2014年 12月 No.109
ホームドクター通信

◆当院からのお知らせ

早いもので、 今年も残すところあと1カ月、 既にクリスマスムードです。 どの店もクリスマスの装飾をしています。
インフルエンザの流行、学級閉鎖も連日報告されています。
かなり寒い日がありますので、体調には十分注意して年末年始を迎えるようにしてください。

今年も終わりです。ニュースを見直してみますと、今年もいろいろありましたね。
1月のやしきたかじんさんの逝去報道から始まり、STAP細胞、東京都知事選、佐村河内氏の「ゴーストライター」騒動、ソチ五輪、笑っていいとも終了、ASKAの覚せい剤事件、サッカーワールドカップ、神戸市議の号泣会見、広島の豪雨、御嶽山噴火、京大森教授の小胞体ストレス応答でのラスカー賞受賞、テニスの錦織選手の活躍、デング熱、エボラ出血熱の流行、LEDでノーベル物理学賞3名受賞、そして衆院選で幕を閉じそうです。
私にとって一番興味があり、注目していたのは、やはりSTAP細胞でしょうか。 世紀の大発見、ノーベル賞確実、と思っていましたが、まさかの捏造騒動。さらに上司の自殺にまで発展して。現在もまだ検証実験の結果がでていませんが、どうなるんでしょうか?個人的にはまだ、STAP細胞はあってほしいな、と思っています。

先月、肺炎球菌ワクチンの助成も始まっています。
町からお知らせの葉書が来た方が対象ですので、またお申し出ください、と書きましたが、対象外の方も65歳以上、忠岡町在住の方は役場に連絡すれば、助成が受けられるそうです。また、役場か当院受付にお問い合わせください。

インフルエンザ予防接種

インフルエンザ予防接種を行っています。
1回2500円、2回目は2000円、忠岡町在住の65歳以上の方は1000円です。
一昨年からWHO推奨を受けて、3歳以上13歳未満は成人量と同じ0.5mlの二回打ちを推奨しています。
13歳以上は0.5ml接種、一回またはおよそ1-4週の間隔をあけて2回となっています。
インフルエンザワクチンは打てば必ず発症がおさえられるというワクチンではありません。
その役割はかかりにくくすることと、かかっても免疫があるために重症化しないことです。
ワクチン接種により死亡者や重症者を減らすことが期待されています。 ワクチンの予防効果持続期間はおよそ5カ月と推定されています。 ワクチンの接種を受けていても、日頃から手洗い・うがいをきちんと行い、流行時期は人ごみをさけて感染機会を減らすことが大事です。


気になる医療ニュース

芝浦工大「針なし注射器」の開発に成功 痛みなし、皮膚に押し当てるだけ針を使わずに気泡の圧力で試薬や遺伝子を体内に届けられる「針なし注射器」の開発に、芝浦工業大学機械工学科のグループが成功した。
直接皮膚に押し当てるだけで、痛みを伴わずに試薬や遺伝子を目的の場所へ高精度に輸送できるという。
これも興味のあるところですね。
一時、蚊の針を応用した注射針も開発されていましたが。あの注射の痛みはなんとかしてほしいと思うのは私だけではないでしょう。
注射が平気な方もいらっしゃるようですが。でも、これだと持続点滴とか静脈注射は無理そうですね。
点滴、注射の前にこの針で皮内、皮下に局所麻酔薬を注射しておく、ということはできそうです。
でも、保険に通るのはまだまだ先でしょうね。
それまでは麻酔テープ使用します。

平成26年11月29日、泉大津市民会館で泉大津市医師会主催の市民公開講座を行いました。泉大津市医師会は泉大津市と忠岡町が参画していますが、今回の講座参加の窓口は泉大津市の包括が担当しており、忠岡町の方の参加は、認められないといわれたとのこと。そんなはずはないと思うのですが、確認してみます。また来年2月に市民公開講座を予定しています。次回は認知症の予定。縁者は私ではないと思いますが。

お知らせ

水曜日、夜診、正式に休診として、保健所に届けて受理されました。 まだ診察券とか、HPとか、看板には不備がありますが、徐々に変更していきます。

年末年始の休診

12月29日 午後 〜1月4日まで休診致します。
※12月29日午前中は診察します。
年始は1月5日からです。
1月5日より通常診療致します。

今年も、休みが少し長めになっています。
予約診察がこの期間にあたる方は診療予約、薬の処方日数など変更させていただきます。
こちらも気をつけますが、定期薬服用中の方は休み中に薬が無くなるということのないようお願いします。
御迷惑をおかけし申し訳ございませんが、よろしくお願いします。

◆人生最期のとき、あなたはどこで過ごしたいですか?

平成26年11月29日、泉大津市民会館で泉大津市医師会主催の市民公開講座を行いました。
ターミナルケアとか死について考えるという回は、一般的に参加者が少ないのだそうですが、今回は約150名の参加がありました。多くの方に興味をもっていただけました。今月号の院内報ではそのときの私のしたお話を紹介します。
市民公開講座のタイトルは「人生最期の時、あなたはどこで過ごしたいですか?」でした。
泉大津市医師会在宅担当理事をしております関係で、私にその中で与えられたテーマは在宅医療:泉大津市医師会の取り組み、でした。
 
では、私の発表した内容をご説明します。

まず、当院の紹介をしました。
当院は先代が昭和34年に開設した無床診療所です。父は昭和40年くらいはよく往診していたのを覚えています。平成12年に父の逝去により私が継承しました。 

在宅医療を始めた経緯

当院が開設当時から力を入れている在宅医療ですが、それを始めた経緯を紹介します。
平成10年、病院外科勤務のころ、自分の担当の胃がん患者さんが末期状態になり、腹部には癌の進展により腸管が破れたために膿瘍を形成していました。その膿を体外に排出するドレーンという管が入っており、全く食べられないので高カロリー輸液をしていました。
このまま病棟で亡くなるまでお付き合いするつもりではいました。
しかし、その患者さんが新築の家でペットの犬と一緒に過ごしたいという希望を強くもっておられ、帰りたい、と言われたので、病院のケースワーカーに相談して、総合診療科に転科させ、自宅で看取って頂いた経験がありました。
そんなことが出来るのか、といった印象でした。
亡くなられたあと来られた家族は、自宅で看取れてよかった、と感謝されました。
(私はなにもしていないのですが)
平成12年に父が胃がんのターミナルになったときに診療所継承の要請があり、9月に帰ったときは父は脳転移で病院入院中でした。
私が見舞いに行ったときは放射線治療、ステロイド治療が奏功し小康状態でした。
勤務医時代の経験があったので、病院の先生に申し出て、自宅に連れて帰り、自宅で看取りました。17日間の自宅療養でした。
病院の訪問看護の方に来ていただき、主治医もほぼ毎日訪問診療してくれました。
実際に看取ったあとの残された家族の満足度の高さに驚く。
母からは自分の最期は父と同じようにしてほしい、との要請を受けています。

現在の当院の在宅状況です。
定期訪問は火曜日から金曜日の午後の時間帯で回るようにしています。
看護師と同行。運転してもらってます。
当院には訪問看護がないため、外部の訪問看護ステーション数か所と連携して、在宅患者診療にあたっています。
多くの方は別にケアマネ―ジャーがついておられます。
ヘルパーさんが来られたり、デイケアに行く方もおられます。
当院には療養通所介護という医療依存度の高い方を日中みる施設が併設されていて、ここを利用する方もおられます。
各職種と連携して、在宅医療にあたっています。
もちろん何かあったときは病院とも連絡をとって入院治療、検査などをお願いする場合もあります。

人生の終末期を考える。

ここでは、現代医学で治癒不可能とされた場合、子供の顔もわからなくなって、寝たきりになる、あるいは食べられなくなる、という状況になった場合を人生終末期とします。
事故にあったりとか、心筋梗塞、胃腸からの出血という致死的な病態は病院のDrに頑張ってもらって医療をうけると治る可能性があるので、ここでは人生の終末期とはしません。
かかりつけ医として日々高齢者の方の診療にあたりますと、皆様の希望は不老不死であることを感じます。
今のままの状態がいつまでも続けばいい、と思っておられ、先のことはなるべく考えないようにしている方が多いように思います。
また、終末期はピンピンコロリ(PPK)で家族に迷惑をかけないように逝きたい、と希望される方も多いです。
日本人の死亡率は100%であり、PPKは7-10%と言われています。
PPKを望んでいても、放置すると死に至る病態になったとき、病院に搬送されますと、懸命の治療がなされ、完全に元の状態に戻ることもあるでしょうが、多くの場合何かの障害が残り、寝たきりなど介護の必要な状態になることが多いようです。
現在日本の女性の平均寿命は86歳、男性も80歳を超えました。
しかし、健康寿命(自立した生活のできない・介護の必要な状態になる年齢)は男性70歳、女性73歳と言われていて、平均寿命と健康寿命の差は10年くらいあります。
つまり、10年は介護の必要な状態になるのが平均的、ということです。
自分らしく人生を締めくくるためにはどうすればいいか、体力が低下したとき、介護が必要になったとき、自分はどのように過ごしたいか、どのような医療を受けたいかを元気なうちから考えておく必要があると思っています。
できるなら、家族と人生終末期についての希望などを相談して、エンディングノート、リビングウィル、事前指示書、遺言など文書で残しておくことが望まれます。

療養場所としての自宅、看取りの場所としての自宅

日本における死亡場所の推移をみてみますと、1951(昭和26)年では、自宅での死亡率が82.5%、病院9.1%でした。
それが国民皆保険制度などの導入にもよって、病院で亡くなる方が次第に増え、ついに1976’昭和51)年、病院で亡くなる方と自宅で亡くなる方が逆転しました。
以後、病院で亡くなる方が増えていき、現在では病院80%。自宅約12%です。
各国の死亡場所ですが、
日本は病院81%。自宅13.9%、施設2.4%に対して、
 スウェーデン:病院42%、自宅20%、施設31%
 オランダ:病院35.3%、自宅31%、施設32.5%
 フランス:病院58.1%、自宅24.2%、施設10.8%
となっています。
在宅医療をしていて、自宅は療養場所、看取りの場所として、非常にいいと感じています。
病院でしかできない検査、処置、治療はあります。どう頑張っても自宅で手術、血管造影、画像検査などはできません。
一日2回の抗生剤点滴をするのも難しいくらいなので、頻繁な看護もできません。
しかし、現代医学で治癒不可能とされた場合、子供の顔もわからなくなって、寝たきりになる、あるいは食べられなくなる、という状況では自宅はホームで、病院はアウェイです。在宅療養では住み慣れた自宅では好きな家具、家族、ペットに囲まれて自分の時間が流れます。
何時に食事、と決まったわけでもありませんので、自分の好きな時間にしたいことができます。
家族の生活の音が聞こえるのもいい、と仰る方が多いです。

余命が限られているときどこで過ごしたいですか?という質問には何件かのアンケート調査があるのですが、どれも大体7-8割以上は自宅で過ごしたいと希望されています。
しかし、実際に自宅で最期の時を過ごせると思う、というのは2割くらいになってしまいます。
5−6割の方は自宅で過ごすのが難しいだろうと考えておられすようです。その理由として一番多いのが、家族に迷惑をかけてしまう、ということです。
日常の介護にしろ、緊急時など家族の負担が大きいと感じられているようです。
次は緊急時など不安です。
介護保険を上手に使い、訪問看護や訪問診療を受けられているとそうでもないのですが。ちなみに独居の方の在宅も可能と考えています。

今後の日本の社会は少子高齢化が進みます。
団塊の世代が後期高齢者となる2025年は65歳以上の方が約3700万人、75歳以上の方が約2180万人になると予想されています。人口は1億2000万人なので、超高齢社会です。
また、年間死亡者数は現在130万人くらいですが、2025年には150-170万人になるとも予想されています。
そこで問題になるのが、病院のベッド数は今後増える予定がないため、最期の場所として、病院のベッドが足りなくなる、という状況です。また、医療費介護費が国家財政を逼迫させるという状況にもなりかねません。

2015年問題を受けて、厚生労働省は高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもと、2014年に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」を成立させました。
長いので、医療介護確保推進法案、と呼ばれています。
この中で、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進することにより、地域包括ケアシステムの構築、在宅医療の推進が謳われています。
厚生労働省の目論みとして、現在の死亡場所、病院の偏在を是正して、オランダ並みの病院3割、自宅3割、施設3割を考えているようです(文書化はされていません)。
厚生労働省は、病床数が増えせないため在宅療養、在宅医療をすすめようとしています。
在宅医療を担当している医療者、家族を看取った経験者として言いますと、人生終末期、在宅での療養をお勧めします。
限られた中にもいい時間が送ることができ、残された家族の満足が高いと感じるからです。

在宅医療を受けるために

泉大津市医師会の在宅担当理事をしております。
よく聞く声は、在宅医療、どこでうけられるのか全くわからない、情報がない、というご意見です。
当院受診中で、人生の終末期を自宅で過ごしたいというご希望をお持ちの方で私がご自宅で診療することに抵抗の無い方は全く問題ありません。
医師会の担当として、在宅医療に携わってくれるドクターを増やすこと、医師会のホームページに在宅医療をする医療機関を掲示すること、が現在の目標です。
今、医師会内5診療所で連携を組んでいますが(長野クリニック、川端医院、戎野内科医院、広部クリニック、私)、連携はとてもうまくいっています。仲間を増やすことから地道に、と思っているところです。

ワクチン(予防)

世界保健機関(WHO)はエボラ出血熱のワクチンの臨床試験をスイスで始め ると発表した。
11月初めまでには着手し、12月には初期データが出る見通し。実際の投与は年明け以降になりそうです。

◆かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

◆編集後記

事故に遭ったのが昨年の11月11日でしたで、もう一年たちました。
あまり練習もしていなかったのですが、11月23日は事故後初めてのフルマラソン、神戸マラソンに出てきました。
制限時間が7時間だったので、いけるかな、と思っ て。
5時間10分かかりました。最後は結構歩いていたような。
手術部の痛みというよりは足全体のだるさ、でした。
まだマラソンの足になっていなかったようです。
やはり練習はしないといけません。
来年の泉州マラソンにはエントリーしてします。こちらは制限時間5時間ですので、なんとか時間内完走をしたいと思います。少しずつ調整していきたいと思っています。
とはいえ、12月は新しい基金による補助金の申請、看護学校の講義の準備、忘年会などで時間がとられ、思うように練習できていません。
このため、院内報も少し遅れてしまいました。言い訳ですが。