2018年12月 No.157

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

◆今年を振り返って

早いものでもう12月後半です。体調には十分注意して年末年始を迎えるようにしてください。今年も終わります。ニュースを見直してみますと、今年もいろいろありましたね。2018年はどんな年だったでしょうか。1月には関東で大雪が降り、2月には平昌五輪が開幕。羽生選手の連覇とスピートスケートのメダルラッシュに沸きました。オリンピック以外でも、スポーツ界では大リーグ・大谷翔平選手の活躍、テニスの全米オープン女子シングルスで大坂なおみ選手が優勝。四大大会シングルスの優勝は、男女を通じて日本勢で初めてだそうです。

しかし、不祥事も相次ぎ、5月にアメリカンンフットボールの名門、日本大の選手が西学院大の選手に危険なタックルをして負傷させました。このほか、レスリングのパワハラ問題、ボクシングの奈良判定、相撲界の暴力事件・貴乃花親方の退職などもありました。6月には大阪北で震度6弱の地震・高槻市方面大変だったみたいです。7月には西日本豪雨が発生し岡山・広島を中心に200人を超える多くの犠牲者が出ました。9月4日、台風が関西を襲いました。2日後の9月6日、北海道で地震が発生。道内の発電所が一時全て停止。管内のほぼ全域で電力供給が止まる国内初の「ブラックアウト」となりました。10月はノーベル医学・生理学賞を京大特別教授の本庶佑氏が受賞し、12月10日(日本時間11日)の受賞式に羽織はかま姿で出席しました。訃報として、星野仙一さん、女優の樹木希林さん、勝谷誠彦さん、山本“KID”徳郁さんなど。また9月には平成を象徴する歌手の安室奈美恵さんが引退。時代の移り変わりを感じるような出来事が続きました。

大阪にとって明るい話題としては、日本時間11月24日未明に行われた加盟各国の投票で2025年国際博覧会(万博)開催地として大阪が選ばれました。大規模な万博としては2005年の愛知以来で、大阪では1970年以来55年ぶりの開催となります。大阪府・市は万博に合わせて会場となる大阪湾の人工島・夢洲でカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業も目指しており、今後、地下鉄延伸や湾岸エリアの再開発などインフラ整備が加速しそうです。2025年というと、我々の業界では団塊の世代が後期高齢者になる大変な年なのですが、そんなことはほとんど忘れてしまうような大阪万博決定でした。しかし、ニュースでは東京の人は大阪万博決定にあまり興味がなさそうに報道されてました。そういう編集にしたのかもしれませんが。前回の大阪万博のとき、私は中学生でした。あまり覚えていないけど、3回くらい行ったと思います。アメリカ館の月の石が見たかったのですが、4時間待ちなので、断念した記憶があります。月の石、今はどこにあるのだろう?

今年の漢字は「災」でした。私にとっては、一番印象に残った出来事は、やはり9月の台風でした。今まで台風が来る、といってもちょっとそれたりして、台風のことをなめてました。今回は、瓦が飛ぶ、屋根が飛ぶ、電柱が折れる、ガラスが割れるなど近年に見ないほどの激しい台風でした。関空連絡橋にタンカーがぶつかる、という衝撃的な映像もあり、関西空港も閉鎖され、これで万博誘致はないかな、とも思わせる事態でした。しかし、驚異のスピードで関西空港は復旧し、一時激減していた外国人観光客も戻ってくれ、無事大阪万博開催も決定しました。

「新語・流行語大賞」も発表されました。今年は「そだねー」が年間大賞に選ばれました。2月の平昌オリンピックで、銅メダルを獲得した女子カーリングの選手たちの間で交わされた言葉。トップアスリートから発せられるのんびりとしたやりとりはほっとするひと時をもたらしてくれました。もぐもぐタイムなんてのもありましたね。

富田林の受刑者脱走、日産ゴーンさんの逮捕にも驚きました。

◆ACPの愛称・人生会議に

将来のケアについて本人や家族と医療者が事前 に話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」 の重要性が強調されていました。厚労省はリーフレットなどでACPの普及を進めてきましたが、一般にはACPの知名度が低いという課題がありました。そこで、ACPの愛称を募集。11月30日、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称を「人生会議」とすると発表しました。「いいみとり」の語呂から、11月30日を、ACPについて考える「人生会議の日」に決定しました。厚生労働副大臣の大口氏は、「愛称や考える日の広報を通じて、ACPのさらなる普及啓発を図り、人生の最終段階に臨む医療ケアが行われるための取り組みが、ますます進展する契機になることを期待する」と挨拶されました。「人生会議」は聖隷浜松病院看護師、須藤麻友氏が応募。須藤氏は、「日々の仕事の中で、患者さん自身が『どう最期を迎えたい』と考えているのかを、意思表示ができるうちに医療従事者に話してほしいと思うようになった」と述べ、「食卓の場など身近な場面でも話せるくらいACPが浸透してほしい」と「人生会議」に込めた思いを説明。「縁起でもないことと避けるのではなく、人は皆いつか亡くなることを受け止め、元気なうちからもしもの時のことについて考えることが根付き、望む最期を迎えるようになってほしい」と言われました。座長の内多勝康氏は、「『うちもそろそろ人生会議をやろうよ』というのが日常会話になるのを期待する」と述べられました。来年は人生会議(ACP)が普及するよう期待したいです。

咳喘息

かぜは治ったはずなのに、咳が全然治まらない、といったような状態が数週間続いたら、咳喘息の可能性があります。

咳喘息は、慢性的に咳が続く気管支の病気です。気管支拡張薬が有効であることで定義される喘息のひとつのタイプとも考えられます。
8週間以上持続する慢性乾性咳嗽の原因として本邦では最も頻度が高く,約半数を占めます。
一般的な喘息と同様、気道(呼吸をするときに空気の通る道)が狭くなり、いろいろな刺激に対して過敏になって、炎症や咳の発作が起こります。

室内外の温度差や、たばこ、他人のたばこの煙を吸う受動喫煙、運動、飲酒、ストレスなどのほか、ホコリやダニなどのいわゆるハウスダストが発作の要因になるといわれており、患者数は年々増加しています。私も最近増えたな~、と実感しています。咳喘息は、特にアレルギーのある人に多いとされています。
アレルギー反応によって、気道が炎症を起こしてしまうためです女性に多い傾向があり、しばしば再発を繰り返します。

咳喘息にかかると、一カ月以上、空咳(からぜき)が続きます。ひどい場合は咳が一年以上続くこともあります。
ただし、喘息に見られるゼイゼイ、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難はありません。また、発熱や痰(たん)などの症状はほとんど出ません。

夜中から明け方に激しい咳が出たり、寒暖の差や喫煙で咳が出やすくなるのが特徴です。
のどに違和感(イガイガした感じ)を伴うこともあり、長話をした際、のどが渇いたり枯れたりもします。
咳の発作が激しい場合は、胸の痛みを感じたり、嘔吐、激しい場合は失神したりすることもあります。

咳喘息は、喘息の前段階といわれています。
咳喘息を放置すると、本格的な喘息に移行してしまうことがあるので、そうなる前に正しい治療をし、健康管理を続けることが大切です。大体30-40%が本物の喘息に移行するといわれています。

風邪を引いた後、咳がずっと続いている場合、病歴を詳しくたずねた上で、さまざまな症状から総合的に診断します。
以下の診断基準を満たす場合に、咳喘息と診断されます。

咳喘息の診断基準

  1. 喘鳴を伴わない咳が8週間以上続く
    (聴診器で聞いても呼吸にゼイゼイ、ヒューヒューという音が聞こえない)
  2. 喘鳴、呼吸困難などを伴う喘息に今までにかかったことがない
  3. 8週間以内に上気道炎(かぜ)にかかっていない
  4. 気道が過敏になっている
  5. 気管支拡張薬が有効な場合
  6. 咳を引き起こすアレルギー物質などに反応して、咳が出る
  7. 胸部レントゲンで異常が見つからない

一般診療所では、詳しい検査ができないので、上記1・5の二つを満たすことで、咳喘息と簡易的に診断することが多いです。
咳が続いているのはかぜが長引いているせいだろうと、かぜ薬や抗生物質、咳止めを用いても、咳喘息の場合はほとんど効果がありません。

咳喘息の治療には、気管支拡張薬(気管支を拡張させて空気の通り道を広げる薬)や吸入・経口のステロイド薬を使います。

気管支拡張薬を使って、咳がある程度治まれば、咳喘息と診断し、吸入ステロイド薬を使った治療を開始します。
吸入ステロイド薬は、1/1000ミリグラム単位の少量でも気道に直接作用して、優れた抗炎症作用を発揮します。全身的な副作用の心配も少なく、長期にわたって用いることができます。抗アレルギー薬、気管支拡張剤の内服を使用することもあります。

最近では、吸入ステロイド薬と気管支拡張薬をひとつの薬として配合した喘息治療薬も出ており、症状の強い方には処方されることもあります。当院では、気管支拡張剤として、テープ製剤を貼ってもらい、効果をみることが多いです。その効果をみた上で、次の吸入ステロイドにいくか、吸入ステロイド+気管支拡張剤の吸入薬にするか、評価します。
治療前の重症度は、毎日咳がでるか、週に何回夜間咳で起きるか、どの程度日常生活が妨げられるかで判定します。

症状が良くなったからといってすぐに治療を止めてしまうと再発することがあるので、数カ月間は続けることが大切です。ただ、症状が良くなればもう受診されない方が多いです。
何とか継続受診してもらうよう説明はするのですが、自己判断で吸入中断しているケースはかなり多いと思われます。
治療開始後短期間で症状が軽快,消失した患者にいつまで治療を続けるかはまだ定まった説はありません。
喘息に準じたステップダウン,ステップアップ方式による長期治療が原則です。
症状、薬の使用状況をみて、薬をステップダウンしていきます。
咳の発作がある場合は短時間作用型吸入β2刺激薬(吸入 SABA・メプチン、サルタノールなど)の頓用する場合もあります。
症状を評価し,無症状かほぼ無症状なら吸入ステロイド以外の薬(抗アレルギー薬、気管支拡張薬など)を 1剤ずつ減らしていき,さらに吸入ステロイドを半減していきます。
治療開始 1-2年後に吸入ステロイドを最低用量まで減量できて無症状なら中止を考慮してよいとされています。
咳喘息はそのまま自然に治ることもありますが、前述したように、約 30 ~ 40%が喘息に移行するといわれています。
喘息への移行を食い止めるためにも早い段階で薬を使って、気道の炎症を抑える必要があります。
特に吸入ステロイド薬の使用は「咳症状の治療」とともに「喘息への移行を予防する」効果が期待できます。

長く続く咳の原因に咳喘息以外に下記の疾患があります。

以上のように、長引く咳といっても病態は多様です。胸部に異常のある咳も多いですし、忘れてはいけないのが、血圧を下げる薬の一部に咳を誘発する薬があるということ。
血圧の薬を服用されている方は一度チェックしてみてください。
一般の診療所では、症状の経過を見ながら薬剤を使い、増量・減量、薬剤変更・追加などしていきます。もちろん軽快しないときは専門科の受診をお勧めしています。
風邪のあと咳が続くときは市販薬に頼らず、一度受診してみてください。ください。

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

編集後記

12月29日(土)午後~1月6日(日)まで、年末年始休暇を頂きます。今年は少し長いです。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
当方でも、薬が切れないよう注意しますが、皆様もご注意ください。

インフルエンザ予防接種は1月もする予定です。
ワクチンの入荷がどうなるかまだわかりませんので受付にお問合せください.。

いつも編集をしてくれる担当者が休んでいて、編集に苦労しました。