いスピードで高齢化の進む日本が、認知症施策のモデルを世界に示す」と意欲を語っていました。
新戦略は、厚労省が昨年度から始めた「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」に代わるもので、省庁横断的な内容となる。
厚労相は、戦略策定によって、認知症になっても住み慣れた地域で暮らすことができる体制を構築すると宣言。
先月特集で書いた地域包括ケアシステムの実現に向けたものと思います。
具体的には、▽早期の発見・治療に向けた介護と医療の連携▽就労や社会参加への支援▽治療法の研究開発−などに取り組む考えを示した。
医師会中心の地域包括ケアシステムに取り組む者として、どのような戦略が提示されるか、興味のあるところです。
来月号で結果書ければいいな、と思っています。

事故に遭ったのが昨年の11月11日でしたで、もう一年たつことになります。
昨年の事故後、一ヶ月は松葉杖生活だったなと思い出すこともあります。
足の手術後はプレートはまだ入っており、運動時に多少の違和感はありますが、激痛といったものはなく、10km程度のランニングは可能になっています。
ただ、ブランクが長かったのと、その後あまり長距離の練習をしていなかったため、マラソン復帰がまだちょっと難しいような感じです。

とはいえ、来年の泉州マラソンにはエントリーしてしまいました。
まだ時間があるので、少しずつ調整していきたいと思っています。

年末年始の休診

12月29日 午後 〜1月4日まで休診致します。
※12月29日午前中は診察します。
年始は1月5日からです。
1月5日より通常診療致します。

今年も、休みが少し長めになっています。
予約診察がこの期間にあたる方は診療予約、薬の処方日数など変更させていただきます。
こちらも気をつけますが、定期薬服用中の方は休み中に薬が無くなるということのないようお願いします。
御迷惑をおかけし申し訳ございませんが、よろしくお願いします。

◆エボラ出血熱

2014年3月、ギニアでの発症を契機に西アフリカを中心に感染拡大を続けるエボラ出血熱。
今回はこの現在世間を賑わしているエボラ出血熱をとりあげます。

今回の流行について地域包括ケアの図

最初の感染者はギニア・ゲケドゥに在住していた2歳の男児(2013年12月6日に死亡)だとみられています。
感染源としてはウイルスに汚染された果物を食べたか、、野生のコウモリとの接触・捕食の可能性などが疑われますが明確な原因は不明とされています。
すぐに母親、姉(3歳)と祖母が死亡しされましたが、そのときは誰もエボラだとは考えていませんでした。
その後、ギニア2014年2月から3月に原因不明の病気が36人で確認され、うち少なくとも23人が死亡しました。
その症状には発熱、下痢、嘔吐が含まれ、一部の患者には出血もみられると報告されており、ラッサ熱・黄熱・エボラ出血熱が疑われていました。
そのときの患者の検体をフランスのリヨンにある研究所に送り、エボラウィルスが検出されたため、その原因不明の病気がエボラ出血熱であると確認されました。
その時点での感染被疑者は80人、死亡者は59人だと発表されています。
以後、感染は拡大しています。
流行は森林隣接地帯が中心であり、この地域の葬儀で死者に触れる習慣が流行を加速させているといいます。
また、コウモリやサルなどの野生動物を食べる習慣がリスクを高めているとの推測もあります。

2014年8月にはWHO(世界保健機関)が「非常事態」を宣言し、各国も続いて非常事態宣言を出しました。
感染は拡大する一方で、これまでに15,000人の感染が確認されています。
(2014年10月末時点)

どんな病気?

地域包括ケアシステム概念図(植木鉢図)ウイルス性の感染症です。
エボラウィルスはRNAウィルスで、フィロウイルス科(Filoviridae) に属します。
短径が80〜100nm 、長径が700〜 1,500nm で、U字状、ひも状、ぜんまい状等多形性を示します。
コウモリが、エボラウイルスの自然宿主とされています。
1976年に最初に発症した人(発症したのはスーダンだった)の出身地のザイールのエボラ川からこのウイルスの名前はエ
ボラウイルスと名づけられ、病気もエボラ出血熱と名づけられました。
潜伏期間は2日〜最長21日間。
インフルエンザ様症状である発熱、頭痛、筋肉痛、頭痛などが突発的に始まり、症状が進むと、おう吐、下痢、発疹の症状がみられる。
吐血、歯肉からの出血、消化管からの出血など、ひどい出血症状がでれば、死に至る可能性も高くなる。
致死率は20%程度から最高で90%程度にまで達する。
症状として“エボラ出血熱に特徴的なもの”はない。

病原診断

被験検体からエボラウイルスが分離、RT-PCR法でエボラウイルスゲノムが検出抗原検出ELISA法で、エボラウイルス核蛋白が検出、急性期と回復期に採取されたペア血清のエボラウイルスの核蛋白に対する抗体価が、4倍以上の有意に上昇する、のいずれかが陽性にでるととエボラウィルス感染症と診断される。
日本では国立感染症研究所村山分室の外来性ウイルス室のみで検査が可能です。

治療法は?

現時点では、特定の治療方法が確立されておらず、対症療法のみ。
そのため感染者に対する治療とともに、感染経路や予防方法、感染したときの症状、医療サポートに関する情報を拡散することで、エボラ出血熱の感染拡大を阻止することが極めて重要となります。

感染経路や予防法は?

発症した感染者の体液(血液、吐しゃ物、排泄物、唾液、汗など)との接触や、エボラウイルスに感染したコウモリやサル、アンテロープ(ウシ科の動物)、ヤマアラシなどの動物との接触や捕食によって感染が広がる。空気感染はしない。
予防のためには、十分な手洗いを実践し、流行地では感染者の体液や、患者が触れた可能性のある物品に触れないようにすることが重要。

日本の対応

現在、わが国ではエボラ出血熱の国内侵入の防止のため、

  1. 空港におけるサーモグラフィーによる体温測定、
  2. アフリカの発生国(ギニア、リベリア、シエラレオネ、コンゴ民主共和国)からの入国者・帰国者に対して、症状の有無に関わらず過去21 日以内(潜伏期最長)の滞在歴がある場合の検疫所への自己申告の要請、
  3. ギニア、リベリア、シエラレオネの過去21 日間以内の滞在歴が確認された者に対する21 日間の健康状態の把握、
  4. 発熱症状等が現れた場合の検疫所での把握及び厚生労働省への報告

など、対応の強化が図られています。
一方、これらの対応にも関わらず、感染症指定医療機関以外の一般医療機関に直接受診してしまう場合、下記の措置がとられます。

  1. 発熱症状を呈する患者に対する渡航歴を確認する。
  2. 当該受診者が発熱症状に加えギニア、リベリア、シエラレオネでの過去1ヵ月以内の滞在歴が確認された場合、エボラ出血熱疑似症患者として直ちに最寄りの保健所に届け出る。
  3. ギニア、リベリア、シエラレオネの過去1 か月以内の滞在歴を有する発熱患者から電話での問い合わせがあった場合は、当該エボラ出血熱疑い患者に対し、最寄りの保健所に連絡するよう要請する。

つまり、一般診療所、病院ではエボラ出血熱の方を診療することはできません。
このあたりでは、りんくう総合医療センターで対応することになると思います。

エボラ出血熱治療薬(未承認薬)

今回のエボラ出血熱の感染拡大を防ぐために一番最初に用いられたのがジーマップですが、2人のアメリカ人医療従事者に投与したところ二人とも回復したそうです。
一方で同じ薬を投与されたスペイン人神父はその後、死亡しています。
一方、日本の富士フイルム傘下の富山化学工業(東京)がインフルエンザ治療薬として開発したファビピラビル「アビガン」については、エボラ熱にも効く可能性があるとして、フランス政府が主導してエボラ熱が多発している西アフリカ・ギニアで臨床試験に入るそうです。
新薬「TKMエボラ」を開発しているカナダのテクミラ・ファーマシューティカルズ社は8月に、臨床試験を差し止めていたFDAの措置が変更され、患者への部分的な利用が可能になったと発表した。
未承認薬については、ウィルスの耐性化という問題はありますが、有効であるなら、すぐにでも治療開始していただきたいと思います。

ワクチン(予防)

世界保健機関(WHO)はエボラ出血熱のワクチンの臨床試験をスイスで始め ると発表した。
11月初めまでには着手し、12月には初期データが出る見通し。実際の投与は年明け以降になりそうです。

◆かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

◆編集後記

当院では、各種予防接種行っております。
予防接種は、ワクチン取り寄せの場合もございますので、ご希望の方は受付又はお電話にて予約をお取りくださいますようお願い致します。