2016年 3月 No.124

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

3月になりました。といっても、これを書いているのは中旬も過ぎた20日です。

朝夕はひんやりとしますが、日中は暖かいです。
桜の開花も早くなるとか。まだ寒暖の差が大きいですが、確実に春に近づいて行っているようです。

インフルエンザは下火になってきたようですが、まだあります。学校も春休みになりますので、このまま終息してくれるのを期待しています。
手洗い、うがいは忘れずに。医者はインフルエンザにならないはホント?インフルエンザ予防法というサイトがありました。
http://lifeoreat.com/archives/116.html
患者さんを診察していて、私はインフルエンザにかからないのですか?とよく聞かれます。
開業以来、インフルエンザには罹患していません。
風邪も軽いのは年一回くらい引きますが、発熱したことはありません。一応気を付けています。
インフルエンザワクチンは毎年打っています。
診察中はマスクをして、手で顔を触らないようにしています。メガネもしています。手で粘膜を触らない、これは感染防止の観点から重要なポイントではないかと愚考しています。見えませんが、手につくウィルスは結構危険とずっと思っています。電車のつり革とかカラオケ店のマイクなどもインフルエンザの感染源として、危ないそうです。インフルエンザウィルスはアルコールに弱いので、アルコールの消毒か酒精綿は頻繁に使って、手を消毒しています。
外出時もアルコールを含んだウェットティッシュは持っています。のどの違和感がでるときがありますが、緑茶でうがいをすれば、なんとなくおさまります。
放置すれば、段々痛みが増してきて炎症が起こって熱がでるんだろうな、と思っています。
塩水のうがいとかイソジンのうがいを言われる方もいますが、私は緑茶派です。うがいも、口の中でするブクブクうがいもしますが、その
後に、咽頭・喉頭全域に液がいきわたるようなガラガラうがいをします。このガラガラうがいが有効とずっと思っています。
イメージとしては、喉を開く、感じのうがいです。
皆様もそれぞれに予防するようにしてください。

ジカウイルス感染症患者(輸入症例)の発生について
日本国内で、ブラジルへの滞在歴がある神奈川県の女性が関節痛、発疹等の症状を示し、3月15日に医療機関を受診しました。検査の結果、ジカウイルス感染症の陽性が確定しました。我が国でジカウイルス感染症患者が発生したのは6例目(全て輸入症例)であり、今回の中南米におけるジカウイルス感染症流行後としては3例目になります(3月11日30代女性、2月25日10代男性)。
現在、患者は症状が軽快し 、状態は安定しています。
これを受けて、厚生労働省から国民の皆様へのメッセージがでています。
ジカウイルス感染症は、一般に蚊に刺されることによって感染する疾患です。
現在、国内は蚊の活動期ではないため、国内で感染が拡大するリスクは極めて低くなっています。
ジカウイルス感染症は一般的に軽症であり、重症化するリスクは極めて低いですが、流行地域へ渡航する場合は、長袖・長ズボンを着用したり、蚊の忌避剤(虫よけスプレー等)を使用したりして、蚊に刺されないように注意してください。
特に、妊婦の方は、流行地域への渡航は控えてください。
また、性交渉による感染リスクも指摘されており、流行地域から帰国した男性で、妊娠中のパートナーがいる場合は、パートナーの妊娠期間中は、症状の有無にかかわらず、性行為の際にコンドームを使用してくださいとの注意が厚生労働省のHPに出ていました。
今年はブラジルでオリンピックが開催されます。
日本でもシマ蚊に刺されないような注意が必要で、今年は虫よけスプレーとか携帯用虫よけ器、蚊取り線香などの準備をしておいてください。

花粉症・アレルギー性鼻炎
舌下免疫療法「シダトレン」が発売になり、講習会、e-learningを受けて、当院でも処方できることになりました。花粉の飛んでいる時期に開始するのは禁止されています。スギ花粉飛散の終了した6月からの開始が望まれます。
またダニ用の舌下免疫療法のミティキュア、アシテアダニ舌下錠という薬も発売されました。
今後ますますこのような舌下免疫療法がいろんなアレルゲンに対応していくと思います。花粉症の方はご相談ください。また、花粉症の時期に鼻のなかにワセリンを塗布すると症状が軽くなる、という記事がありました。検証してみたサイトでも有効だったとのこと。花粉でお悩みの方は手軽な方法ですので、試してみてはいかがでしょうか?当院でもワセリンは処方できます。

3月26日土曜日、学会参加のため、休診させていただきます。
また、4月15日金曜日午後診察、19:30で診療終了となります。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

脂質異常症

脂質異常症診療に関して、最近の話題を3つ提供します。

  1. 食事でコレステロールの摂取制限撤廃
  2. LH比
  3. LDLコレステロールを下げる注射薬

です。

では、順番にいってみましょう。
脂質異常症は、血液中に悪玉といわれるLDLコレステロールや中性脂肪が増えることで、動脈硬化や心筋梗塞などを引き起こす原因となる病気です。
患者数は中高年層を中心に、予備軍までふくめると2000万人以上にもなると推定されています。
その予防、治療はまず食事療法、と言われていたのですが・・・。

1.食事でコレステロールの摂取制限撤廃

2015年からコレステロールの摂取制限は不要!?
5年に1度改定される厚生労働省『日本人の食事摂取基準』ですが、2015年版で、コレステロールの摂取制限が撤廃されました。
理由は…
「目標量を設定するのに科学的根拠が不十分」
食事から摂取するコレステロールと、血液中のコレステロールの因果関係は証明できなかったそうです。アメリカの研究発表を受けたものです。
2013年秋にアメリカ心臓病関係の学会であるACC/AHAが、生活改善のためのガイドライン「心血管疾患リスク低減のための生活習慣マネジメントのガイドライン」を発表しました。
そこで、「コレステロール摂取量を減らして血中コレステロール値が低下するかどうか判定する証拠が数字として出せないことからコレステロールの摂取制限を設けない」との見解が出されたのです。
2015年2月の米国農務省USDAも同様の報告を出しています。
日本動脈硬化学会も健常者の脂質摂取に関わるこの記載に賛同しています。
ただし、このことが高LDLコレステロール血症患者にも当てはまる訳ではないことに注意する必要がある、との注意喚起されています。
つまり摂取基準が撤廃されたとはいえ、コレステロールを多く含む食品を気にせず食べていいのは、あくまで「健常者のみ」。
LDLコレステロール(悪玉)値が高い人は、引き続き注意が必要。とのことです。
コレステロール摂取量と血中LDLコレステロール値との関連を示すエビデンスが不十分である一因として、コレステロール摂取制限を行った場合、血中LDLコレステロールが低下する人と低下しにくい人があり、個体差が大きいことが知られています。
コレステロールの摂取制限がなくなったとはいえ、やはり食べすぎは体によくないので、今後も注意していきましょう。

2.LH比(LDL・HDLコレステロール比)

その脂質異常症の診断で最近、「LH比」が重視されています。
LH比とは、「LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値」で示される比率のこと。
たとえば、LDLコレステロール値が135mg/dlで、HDLコレステロール値が45mg/dlとすると、「135÷45=3」で、LH比は3.0となります。

例で示したLDLとHDLの数値(135mg/dl、45mg/dl)は、個別にみると、どちらも現在の基準では「正常」の範囲です。

治療が必要とされるのは「LDLコレステロール値が140mg/dl以上」、または「HDLコレステロール値が40mg/dl未満」なので、どちらにも該当せず、健康状態ということもできます。

ところがLH比でみると3.0というのは、じつは動脈硬化が進んだ「かなり危険」な領域なのです。
それはなぜでしょうか。
まず、LH比が何を意味するのかを知っておきましょう。
コレステロールは、リポたんぱく(脂質+アポたんぱく)というカプセル状になって血液中を移動します。
体の隅々へ運ばれるものがLDLコレステロールで、余分に蓄積すると動脈硬化などの原因となるので「悪玉」とされます。
それに対して、体から回収されるものがHDLコレステロールで、余分なコレステロールを減らすので「善玉」とされます。
HDLコレステロール値が高ければ、コレステロールの回収量も多いことを意味し、脂質異常症になりにくいことになります。

LH比は悪玉と善玉のバランス
悪玉のLDLコレステロールが血液中に増えると、血栓ができやすくなり、心筋梗塞などのリスクが高まります。
そのため、LDLコレステロール値については、現在の診断基準をより厳しくしたほうが良いとの指摘が以前からみられました。
実際に、各地の病院における調査報告から、LDLコレステロール値が正常(140mg/dl未満)なのに、心筋梗塞を起こしたという例が非常に多いことが分かってきています。
一方、そうした患者さんの多くが、善玉とされるHDLコレステロール値が低いか、正常の範囲内(40mg/dl以上)であっても低めという傾向がみられます。
それらのことから、LDLとHDLは別々に考えるのでなく、両方のバランスが重要とされ、LH比はその目安として注目されるようになっています。

ではLH比は、どの程度ならいいのでしょうか。
病院での調査例などから、LH比が2.0を超えると血管内のコレステロールの蓄積が増えて動脈硬化が疑われ、2.5を超えると血栓ができている可能性があり、心筋梗塞のリスクも高いことが指摘されています。
その反対にLH比が1.5以下では、血管内がきれいで健康な状態です。
そこでLH比の目安として、「ほかに病気がない場合には2.0以下に」、また「高血圧や糖尿病がある場合、あるいは心筋梗塞などの前歴がある場合には1.5以下に」することが望ましいとする病院が増えています。
最近は健康診断で、LDLとHDL両方のコレステロール値を計測することが一般的になってきています。
LH比(LDL値÷HDL値)は簡単に計算できるので、コレステロールを見直すきっかけにしましょう。

では、どんな食事・生活がいいのでしょうか。
まずは食べ過ぎないこと、禁煙、る植物性たんぱく質(大豆や豆腐など)、水溶性食物繊維(海藻、きのこ、豆、根菜など)がお奨めです。
下がらない場合は薬の使用も考えます。
HDLを上げる薬はありません。規則正しい生活と運動が大事といわれています。
どんな運動がいいのかというと、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動です。
やや速足での30分歩行、週3回くらいから始めて、時間・回数を増やしていきましょう。
1日の歩行数が1万歩以上の人は、2000歩未満の人と比較すると、HDLコレステロールが平均で10%以上多いとするデータもみられます(厚生労働省『国民健康・栄養調査』)。
また、魚類(イワシ、サバ、マグロなど)に多い不飽和脂肪酸(DHAやEPA)は中性脂肪を減らすと同時に、心筋梗塞のリスクを高める小型タイプのLDLコレステロールを抑制する働きがありますのでよく摂取するように心がけてください。
コレステロールの摂取制限が無くなったとはいえ、主に飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身や、カップラーメンや惣菜の揚げ物、ポテトチップスなどのお菓子類にはやはり注意が必要です。
日本動脈硬化学会は塩分に留意した上での日本食を勧めています。

3.LDLコレステロールを下げる注射薬

LDLコレステロールが高い場合は、スタチン系の薬剤を使用します。
作用の強いストロングスタチンを極量まで使用しても下がらないときは、作用機序の違うエゼチミブ(ゼチーア上乗せをしますと、心血管予後が改善されるというデータも出ています。
現在、LDLコレステロールについては"the lower is better"の重要性が強調されています。
そのような治療をしてもLDLが下がらない主に家族性高コレステロール血症の方に対し、非常に効果があるとされる注射薬が開発されました。
エボロクマブ(商品名:レパーサ)という薬です。
血液中に存在するLDLコレステロールは肝臓に取り込まれて分解されます。
肝臓に存在する「LDL受容体」という部分がLDLコレステロールを認識し、肝臓内に取り込むことでLDLコレステロールを分解します。
ただ、肝臓に存在するLDL受容体に異常があれば、血液中に存在するLDLコレステロールを取りこめなくなります。
肝臓に存在するLDL受容体は、PCSK9がきっかけとなって分解されます。
PCSK9が存在することによってLDL受容体が分解されると、血液中のLDLコレステロールは肝臓へ取り込まれなくなり、血中濃度が上がります。

そこで、LDL受容体の分解に関わるPCSK9の働きを阻害すれば、肝臓のLDL受容体の数が増え、結果としてLDLコレステロール値が下がるようになるというわけです。
そうして血液中のコレステロール値を正常な値へと戻していきます。臨床研究ではかなりの効果があるようです。

 なお,同薬は2週間または4週間に1回の皮下注射による投与が必要で、自己注射ができないので,2週間に1回注射のために通院することになります。
家族性高コレステロール血症、危険性の高い高コレステロール血症の方が対象です。
既存の治療できちんとLDL-Cが管理できない,十分にリスクを下げることができない人には朗報となりそうです。

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

泉州マラソン

もう一か月前になりますが、2月21日に泉州マラソンに参加してきました。昨年は右下肢痛のため29km付近でリタイアしたので、今年はどうしようかな、と思っ ていたのですが結局エントリーしました。
ただ、あまり練習ができなかったです。ある方から、4時間切を達成するためには月に30km走を2回含んで月200㎞以上を,、3か月間は走るようにと言われています。しかし、今回私の場合、30kmは一回だけ。走行距離は月100㎞程度。まあ、制限時間5時間以内での完走のみを目指して出ることにしました。30㎞を3時間で通過して、あと12kmを2時間で走るというか歩くという戦法で行くことにしました。ちょっと、というかかなり遅れて、27㎞付近からペースダウンしてしまい、30㎞通過タイムは3時間17分でした。今回は足は痛くならなかったのですが、足が重くて動きません。明らかに練習不足です。橋も2つもなんとか越えました。制限時間5時間のところ、4時間55分でした。でも目標にしていた5時間内完走は達成したので、今回はまあこれでよし、としました。実は今年の泉州マラソンで5時間以内完走ができなければ、フルマラソンはもう参加するのはやめようと思ってました。ジョギングは好きなので趣味として残して、最高でもハーフマラソンくらいの参加にしようと思っていました。しかし、今回曲がりなりにも完走できたので、また来年もエントリーしてみようと思っています。
次回はちゃんと練習(30km走を2回含んで月200㎞以上)します。