2016年 8月 No.129

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

残暑お見舞い申し上げます。連日30 度を超えています。
熱中症には十分にご注意を。
水分、塩分補給をお忘れなく。毎回書いていますが、 暑さを我慢せず、特に高齢者の方は遠慮せずエアコン を使用しましょう。若い人は涼しい恰好をして、水分・ 塩分を十分とり、エコな涼感グッズを使ってください。

夏季休暇最終日の18日に書いています。
今年は夏季休暇を利用して、平成25年11月11 日に受傷した腓骨骨折部のプレートを抜く手術を受けてきました。腰椎麻酔で、一泊入院でした。
麻酔がよく効いて、6 時間くらい足が動かせない状況でした。
特にトラブルもなく、手術翌日には退院できました。
術後2日目ですが、痛みもあまりなく、普通に過ごせています。ギプスなどもしていません。
まだ点滴後の左腕の皮下出血が痛々しいくらいです。痛くはありません。ただ、ランニングなどは2-3 か月は自粛するように言われています。
11 月頃からランニング再開予定としています。
来年の泉州マラソンはどうしようかなと思っているところです。今のところエントリー予定です。
来年は10kmにしようかなとも思っています。

119番で救命ドローン

緊急の救命措置を必要とする患者のもとに、小型無人機「ドローン」で治療薬や自動体外式除細動器(AED) などを届ける実証実験が今秋、九州大学で始まる、というニュースがありました。
全身性の急性アレルギー「アナフィラキシーショック」や心臓発作で心停止した患者を想定しています。
ドローンを使えば、救急車より先に薬やAEDを届けられ、救命の確率を高める可能性があります。
119番を発信したスマートフォンなどのGPS(全地球測位システム)情報を基に、通報者の場所を特定して、輸送されます。また、ドローンに取り付けたカメラで、現場の状況や患者の容体を把握する実験も行われます。
遠隔医療の進歩を期待したいです。

虫よけスプレー

この夏は蚊に刺されないよう、外出時には頻繁に虫よけスプレーをしています。そのためか、今のところ全く蚊にさされていません。この虫よけスプレーはダニにも効果があると記載されています。
北海道は16日、マダニにかまれて発症するウイルス感染症「ダニ媒介脳炎」で入院していた道内の40歳代男性が死亡したと発表しました。
男性は今年7月中旬、道内のやぶの中に入ってマダニにかまれたそうです。
その後、発熱や筋肉痛、髄膜炎などの症状が出現。7月25日に入院し、8月13日に死亡した。  国内の同脳炎感染は1993年に北海道で確認された1件だけで、今回が2件目。死亡例は初めてです。
人から人には感染しないものの、発症すれば後遺症が残る場合もある。
厚生労働省は、山林などに入る際は長袖を着用したり、虫よけスプレーを利用したりするよう呼びかけています。私はこの夏、虫よけスプレーの使用を続けます。
玄関先、車の中に置いて、外に出るたびに利用しています。 皆様も虫刺されには十分ご注意ください。

iPS細胞

iPS細胞月(人工多能性幹細胞)の作製を世界で初めて、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長が発表してから、今年の8月11日で10年を迎えます。
10年目のインタビューで山中所長は「iPS細胞が患者を治すのに役立つ日が近づいている」と述べられました。2014年には理化学研究所などがiPS細胞で作った網膜の細胞を目の難病患者に移植する臨床研究を実施。
良好な結果を得ています。
京大はパーキンソン病、慶応大学は脊髄損傷、大阪大学は重症心不全の治療の臨床研究などを計画しています。
山中所長は「パーキンソン病などの再生医療をいち早く実現したい。人工知能(AI)や(生物の遺伝子を効率良く改変できる)ゲノム編集などとiPS細胞を組み合わせ、新技術を開発したい」と意欲を示しておられます。日本主導の臨床研究・治療、期待したいです。

リオオリンピック

地球の裏側で(あくまでも我々から見て、ですが)、オリンピックが開催されています。日本選手の活躍が目覚ましいです。リアルタイムで見ていたわけではないですが、体操個人総合の内村選手の逆転優勝にはしびれました。鉄棒の演技の最中にぎっくり腰をおこしてたとのこと。試合後は歩くのもやっとだったそうですが、鉄棒の着地は見事に決めておられました。
また、高校野球も開催されて、たまたま見ていた試合で、9回に5点差を逆転したという試合がありました。
負けたチームには気の毒ですが、勝利したチーム全員の集中力にはちょっとびっくりしました。あやかりたいものです。

夏かぜ・おたふくかぜ

夏かぜ・おたふくかぜ

診療に際して、大阪府公衆衛生研究所のホームページ、中でも感染症情報センターの感染症発生動向調査・今週のトピックスをよく見ています。
インフルエンザの流行状況とか、今どんな感染症が流行しているのかがわかります。
感染症は診断したら全例報告しなければいけない感染症と定点医療機関(全国約3,000カ所の小児科)だけが報告しないといけない感染症があります。
その定点医療機関からの報告を集計したものがこのページの情報となります。
平成28年 第32週のトピックス( 8月 8日~ 8月 14日)は、ヘルパンギーナ 減少続く、でした。
http://www.iph.pref.osaka.jp/infection/surv16/surv32.html
その前の週が
平成28年 第31週のトピックス( 8月 1日~ 8月 7日)流行性耳下腺炎 流行続く、でした。
この報告では6月は感染性胃腸炎が多かったのですが、7月にヘルパンギーナが第一位になりました。
7月25日からはまた感染性胃腸炎が一位になり、減少は続くというものの、まだ第2位で流行しています。
流行性耳下腺炎が例年に比べ、流行しているようです。
今回は夏かぜと流行性耳下腺炎(おたふく風邪)を取り上げます。

夏かぜ

かぜは冬にかかるものと考えがちですが、夏の時期に流行するウイルス感染症があり、これを一般に夏かぜといいます。
冬に流行するウイルスは寒冷・乾燥を好むのに対し、夏かぜのウイルスは高温・多湿を好むので、梅雨時から夏にかけて活動性が増しこの時期に流行すると言われています。
夏かぜの主な原因は、エンテロウイルス属のエコーウイルス、コクサッキーウイルスやアデノウイルスなどのウィルス感染です。
ウィルスですので、抗生物質は効果がありません。
夏かぜの代表的な疾患はヘルパンギーナや手足口病、咽頭結膜熱(プール熱)などです。
ただし、これらの疾患に当てはまらなくて、はっきりした診断がつかなくても、発熱、のどの痛み、せき、おう吐・下痢、目やに、発疹など、ウイルスによるとみられる症状や経過があれば、これらも含めて夏かぜとしていることが多いです。

ヘルパンギーナ

夏かぜの代表疾患です。
発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹を特徴とした急性のウイルス性咽頭炎です。感染経路は、主に便や唾液の飛沫感染です。2~4 日の潜伏期を経過し、突然の発熱に続いて咽頭痛が出現し、咽頭粘膜の発赤が顕著となり、口腔内、咽頭に直径1~2mm 、場合により大きいものでは5mmほどの
赤みで囲まれた小水疱が出現します。
小水疱はやがて破れ、浅い潰瘍を形成し、疼痛を伴います。
発熱については2 ~4 日間程度で解熱し、それにやや遅れて粘膜疹も消失します。
発熱時に熱性けいれんを伴うことや、口腔内の疼痛のため、脱水症などを呈することがありますが、ほとんどは何の後遺症も無く治癒します。
その大多数はエンテロウイルス属に属するウイルスに起因し、主にコクサッキーウイルスA群である場合が多いですが、コクサッキーウイルスB群やエコーウイルスで発症する場合もあります。
といっても、一般診療所でウィルスの分離検査をするわけではないので、この時期に咽頭に水疱があれば、ヘルパンギーナと診断しています。
日本では毎年5 月頃より増加し始め、7月頃にかけてピーク を形成し、8月頃から減少を始め、9~10月にかけてほとんど見られなくなります。
患者の年齢は5歳以下 が全体の90%以上を占めます。
治療は、ウィルス性疾患なので、抗生物質は効かず、抗ウィルス剤もありません。対症療法になります。
熱、痛みにはアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤が使用されます。
学校保健法における取り扱いでは、ヘルパンギーナは学校において予防すべき伝染病の中には規定されていません。
なので、本人の状態がよくなれば登校可能となります。夏休みのことも多いですが。
しかし、主症状から回復した後も、ウイルスは長期にわたって便から排泄されることがありますので、注意は必要です。

 

夏かぜ


手足口病

手足口病は、手のひら、足の裏や口の中に2~3mmぐらいの赤い発疹や水疱を作ります。
潜伏期は3-5日とされています。
手足の発疹に痛みやかゆみはありませんが、口の中の水疱は痛がることがあります。
痛みのため、水分がとれなくて、脱水症状をおこすこともありますので、注意が必要です。
発熱は3分の1程度の患者に起こりますが、高熱は少なく、微熱程度で全身状態は良いことがほとんどです。まれに髄膜炎などが報告されていますので、経過を注意深く観察し、合併症に注意をする必要があります。

咽頭結膜炎(プール熱)

咽頭結膜熱は発熱、のどの痛み、結膜充血などを特徴とし、夏季にプールを介して(プールの水やタオルの共用など)伝染したことから日本では「プール熱」と呼ばれています。
アデノウィルスが原因です。
もちろん、プール以外でもウイルスで汚染した手指を介して感染しますので、感染者に接するときは注意が必要です。
大阪府公衆衛生研究所のホームページや通っている幼稚園や保育園、小学校、スイミングスクールなどでの現在プール熱の流行状況を確認し、高熱やのどの炎症、目やに、目の充血などが見られた場合は、プール熱が疑われます。
のどを綿棒でこすり、粘膜にアデノウイルスがいるかどうかを見る迅速検査があるのですが、残念ながら当院ではおいていません。
当院では検査会社に提出しますので、結果でるまでにが4日程度かかります。
ただし、発症直後(発熱後すぐ)の場合は陽性にならないこともあります。
一方の血液検査は、2週間期間をあけて2回行う必要があります。
1回目より2回目の方で抗体が上がっていれば、プール熱と診断されます。
事後確認するための検査として使われることが多いです。

流行性耳下腺炎

夏かぜには含まれませんが、今年夏に流行しています。いわゆるおたふくかぜです。
ムンプスウイルス感染により耳下腺が腫脹する感染症である。
5世紀にヒポクラテスが、耳の近くが両側あるいは片側のみ腫脹する病気が流行したのを記載したのが最初とのことです。
上気道を介して飛沫感染し潜伏期は2~3週間とやや長く(平均18日前後)、両側又は片側の耳下腺が腫脹し、ものを噛むときに顎に痛みを訴えることが多いです。このとき数日の発熱を伴うものが多い。
耳下腺腫脹は有痛性で、境界不鮮明な柔らかい腫脹が耳朶を中心として起こる。他の唾液腺の腫脹をみることもある。耳下腺開口部の発赤が認められるが、膿汁の排泄はない。
合併症としては、髄膜炎、脳炎、膵炎、難聴などがあり、その他成人男性には睾丸炎、成人女子には卵巣炎がみられることがあります。
おたふく患者との接触があり、診断は明らかな耳下腺腫脹がある場合、問診、視診でなされます。

血清学的診断が行われる場合もあります。
急性期にIgM 抗体を検出するか、ペア血清(発症時と2週間後の検査)でIgG 抗体価の有意な上昇にて診断されます。
流行性耳下腺炎およびその合併症の治療は基本的に対症療法であり、発熱などに対しては鎮痛解熱剤の投与を行い、髄膜炎合併例に対しては安静に努め、脱水などがみられる症例では輸液の適応となります。
おたふくかぜには予防接種があり、効果的に予防するにはワクチンが唯一の方法です。
有効性については、接種後の罹患調査にて、接種者での罹患は1 ~3%程度であったとする報告があります。
100%ではないということですね。
接種後の抗体価を測定した報告では、概ね90%前後が有効なレベルの抗体を獲得するとされています。

患者と接触した場合の予防策として緊急にワクチン接種を行うのは、あまり有効ではないとされています。
患者との接触当日に緊急ワクチン接種を行っても、症状の軽快は認 められても発症を予防することは
困難であると言われているようです(国立感染症研究所の記事より)。
有効な抗ウイルス剤が開発されていない現状においては、集団生活に入る前にワクチンで予防して おくことが、現在取り得る最も有効な感染予防法です。
出席停止期間:耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が始まった後五日を経過し、かつ、全身状態が良好となるまでとされています。

以上、夏かぜとおたふくかぜを紹介しました。
いずれもウィルスですので、効果的な治療法はありません。
自分の持っている免疫力でウイルスが排除されるのを待つしかありません。
まず、安静を保ち、栄養と水分を補給してください。
あとは感染者と接触をしないよう。
うがい、手洗いは有効です。

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

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かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

特定健診

特定健診実施中です。
今年も無料です。
忠岡町在住の対象者の方、是非受けてください。
残念ながら、泉大津市、岸和田市在住の方は当院では特定健診を受けることができません。
今年からABC 検診が始まっています。
ヘリコバクターピロリIgG 抗体(Hp 抗体)検査でピロリ菌感染の有無を、ペプシノゲン(PG)検査で胃粘膜萎縮度を調べ、その結果を組み合わせて胃がんのリスクを評価する検診です。
500 円の自己負担があります。
また、65 歳以上の方の肺炎球菌ワクチンの助成もありますので、また受付にお申し出ください。