2021年 2月 No.183

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

つい先日新年を迎えたかと思ったら、もう2月の後半です。20度を超える暖かい日があり春を感じた途端、2日後には雪が降るほど冷え込んで。三寒四温とはよく言ったものです。寒暖の差が激しいので、体調管理にはお気を付けください。春はもうすぐ。

連日、新型コロナウィルス感染症のニュースばかりが入ってきます。
1月初旬から中旬は感染者も多く、重症の方も多かったので、一時は入院させる病院がないという状況でした。今は緊急事態宣言中で、不要不急の外出は避けるように勧告されています。その効果のためか、全国的にコロナ感染者は減ってきています。
入院先の確保も余裕あり、と聞いています。大阪府は2月末までの緊急事態宣言解除を検討されています。
2月に入って、忠岡町の新型コロナウィルス感染者は22日時点で0だそうです。
このまま収束することを願っています。

泉大津市医師会では、発熱患者初診時にはまず医療機関に電話をしてもらって、診療所の外でコロナ唾液PCR検査用の容器をお渡しして、自宅で唾液を採取してもらい、指定された回収場所に持って行ってもらうという方法がとられています。発熱患者を安易に院内に入れないことが最重要だからです。
必要な場合は問診のみで解熱剤の処方も可能です。今のところうまく実施されています。
症状のある場合はまず電話連絡してください。

コロナの対策が進んだためか、今シーズンはインフルエンザの発症が全国的に少ないです。私も今シーズン診たことはありません。インフルエンザとコロナが混在して大変なことになるのでは、と危惧していたのですが、杞憂に終わりそうです。

現在コロナウィルスワクチンの医療従事者への予防接種が始まっています。
今は重症のコロナ感染症を診療している大病院の医療従事者に対して接種中です。その次が我々のようなコロナ感染症の診断に従事する医療従事者。その次が65歳以上の高齢者、基礎疾患をもつ方となっています。

当院でも、高齢者の定期受診時のコロナワクチン接種は考えていますが、まず集団接種で様子をみてからと思っています。
やはり副反応が懸念されるからです。中でもアナフィラキシーショックは重篤な副反応で、発症したらアドレナリンの注射は必須で、救急蘇生処置・病院搬送が必要なケースもあります。新型コロナワクチンは他の予防接種ワクチンに比べ、アナフィラキシーの頻度が高いと言われていました。
しかし、ファイザー社の新型コロナワクチン接種後にVAERSに報告されたアナフィラキシーは、2021年1月18日時点で50例(9,943,247回中)で、100万回あたり5例。74%が接種後15分以内、90%が接種後30分以内に発生しており、80%はアレルギーの既往のある者であったとのことで、それほど多いものではないかもしれません。それでも、15-30分の接種後観察は必要と思われます。

 腰のヘルニア、注射で治療 

腰痛や脚の痛みを引き起こす腰椎椎間板ヘルニアの治療の現場で、新しい治療剤「ヘルニコア」が導入されています。
腰椎椎間板ヘルニアは腰痛や脚の痛み、下肢の痺れなどが主症状で、MRI画像などを基に診断します。男性に多く、主に20~40代で発症しやすいとされています。
人口の1%ほどが発症するとされ、そのうち手術に至るのは年間で約3万人だそうです。
多くの場合数カ月で自然に軽快することが多いです。改善しなければ内視鏡手術などで出っ張りを取り除くのが一般的でした。
ただ手術時に全身麻酔が必要で手術前後に1週間ほど入院、その後長いリハビリを要するのが難点でした。ヘルニコアによる治療では、薬剤の主成分であるコンドリアーゼというたんぱく質を髄核に注射して保水成分を分解します。水分による髄核の膨らみが収まり、椎間板の出っ張りが和らいで、神経の圧迫を軽減させます。
全身麻酔による手術が不要で、患者の負担が軽減できます。今後利用がさらに進みそうです。内痔核に対するジオン注射みたいな感じでしょうか。期待できますね。

このあたりでは、岸和田市民病院、和泉市立総合医療センター、葛城病院などで実施可能だそうです。椎間板ヘルニアによる腰痛、下肢痛でお困りの方はまたご相談ください。

呼吸音

内科疾患で受診の方には胸部の診察をしています。聴診器で胸部背部の心音と呼吸音を評価しています。
前回は心音について書きましたので、今回は呼吸音について説明してみます。
呼吸音につき評価するのは主に2つです。

左右差があるか、雑音があるかどうかです。
左右差については、いずれかの肺の音が聞こえるかどうかが主になります。
両方聞こえないというのは生きている方ではありえないので、どちらかの呼吸音が低下しているかどうかを主に診ます。
一方の肺で呼吸音が低下しているという事は気管支が詰まっている事を意味することが多いです。いわゆる無気肺の状態です。
他に気胸、胸水貯留でも呼吸音は減弱します。
この所見があれば通常でしたらレントゲンで確認します。
聴診では同じ高さの部位の右左両方聴くことが標準ですが、これは左右差を気にしているからです。

次に肺雑音です。
実は私が学生時代に習った呼吸音の表現は、20年前に診療所を継承して改めて内科疾患を勉強したとき、かなり変わっていました。
学生時代に習った肺雑音の事はラ音と呼ばれ、ドイツ語の呼吸器の異常音ラッセルに由来する言葉でした。
湿性ラ音、乾性ラ音と分類されていました。
湿性ラ音は心不全・肺炎の時に聞かれ気管支に液体が貯留した状態の音。プチプチと言う音です。
肺のイメージ乾性ラ音は、気管支が狭くなったときの音・ロンカイと、喘息のときのパイピングラ音(笛音)、間質性肺炎・肺線維症などに聞かれるベルクロラ音という音に分けられていました。

正常な呼吸音については私が学生時代に習った内容とほぼ同じでした。
気管音と気管支音、肺胞音の3つです。
気管音は頸部で聴取できる高い音です。
吸気呼気ともに聞こえます。
気管支呼吸音は吸気・呼気ともに聴こえる中程度の音です。肺胞呼吸音は肺野末梢で聞かれる音で、吸気すべてと呼気の最初の瞬間に聞こえる低い音です。

肺雑音については現在米国胸部学会の分類が使用されています。
肺の雑音としては副雑音と呼ばれ、連続性雑音と不連続性雑音に分けられます。
連続性雑音については低調性・高調性に分かれます。
不連続性雑音については粗い音と細かい音に分けられます。
肺以外の胸壁性の異常音として胸膜に炎症がある場合の胸膜摩擦音(frikcion rub/フリクションラブ)があります。

細気管支から肺胞

では、1つずつ説明していきます。

連続性雑音については低調性・低い音と高調性・高い音の2つに分けられます。

低調性連続性副雑音はウーウー、グーグーという低めのいびきのような連続した音です。
吸気にも呼気にも生じることがあります。
いわゆるロンカイと言われる雑音で、これは以前私が習ったものと変わっていませんでした。
気道で狭くなっているところがある、という所見です。 主に炎症、腫瘍、分泌物による太い気管の狭窄があることが多いです。
代表的な疾患として、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支拡張症、気道異物、肺がんなどによる中枢気道の狭窄が挙げられます。

次に高調性の連続性雑音で笛のような音という高い音です。
高調性連続性副雑音(笛音・wheeze)喘息の時によく聞かれます。
ヒューヒュー、ピーピー、キューキューという音が聞こえます。

断続性雑音は細かい断続性副雑音と粗い断続性副雑音に分かれます。
細かい断続性複雑音はチリチリ、パリパリと言う細かい破裂音です。
捻髪音とも呼ばれ髪と髪を擦れ合わせたような音と表現されます。吸気の半ばから終わりぐらいのタイミングで聴取されます。
水泡が割れるような音で気管支内に液体が溜まっていることを示します。以前私がベルクロラ音と習った音です。
ベルクロというのは、マジックテープのことで、これを剥がす時にベリベリという音に似ているために言われていました。
今ではfine crackleeと言います。
間質性肺炎・肺線維症に特徴的な音と言われています。

粗い断続性副雑音は、水の中にストローで空気を吹き込んだときに生じるぶくぶく、ゴロゴロと言う大粒の雨が立つような音です。
吸気にも呼気にも聴取されます。水泡音とも呼ばれます。肺炎や心不全で聞かれます。
以前私がモイストラ音と習っていた音です。
現在ではコース・クラックルと言います。

非肺性の腹雑音として胸膜摩擦音というのがあります。胸膜炎などで聞かれます。
胸膜と肺がぎゅっと擦れ合うような音です。吸気にも呼気にも生じることがあります。

2種類以上の肺雑音が合併して生じる場合もあります。
肺雑音が新たに聴取された場合、肺雑音の種類が増えた場合は検査が必要です。
酸素飽和度、炎症反応、胸部レントゲンなどを当院ではしています。これで肺疾患の重症度、緊急性をある程度評価します。
また、緊急を要するのはウィーズが聞こえた場合の気管支喘息発作です。
酸素飽和度94%以下なら病院搬送が必要な場合があります。

まず気管支喘息発作時の治療が岸和田市民病院呼吸器が主体となった泉州呼吸器研究会から提示されましたので、当院でもそれに則って治療をしています。
また、気をつけなければいけないのは呼吸音が変化した状態です。
既知の病変により気管支狭窄音が聞こえていたのが全く聞こえなくなったというのは、病変が改善したのなら良いのですが、さらに狭窄が進行してまた完全な狭窄になり気管支が閉塞した可能性もあります。その場合はまた精査が必要になることがあります。

肺聴診で重要なポイントは、聴診器をしっかり当てて患者さんに大きく呼吸をしてもらうということです。
肺音は心音よりも高い音のため、聴診器をしっかり密着させないと音が拾えないだけではなく、皮膚とのこすれ音(クラックルと区別しにくい)が発生してしまいます。また、大きく呼吸をしてもらうことで乱流が発生するため、呼吸音がはっきりと聴こえるようになります。

聴診時息を止めてしまう方もおられますが、心音は聞こえますが、呼吸音は評価できません。聴診
また、ゆっくりと息を吸ったり吐いたりする方、吸気と呼気の間で結構長く息を止めておられる方もおられます。少し軽めの深呼吸をリズミカルにするようお願いしたいです。
また、できるだけ聴診器は直接皮膚に当てて聴診したいですが、薄めの下着でしたらまあ許容範囲です。
服の上からお願いします、という患者さんもいらっしゃますが、上の衣服は挙げてもらうようお願いしています。
できるだけ擦れた音が無いようにしたいです。

以上呼吸音につき説明しました。
興味のある方は、耳を他の人の胸壁に当ててください。心音・呼吸音が聞こえます。
我々医療者も聴診器が無い状態でしたら、直性耳を胸壁にあてることがあります。
なかなか自分では胸壁に耳を当てることができませんので相手が必要です。
それで心音・呼吸音を聴いてみてください。
ネットでは呼吸音のサンプルを聞くこともできます。
変な音がするようなら相談してみてください。。

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

編集後記

在宅医療講演会の御案内

忠岡町役場で、在宅医療に関する講演をします。
   テーマ『えっ、最期まで家におれるの?
        あなたの疑問にお答えします』
   対 象 忠岡町に在住または在勤の方
   日 時 3月15日(月)
        14時30分~15時30分
   場 所 忠岡町ふれあいホール     

参加ご希望の方は忠岡町地域包括支援センターへ連絡ください。 0725-32-0294。