2017年 7月 No.140

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

7月も後半になりました。
梅雨も明け、いよいよ夏本番です。
暑くなってきています。
7月は熱中症患者が急増する月で、「熱中症予防強化月間」です。
夏期には4万人前後の方が熱中症で救急搬送されるなど、多くの方が熱中症になっています。
また、近年、熱中症は、職場や学校、スポーツ現場での発生だけではなく、夜間や屋内も含め、子供から高齢者まで幅広い年代層で発生しています。
熱中症は、一人ひとりが正しい知識を持つことで、防ぐことができます。
環境省の熱中症予防情報サイトがあり、その中に暑さ指数(WBGT)の実況と予測があり、地図をクリックすると、この辺では堺と熊取のWBGTを見ることができます。
暑さ指数(WBGT)単純に気温だけでなく、湿度や日差しの違いをも考慮して、熱中症予防につながる数値です。参考にしてみましょう。
エアコンを使い、涼しく過ごしましょう。
水分摂取は十分に。
汗をかいたら塩分補給もお忘れなく。

また、虫刺されも気になる時期になってきました。
昨年は虫よけスプレーを外に出るたびにしていました。
効果は抜群で、ほとんど虫に刺されませんでした。
今年も虫よけスプレーを使おうと思ってます。
昨年のスプレーが大分余っているけど、有効なんだろうか?

 

聖路加国際病院名誉院長で高齢者が活躍できる社会作りを提唱した日野原重明先生が、平成29年7月18日、呼吸不全のためお亡くなりになりました。
105歳でした。
明治44年山口市に生まれ、昭和12年、京都帝国大学医学部を卒業後、昭和16年から東京の聖路加国際病院に内科医として勤務。
看護大学学長、院長、理事長などを歴任されました。
牧師の家庭に育ち、学生時代に結核を患ったことなどから、患者の精神面を含めた全人的なケアの大切さを提唱されました。
人間ドックの草分けの一人としても知られ、医者に任せきりにしない「患者参加の医療」を持論とし、「生活習慣病」の名称を早くから唱え、予防医学の重要性を訴えてこられました。

 昭和45年の日航機「よど号」ハイジャック事件では乗客として乗り合わせ、乗客の支えとなりました。
平成7年の地下鉄サリン事件では、事件現場近くの聖路加病院は拠点病院になりました。
院長であった日野原先生の判断により、事件後直ちに当日の全ての外来受診を休診にして被害者の受け入れを無制限に実施して、被害者治療にあたりました。
朝のラッシュ時に起きたテロ事件でありながら、犠牲者を最少限に抑えたと評価されました。
専門書から一般向けまで著作も多く、平成13年に出版された「生きかた上手」は100万部超を売り上げました。私も読みました。
人間は向上心を持ち、自分を更なる高みへと変革しつづけるべし、という考えには感銘を受けました。
また、平成22年には、脚本を手がけた音楽劇「葉っぱのフレディ」をニューヨークで上演、自ら舞台に立ち、子どもたちとダンスを披露。多才な方でした。
100歳を過ぎても、診察や講演、執筆活動に精力的に取り組まれました。
心身ともに健康で社会貢献が十分に果たせる75歳以上の人を「新老人」と命名するなど、豊かな老いをいかに生きるのかについて積極的に発言されていました。
本年3月に体調を崩して一時、入院。退院後は都内の自宅で療養されていたそうです。
御家族によりますと、その間は本人の意思で、胃瘻、栄養点滴や呼吸器の使用なども含め、延命のための措置は一切されませんでした。
退院後は、ベッドの上で過ごされていましたが、7月17日から呼びかけに対する反応が乏しくなり、危篤状態に陥ったという。
死因は呼吸不全と発表されていますが、老衰・尊厳死でしょうね。
日本の医学界に素晴らしい業績を残された方です。
医学界の巨星堕つ、です。ご冥福をお祈りします。

 

7月12日にISO9001の継続審査がありました。
外来診療を制限させていただいたので、ご迷惑をおかけしました。
無事、認証が継続されることになりました。

夏季休暇は8月15日から18日です。
8月14日月曜日と8月19日土曜日は診療します。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

睡眠負債

 睡眠負債 

最先日、NHKにて「睡眠負債が危ない」という番組が放送されました。
“ちょっと寝不足”が命を縮めるという刺激的な副題でした。
睡眠が生物にとって重要であることは、誰しも実感として納得されているかと思いますが、医療界でも、以前から大変注目・研究されている分野のひとつです。
「日本睡眠学会」など睡眠関連の学会は多数あります。

現在睡眠不足により、リスクが上がるとされている疾患は、 心筋梗塞、 脳卒中、 高血圧、 肥満、認知症、アルツハイマー病、 不安状態、乳癌、2型糖尿病、 風邪などが挙げられ、睡眠の影響は多岐にわたることが見てとれます。
番組に出演されていた睡眠のエキスパート西野精治先生の著作「スタンフォード式 最高の睡眠」によると、”眠りの研究者は、睡眠が足りていない状態を、「睡眠不足」ではなく「睡眠負債」という言葉を使って表現”するとのこと。

「睡眠負債」という単語は、私は今回まで知りませんでした。
単なる「寝不足」「睡眠不足」という表現以上に、「睡眠負債」にはもっと深刻な問題が含まれています。
借金には、利子がつきます。
返済しないと膨れ上がります。
つまり「返さなければいけないもの」、「返さないと大変なことになるもの」というメッセージがこもっているのです。

各国の睡眠時間についてみると、フランスは8.7時間、アメリカは7.5時間、日本人は6.5時間でした。
更に、厚生労働省の調査によると、睡眠時間が6時間未満の人約4割に上っているとのことです。
日本人は寝不足が多いとも言えます。
ある研究によると、7時間睡眠が一番死亡率が低く、それ以上でも以下でも死亡率は上がるとのことです。

睡眠負債と注意力

最近私が知って、驚いた研究をご紹介します。

この研究では、48人の健康な成人(21-38歳)を対象に、ランダムに4つの群(睡眠時間がそれぞれ4時間、6時間、8時間、そしてなんと丸3日間徹夜!)に分け、14日間観察。
起床中2時間ごとに「神経行動機能」、「自覚的な眠気」について分析しました。
「注意力」については、数字がスクリーンに現れたらすぐにボタンを押して反応時間を測定する検査によって評価しており、数値が高いほど注意力が低下していることを示します。

この調査では徹夜をした人の注意力はもちろん低下しています。
6時間睡眠群は、8時間睡眠群と比較し、日数を経るごとに注意力が低下しています。
4時間睡眠群も、8時間睡眠群とは勿論、6時間睡眠群と比較しても、さらに注意力が低下しています。
注目すべきは、4時間睡眠を14日間続けたときの注意力低下を見ると、3日間徹夜したときと同等でした。
6時間睡眠でも、2週間続けると注意力が落ちます。
6時間睡眠は、それほど短時間であるという認識が私にはありませんでした。
また4時間睡眠、或いは徹夜も、仕事が忙しいときなど、やむを得ないという方もいると思います。
しかしそのような睡眠不足の蓄積は、実は注意力を低下させ、仕事のパフォーマンスを落とす可能性が高いことが、この論文で明確にされたのです。

やはり「睡眠不足」は返済しないと溜まってしまう、「睡眠負債」なのです。

同じ研究から、自覚的な眠気の調査です。
3日間徹夜群は自覚的な眠気も急激に上昇しますが、6時間睡眠群、4時間睡眠群においては、眠気は増えてはいくものの、曲線は緩やかです。

つまり、4時間睡眠、6時間睡眠の人は、眠気は感じなくても、注意力が落ちているということです。
つまり、睡眠負債は私達の気付かないところで注意力低下を来し、自分では眠くないと思っているときにもミスを引き起こす可能性があるのです。

また、別の研究で、24時間以上のシフトで頻繁に勤務する研修医は、短時間シフトで勤務する研修医と比較し、多くの重大な医療過誤を起したとのことです。
集中治療室の研修医の長時間勤務シフトを減らすと、睡眠時間が増加し、夜勤時の注意力低下が改善しました。
救急科の研修医において、睡眠が1日6時間より少ない群は、1日6時間以上睡眠をとっている群と比較し、注意力低下によるトラブルが5倍多く発生していました。
また、睡眠不足の医師の意識レベルは、ビール2本飲酒後の意識レベルと同等だったということです。

夜勤のある科とない科の医師の覚醒状態の検査で、具体的には先の4時間睡眠、6時間睡眠の研究とと同じようなタブレットの画面に図形が出るたびにスイッチを押すというものですが、夜勤のない医師は正確に反応しました。
一方、夜勤明けの内科医は図形が約90回出現するうち、3-4回も数秒間図形に反応しませんでした。反応しない時間、なんと医師は眠っていたのです。

夜勤あけの医師たちが陥った状態をマイクロスリープ(瞬間的居眠り)といい、脳波で確認されます。
マイクロスリープは1秒間から10秒間の眠りを指し、脳を守る防御反応といわれたりもします。
防御反応が出るくらい睡眠負債は脳に悪いと言えます。

などなど…挙げればきりがありません。
しかも、上記が掲載されているのはどれも一流の学術雑誌で、信頼度が高いものです。

私は、1日6時間も寝ていれば十分と考えていました。
それで眠気も感じないし、能力を発揮できていると思っていたのです。

しかし睡眠負債について調べるなかで『6時間睡眠を2週間続けると、集中力や注意力が徹夜した状態とほぼ同じレベルまで衰えてしまうこと、そのパフォーマンスの低下を自覚していないことには、衝撃を受けました。

更に、私は自分自身がいわゆるショートスリーパーだと思っていました。
つまり、一日4時間睡眠で十分で、15分程度の昼寝をすれば、仕事には支障が無いものと考えていたのです。

実際ショートスリーパーの人はいます。
西野先生によると、ショートスリーパーは遺伝子に規定され、実際はそれほど多くないようです。
私がショートスリーパーでないと感じるのは、早く起きる必要のない休日は昼前まで寝ることがある、寝つきが非常によい、ということでした。
寝つきに関していうと、寝床に横になってから、5分程度まどろむのが正常のようです。
私は横になった瞬間寝てしまいます。
眠くなってから寝るという習慣があるので、これはいいことかと思っていました。
実際は睡眠負債を抱えていたということでした。

アメリカのビジネスマンには『プロフェッショナルとして、寝る』という文化が根付いているといいます。
翌日の仕事のパフォーマンスを保つために、プロとして睡眠時間を確保するということです。
私自身、いろいろなことに事に忙しくてなかなか睡眠時間を確保できなかったのですが、『プロとして、寝る』という考え方を知ったことで、より意識して睡眠時間を捻出するようになりました。
まだ一週間くらいですが。

プロとして、寝る ─ 実に良い言葉ですね! 強い意志をもって、睡眠時間を十分に確保していかなければならないと思います。

睡眠負債は仕事のためにも返済すべき まとめると、1日7時間睡眠が一番死亡リスクが低い睡眠負債は心血管疾患、脳卒中、認知症、乳癌、糖尿病、高血圧、肥満、不安状態…など様々な病気と関連自覚的な眠気がなくても、仕事のパフォーマンスは低下する睡眠負債の返済によって、仕事のパフォーマンスが改善するということです。

今回の睡眠負債の学びは、自分自身の行動を見直す意味でも、なかなか面白かったです。
今回私が知りえたことでお伝えできなかった、睡眠のとりかた、不眠症の治療、よく寝るための習慣、などは、再度続編としてお伝えしたいと思います

 

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

休診のお知らせ

8月15日(火)~8月18日(金)まで休診致します。

8月19日(土)より通常診療致します。

 

他院とは少しずれてのお盆休みになりますので、お薬を切らさないように気をつけてください。

御迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。