2020年11月 No.180

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

11月後半になりました。

11月中旬は暖かい日が多く、夏日を記録した日もあり、日中は半袖で過ごせそうでした。
下旬になり、急に寒くなってきました。
今年も残すところあと1カ月。年末年始に向けいろいろ準備しないといけません。

 新型コロナ感染症 

今年はコロナに振り回されました。いろいろな学会、集会、催しが中止になりました。
政府は冷え込んだ旅行業界、飲食業界を盛り立てようとGoToキャンペーンを開始しました。
その結果かどうかはわかりませんが、現在コロナ感染症が増加し、第3波が到来しています。
大阪府もコロナ病床の稼働率が50%を超え、このままでいくと、医療崩壊が懸念されるところまできています。

厚生労働省・大阪府はかかりつけ医にもコロナ感染症、発熱患者の診療をするよう要請しました。泉大津市医師会、行政、保健所で検討した結果発熱患者初診時にはまず電話をしてもらって、医院の外でコロナ唾液PCR検査用の容器をお渡しして、自宅で唾液を採取してもらい、指定された回収場所に持って行ってもらうという方法が11月24日より開始されています。できれば家族に容器を取りにきてもらい、回収場所に持って行ってもらうことを考えています。

当院はかかりつけ患者さんに限って、発熱の診療をするよう届け出をしています。
まだ始まったばかりで、試行錯誤の状態です。
発熱、感冒症状、呼吸困難のある場合はまず電話連絡してください。

 新型コロナワクチン 

米国ファイザーが開発している新型コロナワクチンが90%以上の有効率があったと報道されました。かなり魅力的な結果です。mRNAワクチンとのことです。

輸送・保管が-70℃の設備が必要ですので、一般診療所での接種はどうなのかな?とも思いますが、できるだけ早い時期の接種開始が期待されます。

 インフルエンザの予防接種 

ワクチンの予防効果持続期間は5 ヶ月程度と推定されています。インフルエンザワクチンは打てば必ず発症がおさえられるというワクチンではなく、その役割はかかりにくくすることと、かかっても免疫があるために重症化しないことです。ワクチン接種により死亡者や重症者を減らすことが期待されています。

今年は新型コロナウィルス感染症もありますので、できるだけインフルエンザワクチン接種をお勧めします。

 ワインエキスパート 

私事ですが、今回日本ソムリエ協会(JSA)認定のワインエキスパートを取得することができました。恥ずかしながら3回目の受験でした。

ソムリエはワインサービス実務経験が無いと受験資格がありません。
ワインエキスパートは、ソムリエとほぼ同じ知識が問われますが、誰でも受けられます。

一次試験は、ワインの知識を問うマークシート型の試験です。
実際にはCBTというコンピューターで解答する試験で、結果はその場で出ます。
これに2年間通らなかった。

今年はコロナがあり、あまり外出できなかったので、勉強する時間があったこということでしょうか。
二次試験は診療を休んで、10月12日・月曜日に行ってきました。
これはテイスティングの試験で、赤ワイン2種類、白ワイン2種類、スピリッツ1種類が出ます。外観、香り、味わい、サービスのコメントをしていき、最終的にそのワインの国、収穫年、品種を解答します。
従来でしたら、口に含んでテイスティングした飲料は飲まずに吐き出すことができるのですが、今年はコロナの影響で吐き出すことが許されず、口に入れた飲料はすべて飲み込まなくてはいけませんでした。

8月末から10月12日まで試験対策をしていました。診療が終わった夜は必ず、土日は昼からワインテイスティングの勉強してました。
対象ワインは吐き出さず、すべて飲み込んでいました。そのためか、9月中旬に行われた医師会の健康診断では、体重増加、γGTP、中性脂肪軽度上昇がありました。
今年落ちてたら、また一年間修行しなくてはいけなかったため、ほっとしています。

マラソン・ジョギングが趣味で月100-200㎞走っていたときより体重が6-7㎏増えてしまいました。もうフルマラソンを走ることは無いでしょうが、せめてハーフとか10㎞は走れるようになりたいので、これから生活を見直していきます。ワインは楽しむ程度にします。

冬の皮膚トラブル

暑さの厳しかった夏には「日焼けする」「肌がベタベタする」と言っていたはずが、いつの間にか「冷える」「カサつく」シーズンが到来。
夏は80%近かった平均湿度も、冬ではそこから30%以上低くなります。
冷たく乾燥した風は容赦なく皮膚のうるおいを奪っていきます。
また、皮膚のうるおいは、加齢とともに徐々に低下。
そのため、年齢を重ねるごとに、より真剣に皮膚トラブル対策に取り組む必要があるのです。
皮膚の仕組みや皮膚トラブルの起こる原因を知って、正しく予防、治療しましょう。

 皮膚組織 

私たちの皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層構造となっています。
一番外側の表皮はわずか 0.2mm 程度。
0.2mm というと官製はがきの厚さ(0.22mm)と同じくらいです。
表皮はさらに表面から、角質層(角層ともいいます)、顆粒層、有棘層、基底層の4つの層に分かれます。
表皮では、いちばん奥の基底層で日々新しい細胞が生まれ、少しずつ形を変えながら表面に押し上げられていきます。
そして、最終的には古くなった細胞が垢として皮膚表面からはがれ落ちます。
これが皮膚の「ターンオーバー」で、個人差もありますが健康な皮膚では28-40日の周期でターンオーバーが繰り返され、つねに新たな細胞に入れ替わっています。

ところが、何らかの原因でターンオーバーのサイクルが乱れると、古くなった角質細胞がいつまでもはがれずに表皮に残ったり、角質層の細胞の間を埋めている細胞間脂質などの保湿成分が作られにくくなったりします。

皮膚のターンオーバー

 皮膚のバリア機能 

角質層では、角質細胞と細胞の間を、細胞間脂質や水分などの保湿成分が埋めています。

皮膚の一番外側には、『角質層』と呼ばれる薄い層があり、健康な角質層には、10%~30%程の水分が含まれています。
そして、二つの機能を持っています。
一つは、紫外線や乾燥、細菌などの外部刺激から体を守る働き。
もう一つは、体内の水分が蒸発してしまうのを防ぐ働きです。
この二つの働きのことを『バリア機能』といいます。
角質層の水分量が低下すると、『バリア機能』も低下します。
『バリア機能』が低下した肌は、外部の刺激に敏感になり、乾燥したりかゆみを感じたりします。

皮膚のバリア機能

お肌の『バリア機能』は、角質層の中にある3つの保湿因子によって維持されています。
皮脂膜、天然保湿因子(NMF)、角質細胞間脂質この3つは『3大保湿因子』と呼ばれていて、それぞれ異なった働きがあります。

皮脂膜は皮膚の一番外側にあり、角質層を覆っている薄い膜です。
細菌の増殖を抑制し、外部刺激をブロックしてくれます。
また皮膚の水分の蒸発を防ぐ役割があります。
天然保湿因子(NMF)は角質層の内部にあり、水分を保持する役割があります。
半分はアミノ酸でできていて、高い吸湿性があります。
この天然保湿因子が水分を保持することで、弾力性のある健康な角質層が形成されます。

角質細胞間脂質は角質層の細胞と細胞のすき間を埋めていて、水分の蒸発を防ぐと共に、細菌などの異物の侵入を防ぐ役割があります。
主成分であるセラミドは、保水力が高く、お肌の潤いを保つのに役立ちます。

『バリア機能』を正常に働かせるためには、これらの『3大保湿因子』のバランスがとても重要で、潤いのある皮膚を作ることができるのです。
『バリア機能』が低下すると、水分を保つ力が弱まり、乾燥肌になります。
また、細菌等の外的刺激が内部に侵入しやすくなるため様々なトラブルを招いてしまいます。

気温湿度が低下し、乾燥する冬はあかぎれ、ひびわれ、乾燥によるかゆみなど皮膚トラブルが多発する季節です。防寒のためのエアコンもますます皮膚を乾燥させてしまいます。

しかし、皮膚のトラブルは気温や湿度の低下ばかりが原因になっているわけではありません。
知らない間に皮膚にダメージを与えている長年の生活習慣が引き金になったり悪化させていることも多いのです。
では、皮膚に悪い習慣をあげていきます。

などが挙げられています。
熱い湯が皮脂を取るのでよくない、というのはあまり私も認識していませんでした。
改善策ですが、手洗いをするときはよく石鹸を泡立てて、その泡で洗う。
水仕事の際には手袋をする。
手を洗いすぎない。など気をつけてください。
入浴は楽しみにしている人も多いので、あまり長湯をするな、というのではなく、保湿剤を入浴のときに使うようにしたほうがいいと思います。

スキンケアの基本は清潔と保湿です。
薬物療法としては、皮膚に潤いを与える保湿剤、かゆみや湿疹を抑える塗り薬、飲み薬があります。

保湿剤で一番つかうのはワセリンです。
角質が厚くなった場合は尿素製剤(ウレパールなど)を使います。

ヘパリン類似物質(ヒルドイド)も角質の水分含有量を増加させ、皮膚の潤いを保ちます。血行をよくする働きもあります。
高齢者の皮膚では、角層は剥がれにくくなり,角層が厚くなる。
その結果、亀裂(いわゆる「ひび割れ」)が生じやすくなる。
角質層水分量が低下し、皮膚バリア機能が低下すると、通常は真皮内に留まっている神経線維が角層直下まで伸長します。
その結果、かゆみ閾値が低下すると考えられています。

抗ヒスタミン剤などの内服が有効な場合もあります。
角質層バリアが傷害されると、表皮からさまざまな炎症性サイトカインが産生・分泌されるため、バリア機能低下が著しい場合や、掻破が加わるとさらにかゆみが増強し皮膚炎(=湿疹)が生じうる。

保湿剤だけでは足りず、湿疹になってしまった場合、ステロイドの塗り薬が必要となります。
皮脂欠乏性皮膚炎などともいわれている状態です。こうなる前に受診したほうがいいです。
ステロイド外用薬を使わないことにより、皮膚炎が悪化する場合があります。
受診して、指示通り正しく使えば決して怖い薬ではありません。
乾燥した状態が続くと、ひび割れ、あかぎれという状態になることもあります。痛いです。
こうなったら、受診しておかれた方がいいと思います。

生活習慣を見直して、保湿剤を使い、冬の皮膚トラブルを避けましょう。
湿疹になったり、かゆみ・痛みが我慢できなければ、早めに受診してください。

図は第一三共のサイトより引用しました。

肌荒れを起こしやすい皮膚の状態

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

編集後記

★インフルエンザ予防接種★

忠岡町在住の65歳以上の方は今年に限り大阪府の補助も出るので、無料です。

65歳未満の一般の方は一回接種でお願いします。
費用は3500円です。

★年末・年始休暇のお知らせ★

年末は12月29日(火曜日)まで診療します。
12月30日(水曜日)~1月4日(月曜日)まで休診させていただきます。
1月5日(火曜日)から通常診療となります。

ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。