2017年 6月 No.139

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

梅雨時期です。梅雨に入った途端にいい天気の日が続いていましたが、今は梅雨らしい空です(6月25日です)。

6月22日の夜に海老蔵さんの奥様でフリーアナウンサーの小林麻央さんがご自宅でお亡くなりになりました。享年34歳。
幼いお子さんを残して、さぞ心残りだったと思います。
素晴らしいブログを発信されていて、英国BBCの影響力のある女性100人に選ばれていました。
病気を隠したがる傾向のある日本で、正直に状況を発信されたことが評価されていました。
私も麻央さんのブログをよく読んでました。
厳しい状況が見え隠れする中、明るく前向きに発信されることに驚きました。
ブログで私の心にに残った言葉、ガビチョーン、と生きていたいのだ~、でした。
検査結果が悪かったとき、ガビチョーンで忘れる。
「気が明るくなった。有り難い言葉だ」と、落ち込んだ気持ちを前向きにする“魔法の言葉”として紹介されてました。大阪はガビーン(花の応援団)だけどな、、。ガビチョーンは初めて聞いた。
でも、ブログで拝見したときから、何かショッキングなことがあったとき、私も心の中でガビチョーンと言うようになりました。気が明るくなれます。
『心の声』、ステージ4だって治りたい。
5年後も10年後も生きていたいのだーっ、、
とてもストレートな記述に感心しました。
ずっと生きていてほしかった。
そして、胸を締めつけるのが、残された二人のお子様
6月25日の報道では、 亡くなった小林麻央さんのそばを離れようとしないそうです。
その姿を想像しただけでなんとも悲しくなります。
お母さんである小林麻央さんのように、たくましく育って頂きたいと願っています。
最後に、少し長くなりますが、私がとても感動した、小林麻央さんがBBCに寄稿した文章の一部を引用します。
私が今死んだら、人はどう思うでしょうか。
「まだ34歳の若さで、可哀想に」「小さな子供を残して、可哀想に」でしょうか??
私は、そんなふうには思われたくありません。
なぜなら、病気になったことが私の人生を代表する出来事ではないからです。
私の人生は、夢を叶え、時に苦しみもがき、愛する人に出会い、2人の宝物を授かり、家族に愛され、愛した、色どり豊かな人生だからです。
だから、与えられた時間を、病気の色だけに支配されることは、やめました。なりたい自分になる。
人生をより色どり豊かなものにするために。
だって、人生は一度きりだから。
自分も同じ状況に置かれたとき、このような力強い前向きな発信ができるだろうか?ターミナルケアに関わる者にとって、とても考えさせられるブログでした。
ご冥福をお祈りします。

遠隔診療

情報通信技術を使って医師が離れた場所の患者を診る「オンライン診療」が、本格的に動き出す模様です。
遠隔診療を広く認める厚生労働省の方針を受け、福岡市と福岡市医師会、東京の医療法人が今年4月に試行を始めました。
現在、11の医療機関が試行に参加しています。
遠隔診療は医師がいない離島やへき地で用いられてきましたが、厚労省がより広く認める方針を示し、関心が高まっている分野です。
都心でも遠隔診療を採用する医療機関が現れ、ネットにつながる血圧計など機器も増えてきています。
患者にとって通院の手間が省ければ、治療を継続しやすくなる面はあります。
福岡市は地元の医師会と組んで展開するのが特徴です。
遠隔診療はあくまで対面の補完というのが医師会の基本姿勢です。
医師が五感で患者の情報を集める対面でなければ気付かない異変もあるのは確かです。
こうした懸念に応える意味でも、対面とオンラインをうまく組み合わせる仕組みづくりが大きな課題になります。
ちょっと興味を持ってみてます。
遠隔診療。在宅医療に応用できるかな、と思って。
体制が整えば参入してみたいです。
でも、やろうと思ったら、今でもSkypeとか使って簡単に遠隔診療できますもんね。
どんな体制を用意するのか?、セキュリティは?医療保険でどの程度カバーしてくれるのかが普及のポイントのように思います。

7月12日にISO9001の継続審査があります。少し外来予約を制限させていただきますので、よろしくお願いします。

盆休みは8月15日から8月18日までです。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

誤嚥性肺炎

 誤嚥性肺炎 

最近、テレビや週刊誌で誤嚥性肺炎がよく取り上げられています。
肺炎による死亡者数は脳卒中を抜いて、がん・心疾患 に次いで3番目、年間12万人にものぼります。
中でも多いのが「誤嚥性肺炎」であり、高齢者の罹患率が多く、肺炎全体の死亡者数の約8割にもなります。

芸能人でも、山城新伍さんや中村勘三郎さん、周富徳さんらがこの病気により亡くなったそうです。
最近では落語家の桂歌丸さんが誤嚥性肺炎で入院されていました。

誤嚥性肺炎とは、その名の通り「間違えて飲んでしまったことにより発症してしまう肺炎」のこと。
本来食道に流れるはずの食べ物や唾液などの液体が誤って肺に流れてしまい、これが原因で起きる肺炎のことです。

人間ののどの奥には、食道と気管を分岐している場所がありますが、この分岐点には舌骨筋があり、喉頭蓋(こうとうがい)と呼ばれる部位が気管のふたとなっており、食べ物や液体が気管に入らない働きをしています。

誤嚥性肺炎は、病気や加齢などによって、この働きが弱ってしまい、食べ物や唾液などの液体が誤って気管へ入ることで、口の中の細菌もいっしょに肺に入って起こる肺炎です。
誤嚥性肺炎の最も多いきっかけは、脳卒中などの病気で神経の反応が鈍り、喉頭蓋の働きが鈍くなることですが、病気でない方でも注意が必要です。
誤嚥は健常人においてもしばしばみられるます。
感度が高い方法を用いると睡眠中の健常人の50%以上に起こっているという報告もあります。
しかし、通常は誤嚥したからといって、特に何も引き起こすことはありません。
肺炎を起こすかどうかは,誤嚥する量と質(細菌量)、防御機序(咳反射・抵抗力)によります。
誤嚥性肺炎の多くは上記嚥下機能の低下によるものと、咳反射など通常の防御反応が障害されて、口腔内の細菌を誤嚥することにより起こります。
誤嚥性肺炎の危険因子として、脳卒中を含む神経疾患以外に、意識障害、食道疾患、嘔吐、明白な嚥下障害があります。
通常の誤嚥性(嚥下性)肺炎のほかに、直接的障害を引き起こす胃酸による化学性肺炎(メンデルソン症候群・重症になりやすいです)、胃切除後に起こる胃切除後嚥下性肺炎(これは頭位挙上での就寝が有用です)、慢性の病態でびまん性汎細気管支炎に類似した画像を呈するびまん性嚥下性細気管支炎があります。

■誤嚥性肺炎の症状
誤嚥性肺炎は初期症状が出ないことが多く、早期発見がし辛いのが特徴です。
症状が出るころには重症化してしまいます。

主な初期症状は

といったことが挙げられます。

明らかな肺炎症状が出現したら、抗生剤投与、酸素、入院加療などが必要となります。

■嚥下機能評価

まず、自分の嚥下機能が落ちていないかどうかを確認してみましょう。
飲み込む機能のスクリーニングに反復唾液嚥下テストがあります。
30秒間に何回唾液を飲み込めるか数えるテストです。
主に見るのは物を食道へ送り、気管に蓋をするのどの筋力、舌骨筋の強さ。顎の下にあります。

  1. 人差し指と中指でのど仏を軽くはさむようにあてがいます。
  2. この状態で唾液を飲み込みます。すると、のど仏が人差し指を越え、またもとに戻ります。
  3. これを1回とカウントし、30秒間の飲み込み回数をチェック。
    誤嚥しないよう、唾液は確実に飲み込んでください。

高齢者は3回できれば正常とします。
2回以下の方は誤嚥を起こしやすい状態です。若い人なら6回以上は飲みこんでほしいですね。
次に、水を飲む、プリンを食べる、などを観察する方法があります。
疑わしい方には嚥下造影法、嚥下内視鏡検査などの検査を行います。通常病院での検査です。
在宅で、嚥下内視鏡をしてくれるグループもあります。

■誤嚥性肺炎の予防方法

a )
嚥下訓練、口腔ケア、食物の工夫、栄養状態の改善など非薬物療法が重要です。
嚥下訓練でよくされているのが、パタカラ体操。
大きな声ではっきりパタカラということにより、口腔、舌、喉の筋肉が鍛えられます。
食事前にするのがいいそうです。
もうひとつ、舌を前後左右上下に動かせる・回す、口を開ける・閉める、などの口腔体操も食事前にするのがいいとか。

嚥下おでこ体操:手のひらの根元をおでこにあて、頭は下げるように力を入れます

あご持ち上げ体操:顎の下に両手の親指を置き、首を下に傾けます。

いずれの体操も5秒間10セットくらいからから始めてみてください。

飲み込む機能を上げる方法:のどの筋肉を鍛える

仰向けに寝て、つま先を見るように頭を上げます。

1日3回1分間ずつ行うと、6週間ほどで効果が出始めるのだとか。

 

ペットボトル体操

肺を鍛えるペットボトル体操です。
500mlの柔らかいペットボトル(いろはす、などのクシャッとなるもの)を口にくわえ、吸う、息を吐いて拡げる、を繰り返します。
カラオケもいいらしいです。
津軽海峡冬景色、愛のメモリー、大都会、などの曲が勧められていました。
科学的根拠には乏しいですが、なんとなくいいような気がします。
口腔ケア、夜は歯磨きをして寝てください。
細菌量が減ります。糸ようじ、舌ブラシなどによるケアも重要です。
食物はとろみをつけたほうが誤嚥しにくいです。
食べる姿勢も大事。
高くないテーブル、足は床につけて、深く座り、やや前傾姿勢で食べるのがいいです。
ベッドで寝て食べる人は30度から60度のギャッジアップを。

b )
喫煙は誤嚥を起こしやすく,肺炎の発症頻度を増加させるため,喫煙者では禁煙が必須です。

c )
薬物療法としては脳梗塞の再発予防薬(抗血小板薬)や誤嚥を改善するACE阻害薬(これは高血圧の薬なのですが、咳の副作用があり、この副作用を利用して誤嚥を防ぐというもの)、アマンタジン、漢方薬(半夏厚朴湯など)などがあります。

d )
睡眠薬,鎮静薬の投与は最低限にすること。食事中ぼーっとしていると、危ない。

e )
インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンは肺炎の頻度を低下させるため、接種を推奨します。

f )
どうしても駄目な場合は、胃瘻造設術なども行われていますが、不顕性誤嚥や胃食道逆流は防止できないため、手術単独で誤嚥性肺炎を防止することはできません。

最近出た肺炎のガイドラインでは、高齢者は治療しないことも選択枝の一つになる、と書かれていました。

誤嚥性肺炎、怖い病気ですけど、上記の口腔ケア、口腔嚥下体操でかなり防ぐことが出来るんじゃないかと思います。肺炎、なるとちょっと厄介ですから、意識して予防するようにしましょう。

 

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

健診のお知らせ

今年度の忠岡町の住民健診が始まっています。

今年も無料です。対象の方は受付にお問い合わせください。

健診の血液検査は10時間以上の空腹状態で行っています。

大腸がん検診、肝炎ウィルス検査も対象の方には無料クーポンが配布されています。

こちらも受付で予約してください。