2021年11月 No.192

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

11月も終わりに近づいてます。
すごく寒くなりました。
外出にはコートなどが必要です。
今年もあと一か月。早いです。
街はクリスマスモード。人出も戻ってきているように見えます。年末年始の用意をしなくては。
コロナ感染は大阪でも大分減っています。
このまま終息してくれればいいのですが,ちょっと気になるニュースが出ました。

南アフリカで急激に増えている新型コロナウィルスが出現し、WHOはVOC:Variants of Concern(懸念される変異ウイルス)に指定しました。
次々と現れる新型コロナの変異ウイルス。
当初「インド型」と呼ばれていたものが「デルタ株」のように、ギリシャ語のアルファベットが使われています。
新たなコロナの変異株はオミクロン株と命名されました。
直近に用いた文字は「ミュー(μ)」だったが、アルファベット順で続く「ニュー(ν)」「クサイ(ξ)」を飛ばして「オミクロン(ο)」を使ったのは、発音が似た英単語との混同や人名を避けるためと説明しました。
ニューはミューと紛らわしいから。
「クサイ」は英語で「xi」と表記します。
中国の習近平(しゅうきんぺい・シーチンピン)国家主席の「習」の字も英語で「xi」と記されることから、WHOが中国に配慮し「クサイ」を飛ばしたようです。
このオミクロン株、なんとか日本に入るのを阻止してほしい。
3回目のコロナワクチン接種も始まります。
また詳細が分かり次第お知らせします。
引き続き三密を避ける、マスク、手洗いなど感染対策をお願いします。

先月の院内報でアルツハイマー病の特効薬かもしれない、米製薬会社大手バイオジェンと日本のエーザイが開発したアデュカヌマブがアメリカFDAで承認されたという記事を掲載しました。
アルツハイマー病の主たる病態とされるアミロイドベータ蛋白の沈着を低下させるというこれまでにない薬理作用で、期待されている薬剤です。
ちょっと暗雲に乗り上げているようです。
米国神経学会がaducanumabについて、倫理的指針を作成しました。
その指針では、同薬は脳内の異常蛋白質Aβを減少させる一方で、Aβの減少が患者に認知機能の改善をもたらすかはいまだ不明としました。
その上で、同薬投与例では、3割で脳浮腫、2割で脳微小出血が認められたことから「頻回なMRI検査によるモニタリングが必要と指摘。
さらに薬剤費が高額なため、「患者やその家族がリスクとベネフィットについて、十分な情報を得た上で意思決定できる情報を提供すべき」としました。
さて今後どうなりますか?なかなか難しいですね。

日本の認知症の第一人者であった長谷川一夫先生が11月13日に老衰のため、逝去されました。
92歳でした。74年に認知症の診断に使われる認知機能検査・長谷川式簡易知能評価スケールを発表。
91年に改訂され、今でも広く臨床現場で使われています。
ちょっと最近もの忘れが、という患者さんに対して当院でも最初に施行します。
また、認知症患者のその人中心のケア(パーソン・センタード・ケア)の理念を普及させました。
また、平成16年厚生労働省の委員として、痴呆という用語を認知症に変えるのに貢献されました。
最初、認知症??と思っていましたが、慣れるものですね。
定年退官後、平成29年10月に自ら認知症になったことを公表され、「ボクはやっと認知症のことがわかった自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言」など数冊の本を出版されています。
ご冥福をお祈りいたします。

進行性の眼疾患である老視(老眼)。
多くは40歳前後から日常生活が妨げられ、老眼鏡が無いと近くのものが見えにくくなります。
近年、老眼を改善する治療薬の開発が進められており、1日1回投与で老眼を改善する初めての点眼薬が米食品医薬品局(FDA)に承認されました。
ムスカリン性コリン受容体作動薬で、ピロカルピン(商品名サンピロ)。
この点眼薬は、実は日本では緑内障または診断・治療を目的とする縮瞳を効能・効果として保険適用され、もう既に使用されている薬なんだとか。
老眼では、加齢に伴う水晶体の弾性力の喪失や毛様体筋の衰えにより、近くの物体に焦点を合わせる能力が低下します。
しかし、ピロカルピンを点眼することで瞳孔の大きさが縮小し、遠方視力に影響を与えることなく近方視力と中間視力の改善が期待できるそうです。
点眼から15分程度で効果が現れ、最大で6時間程度持続するとされています。
6時間おきに一日3回使用したら、起きている間中老眼が改善されるのかな?一回使用するのなら、スポーツなんかするときによさそうですね。
日本ではまだ老眼としての保健適応は無いようですけど。試しに使ってみたくなります。

ぎっくり腰

日本人の約7割以上が生涯に一度は腰痛を経験するといわれています。
いわゆる「ぎっくり腰」は急に起こった強い腰の痛み(腰痛)を指す一般的に用いられている名称(通称)で、病名や診断名ではありません。
ぎっくり腰の正式名称は急性腰痛症あるいは腰椎捻挫症です。

突然発症し、しばらくは動けないほどの痛みに見舞われることが特徴です。
何の前ぶれもなく突然起こるので、ヨーロッパではぎっくり腰を「魔女の一撃」といいますが、まさにそんな感じです。
腰椎や椎間板に病変の無い(原因がよくわからない非特異性腰痛)場合、2週間から1か月くらいで自然に症状がおさまってきます。
若い人から中高年まで幅広い年代に発症し、男女差はありません。

痛みの原因は実はよくわかっていません。
考えられる原因はさまざまで、腰の中の動く部分(関節)や軟骨(椎間板)に許容以上の力がかかってけがしたような状態(捻挫、椎間板損傷)、腰を支える筋肉やすじ(腱、靱帯)などの柔らかい組織(軟部組織)の損傷などが多いと考えられます。
仙腸関節の捻挫、ねじれ、亜脱臼が原因であるとする整形外科医もおられます。重い荷物を持ってぎっくり腰

ぎっくり腰を起こしやすいのは、前かがみの姿勢を取ったときです。
前かがみになって重いものを持ち上げようとしたときにぎっくり腰を起こすことがよくあります。
また、洗面台で顔を洗おうとしたとき、靴を履くとき、ゴルフなど腰をねじるなどの動作をしたときなどに起こることも多いです。
しかし、くしゃみ、咳をしてり、朝起きた直後や何もしないで起こることもあります。

 ぎっくり腰の対処法 

1か月未満で軽快するぎっくり腰の場合の典型的な例をあげます。
発症直後は激しい痛みに襲われますが、2-3日たつと痛みが徐々に和らいできます。
一週間ほどで痛みはさらに軽くなり、一か月もたつと痛みはほぼ治まります。
ぎっくり腰を起こした直後は、腰に負担をかけない姿勢を取ります。
膝を軽く曲げて横向きに寝る、あおむけに寝て膝を軽く曲げ、膝の下にクッションなどを入れる、仰向けに寝て、低めの台に足をのせるなどの姿勢をとるといいです。

ぎっくり腰直後の対処法

図:NHK今日の健康・富山大学整形外科教授・川口善治先生監修

冷やすか温めるか、ですが、一般的に急性期は冷やす、慢性期は温めるとなっていますが、ぎっくり腰の場合、どちらでもいいです。
本人の楽になれる方を選択するとよいです。
シップをする場合は、鎮痛効果をあるものを選べばいいでしょう。
以前は痛みのある間は安静にしておくとよい、と言われていました。
しかし、急性期(発症後2-3日)を過ぎたら多少の痛みはあっても、積極的に身体を動かすようにしたほうが痛みが早く軽快することがわかってきました。
普通の生活をするように心がけることが大事なようです。

下肢に痛みやしびれがあったり、力が入らないなどの症状があったりするときには椎間板ヘルニアや中年以上では腰部脊柱管狭窄症などの病気(疾患)の可能性もあります。
さらに、がんが転移して弱くなった背骨の骨折(病的骨折)や、ばい菌による背骨や軟骨(椎間板)の化膿など重大な原因が潜んでいることも時にあります。
通常ではない強い腰痛のときは受診して正しい診断を受け万が一にも重大な原因に対して手遅れにならないように注意する必要があります。

受診された場合、原因となる疾患がないかどうか調べます。
ただ、最近のガイドラインでは、初回で下肢の痺れがない場合、腰椎のレントゲンは必ずしも必要ないと書かれていました。
私は、まだ受診されたら、レントゲンは撮りますが。
今度から聞いてからしようか。
腰痛の危険信号があり、これがあれば早期の画像診断が必要とされています。

危険信号とは

  1. 年齢、20歳未満、55歳以上
  2. 時間や活動性に関係のない腰痛
  3. 胸部痛
  4. がん、ステロイド治療中、AIDSに罹患
  5. 栄養不良状態
  6. 体重減少
  7. 広範囲に及ぶ神経症状
  8. 構築性脊柱変形
  9. 発熱

上記がある場合は、画像検査、血液検査などで精査します。
下肢の痺れがある場合(神経症状あり)は、早めに病院で腰椎MRIを撮ってもらって、神経の圧迫状況が無いか調べます。
特に原因疾患がなく、ぎっくり腰だろうと思われたら、痛み止めと湿布で経過をみます。
ガイドラインで示された診療のアルゴリズムがあるので、参考までに提示します。
私はこれを見ながら腰痛診療しています。

腰痛診療のアルゴリズム

ぎっくり腰を起こした人の半分が1年以内に再発するともいわれています。

腰痛発症・再発予防のために必要なこと

1. 無理な姿勢を避ける荷物を持ち上げる姿勢

前かがみの姿勢で重いものを持ったり、急に腰をひねることは避けます。
床から物を拾ったり、物を持ち上げるときにも、必ずひざを曲げるくせをつけるようにします。
顔を洗うときは、腰だけを倒すのでなく、ひざも少し曲げます。これだけで腰にかかる負担がかなり軽減されます。
中腰で長時間作業するのも避けた方がいいです。どうしても仕事などで必要は場合はこまめに休憩を取って、腰をゆっくり伸ばすなどの運動をすることが大切です。
椅子にずっと座っているときも、適宜立ち上がり軽い屈伸運動(ひざを少し曲げる程度)で腰部の血流をよくすることを心がけましょう。

2. 朝起きるときには、すぐにからだを起こさず、布団の中で横になり腰を丸めた姿勢をとります(胎児のような姿勢)。
こうすることで、椎骨の間が開き、周辺の筋肉なども伸ばすことができます。

3. 急に伸びをしたり、腰をひねるような動作は控えます。
伸びをすると腰がリラックスするように思えますが、急に行うと反対にぎっくり腰を起こすことがあります。

4. 適度な運動をする。
運動には、疲労回復、筋肉の強化、体力の向上など多くの効果があり、腰痛の予防に役立ちます。
ウォーキングでも十分に効果があります。
靴はウォーキングシューズが適していますが、普通の靴の場合には厚めの中敷を敷き、歩くときのショックをやわらげるようにします。
また、腹筋と背筋を鍛えることが予防につながります。
腹筋背筋は寝てするのが効果的ですが、難しい人は椅子に座って同様の体操をするといいです。つまり椅子にかけて、頭をお腹に近づける。
背中を反らすなどの運動です。

5. 肥満を防ぐ
体重が重いと腰にかかる負担も大きくなり、腰痛がおこりやすくなります。適度な食事を心がけ、運動をして、適正な体重を保つようにしましょう。

6. ストレスを軽減する。
ストレスが続くと痛みにも敏感になります。
また急性腰痛が持続することに、心理的要因があることが知られています。
休養を十分にとること、自分の好きなことを生活に取り入れて、ストレスを軽減しましょう。

以上、ぎっくり腰(通称ですが)について、書いてみました。
特に予防のところに気をつけて、ぎっくり腰にならないようにしましょう。
私も一度なったことがあるので、気をつけます。
なったら痛いし、日常生活にも支障が出ますので。

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

編集後記

★インフルエンザの予防接種しています★
忠岡町在住の65歳以上の方は1000円の費用負担で接種します。一般の方は、3500円です。
一回接種でお願いします。
今年はワクチンの供給が遅れたこともあり、年明けの接種期間延長が検討されています(昨年は1月末まで)。
まだ決定ではありませんので詳細がわかりましたら、またお知らせします。

★年末・年始休暇のお知らせ★
年末は12月29日(水)まで診療します。
12月30日(木)~1月3日(月)まで休診させていただきます。
1月4日(火曜日)から通常診療となります。

ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします