ホームドクター通信
2007年6月 No.19
◆当院からのお知らせ

 6月、入梅の季節となりました。

今年の梅雨は期間が短く雨も少ない、夏は猛暑との予想だそうです。
訪問診療もしていますので雨はあまり好きではありませんが、水不足にならないようこの時期しっかり降ってもらいたいです。
時々涼しい日もあり、寒暖の差がまだ大きいですから体調など崩されませんようお気をつけください。


《 麻疹 》

報道は少なくなりましたが、まだ学校閉鎖に追い込まれるところもあるようです。感染力が強いため、免疫の無い人が患者に接触するとほぼ100%うつるそうです。

予防はワクチン接種です。

ワクチンの国の備蓄も少なくなってきていますので、本来ならワクチンの消費を抑える意味でも麻疹の抗体検査をして、抗体が無ければワクチン接種となるのですが、残念ながら抗体を調べる試薬も検査会社に届かなくなっています。

もし、麻疹に罹患したことがないのであれば、麻疹ワクチンを接種しておかれればいいと思います。こちらも備蓄が少なくなり、麻疹単独ワクチンはもう手に入らず、麻疹風疹混合ワクチンとなります。



《 玄関改修 》

車椅子の方、足が上がりにくい方のために玄関にスロープをつけました。手すりの追加も考えております。


前回のダイエット法、少し反響をいただきました。やはりダイエットは皆様には興味があるようで…。
体重を落とすなんてできない、というご意見が多かったです。少しカロリーについての勉強は必要ですが、必ずできます。
糖尿病学会の食品交換表を待合に置いていますので参照ください。書店にもありますし、当院でのお求めも可能です。

爪でわかる遺伝子検査、提出しました。結果などはまたお知らせします。



《 ISO審査 》

7月5日、6日に当院のISO9001の審査があります。特に6日の金曜日は一日中となり、少し診療予約を制限させていただいています。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。


 今月の特集では脂質異常症をとりあげました。高脂血症のことですが、この4月から高脂血症という診断名は無くなる事になっています。









◆特集:脂質異常症について


 今までは高脂血症といわれていた疾患名が脂質異常症に改められることになりました。

 動脈硬化性疾患、ことに心筋梗塞を中心とした心血管系疾患と、脳梗塞・脳卒中を中心とした脳血管障害による死亡は、日本人の死因統計上がんと並んで大きな位置を占め、死因の30%に及んでいます。我が国の世界に先駆けた高齢化は、益々その頻度の増加が予想されます。その有効な予防、さらにその治療対策を確立することが日々研究されています。我々のようなかかりつけ医にとってもその予防、治療は重要です。


 本年4月に日本動脈硬化学会が新ガイドライン「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」を公表しました。国内外の臨床研究で得られた新たなエビデンスを取り込み、5年ぶりに改訂されたものです。今後はこのガイドラインにのっとり診療していくことになります。

新ガイドラインでの主要な変更点は次の通りです。

a.広く普及している「高脂血症」という疾患名を「脂質異常症」に置き換える方針を打ち出した。

b.総コレステロール値を予防や診療の基準にするのをやめた。

c.代わりにLDLコレステロール(LDL-C)値と、HDLコレステロール(HDL-C)値を別々に設定した。
  それに伴い、ガイドライン中にある「高脂血症の診断基準」を「脂質異常の診断基準」に改めた。


        「脂質異常の診断基準」(空腹時採血)

        1.LDLコレステロール値が140mg/dL以上
        2.HDLコレステロール値が40mg/dL未満
        3.トリグリセライド(中性脂肪)値が150mg/dL以上
               
        「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版」より
 


 従来のガイドラインでは、総コレステロール、LDL-C、中性脂肪のいずれかが基準より高いか、HDL-C値が基準より低い場合を「高脂血症」と呼び治療の対象としてきました。総コレステロール値が高いと冠動脈疾患の発生リスクが高まると考え、総コレステロール値 220mg/dL以上を「異常」としてきました。しかし、発生リスクが高いのはいわゆる悪玉といわれるLDL-C値の高い人で、逆に善玉といわれるHDL-C値は低いと良くないことがあきらかになりました。

また、LDL-CとHDL-Cを含む総コレステロールだけでは、HDL-Cが高い人を含む場合があり、リスクを正確に知ることができません。さらに、HDL-C値が低い場合も「高脂血症」と呼ぶのは適当でないので、今回の改定では病名が「脂質異常症」に変えられました。

実は当院では、診療手帳をお持ちの方はご覧になっていただきたいのですが、以前から高脂血症(これからは脂質異常症ですが)の判定には一切総コレステロールの数値を使いませんでしたので、特に違和感はないものと思います。この院内報発行以後、疾患名は脂質異常症としたいと思います。



































 治療目標については、一次予防(心筋梗塞や狭心症などの動脈硬化性の病気を起こさないための治療)と二次予防(動脈硬化性の病気を再発させないための治療)に二分します。


 一次予防では、脂質異常以外の高血圧、糖尿病などの危険因子を考慮し、生活習慣の改善を主体とする治療を求めます。危険因子の数により低リスク、中リスク、高リスクに三分したうえで、それぞれ管理目標を設定します。管理目標値は以前と変わりなく、LDL(悪玉)コレステロールで低リスク:160、中リスク:140、高リスク120以下です。

これまでに狭心症や心筋梗塞などの動脈硬化による病気をすでに持っている人は、再発を防ぐために厳格な治療が必要でLDL-コレステロール 100未満を目標に治療します。これも従来と同じです。

薬物治療の基準については「生活習慣の改善を行ったあと、薬物治療の適応を考慮する」とし、「3〜6カ月間、生活習慣の改善を行ったにもかかわらず、LDL-C管理目標値が達成できない場合」と明記されました。


 一方、動脈硬化性の病気の発症リスクが高く、二次予防が必要な患者については、生活習慣の改善とともに薬物治療を求められます。

糖尿病・耐糖能異常(糖尿病予備群)も、脳梗塞や冠動脈疾患の発症率を高めることから、危険因子として位置づけられます。
一般論として、コレステロールはやや高めがいい、という説があるのは知っています。しかし、このガイドラインを一読して、高リスクの方、糖尿病や心筋梗塞・狭心症にかかったことのある人のLDL管理目標値は低く設定したほうがいいという印象をうけましたので、これまで以上に厳格なコントロールを考えていこうと思っています。













◆かかりつけ患者さん募集中

 最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。



◆編集後記

6月号も少し遅れてしまいました。

今年度、毎月発行を目標としていますので、頑張ります。

今後はスタッフからのお知らせやお便りなども載せられるよう画策中です。

みなさまからのご意見、ご希望もお聞かせください。