2022年4月 No.197

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

4月も後半になりました。
春爛漫というのにふさわしい時期になっています。
まだ少し寒い日もありますが。
もうダウンコートは要らないかな。

来週は連休です。
桜の花はすっかり散ってしまいましたが、思いのほか今年は咲いている日が長く、学校の入学式の時期にも咲いていたようです。
寒暖の差がまだありますので、衣服の調整をしてください。

まだ花粉は飛んでいるようです。今はマスクをしているので、症状は皆さま軽いようですが。

 新型コロナウィルス感染症 

現在はオミクロン株が主流になっていますが、オミクロン株の一種で感染力が強いとされる「BA.2」への置き換わりが急速に進んでいます。

新しいデータでは約7割が「BA.2」の疑いがあるといわれています。また、イギリスなどでオミクロンの変異株XEが確認されました。
WHO(世界保健機関)によると、現在主流の同株2系統より感染が広がるスピードが10%ほど早いとされています。警戒が強まっています。

日本でも感染者が確認されました。
現在のところ市中感染の報告はありませんが、今後の拡大が懸念されています。

厚労省専門家組織は、XEについて全遺伝情報(ゲノム)分析により監視を続けることが必要と指摘。
専門家はオミクロン株は軽症傾向が指摘されるが、重症化することも多いと強調した上で、「XEはBA.2より感染力が強いと思われ、非常に警戒すべき存在だ」と話しています。
第6波はおさまりつつありますが、連休もあり第7波の到来が懸念されています。

反ワクチン団体の男女4人が接種会場に不法侵入しました。反ワクチン団体は、4月7日に東京都渋谷区の診療所に侵入したという情報もあり、我々も少し警戒しています。
私はワクチン接種推進派です。
機会があれば、皆さん3回目の接種をしたほうがいいと考えています。また、そろそろ4回目のワクチン接種も導入されようとしています。
国の決定に従い、自分も当院職員も接種をしますし、当院のかかりつけ患者さんにもお勧めしていこうかと思っています。

 ロシアのウクライナ侵攻 

連日、心を痛めています。

ロシアのウクライナ侵攻から2ヶ月がたとうとしており、長期化が懸念されています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて大勢の市民が国外へ避難しています。
日本にもウクライナの方が来られています。
ウクライナ東部マリウポリは、最も悲劇的で緊張状態にあるとされています。
戦争とはこんなものかと思う一方、こんなことが現代社会に許されるのか?という疑問がわいてきます。どうすればウクライナに安楽な日々が再度訪れるのでしょうか。

 iPS細胞で筋委縮性側索硬化症の治療薬 

全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の治療薬候補「ボスチニブ(商品名:ボシュリフ)」について、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用する「iPS創薬」の研究をする京都大チームが基礎段階の臨床試験(治験)で安全性や一定の効果を確認しました。

京都大学は令和4年4月15日、実用化に向けて効果をさらに詳しく調べる第2段階の治験を開始したと発表しました。
対象は、発症後2年以内など条件を満たす軽度の患者25人。
北里大病院(相模原市)や鳥取大病院(鳥取県)などで早ければ7月ごろから、1日1回、24週間にわたり経口投与します。
安全性確認が主目的の基礎段階は12人を対象に3カ月間でしたが、対象も期間も拡大して有効性や適切な投与法、投与量などを詳しく調べ、早期の実用化を目指します。

計画を指揮する京大の井上治久教授は「薬の開発は時間がかかるものだが、科学の力でできるかぎり早く開発を進め、患者さんに届けたい」と話されました。

チームはALS患者の細胞から作製したiPS細胞を使い、病気を起こす神経細胞を体外で再現。
約1500種の既存薬などを投与して効果を調べることで、白血病の既存薬、ボスチニブが治療薬候補であることを平成29年に解明した。

平成31年に基礎段階の治験を始め、治験を最後まで完了した9人のうち5人で病状の進行を止める効果が確認できたと昨秋発表していた。

ALSは、脳や脊髄の神経細胞に異常なタンパク質が蓄積するなどして発症する。
国内患者数は約9千人で根本的な治療法はありません。
そのため、数多くの既存薬などの効果を効率的に確認できるiPS創薬は、治療薬候補探索の有効な手段となっており、米ハーバード大や慶応大がこの方法で別のALS治療薬候補を発見。
それぞれ第2段階の治験を既に実施しています。私も何人かALSの患者さんを診ています。

朗報になればいいですね。

尿路結石

痛みは人の体を守るために必要な感覚ですが、激しい痛みはできれば経験したくないものです中でも「三大激痛」と呼ばれるほど、耐え難い痛みの病気があります。

これにはいろいろな組み合わせがあり、胆石、膵炎、尿管結石が一般的ですが、「尿路結石・群発頭痛・心筋梗塞」や「尿路結石・痛風・歯痛」の組み合わせも挙げられています。

また、病気ではありませんが、陣痛もかなりの痛みですので三大激痛に入ることがあります。

いずれの組み合わせでも、尿路結石は三大激痛の中に入ってきます。尿管結石は昔から、「七転八倒の苦しみ」と表現されるほどです。
夜間や早朝に起きることが多く、通常3~4時間持続します。突然の激痛を初めて経験する人は、救急車を呼ぶことも多いようです。

食生活の欧米化に伴い、腎臓から尿管、膀胱、尿道という尿の通り道(尿路・診療科で言うと泌尿器科領域)に石ができる尿路結石が増えています。
結石のある部位によって、腎結石・尿管結石・膀胱結石といいますが、総称して「尿路結石」ともいいます。
肥満や糖尿病、高血圧などのメタボリック症候群の患者に尿路結石の発生率が高いことが報告され、痛みは無くても健康診断で偶然見つかることもあります。

尿路結石は、30~60代の男性に多く、結石の9割以上は上部尿路の腎結石・尿管結石ですが、下部尿路の膀胱や尿道にも発症します。
尿路結石は、日本人では生涯のうちに結石に罹患する確率は約10%と言われています。

症状がある場合の約70%、直径が8㎜以下、特に5㎜以下の結石の場合は自然排石の可能性が大きく、全体の約60%は自然排石すると言われています。

一方、残りの30%は何らかの外科的治療を必要とします。

 尿路結石のでき方 

腎臓では水分以外に多くのものが濾過されますが、必要なものは再吸収され、残ったものが尿になります。
この尿中に含まれるカルシウム・マグネシウム・尿酸・シュウ酸などの成分が、過剰になると腎杯や腎盂で結晶化し結石となります。
多くの場合、結石は腎臓の中にできます。

結石は、腎臓にある間はほとんど痛みがありませんが、結石が腎臓から細い尿管へ下降すると突然、疝痛発作と言われる激痛を発するようになります。
これが尿管結石の典型的症状で、いわゆる“のたうちまわる痛み”です。

 尿路結石の症状 

症状としては、激しい腰背部痛・側腹部痛・下腹部痛のほかに、結石の放散痛としての精巣の痛みや、吐き気や嘔吐、血尿を伴うこともあります。また、下部尿管に位置する結石では同時に膀胱刺激症状を伴うことも多く、頻尿、残尿感が起こります。一部には腎盂腎炎を併発し、38~40度の発熱を呈することもあります。

尿管結石は激痛があるのに対し、腎臓結石では痛みは殆どありません。
大きくなって腎盂全体に結石が充満することがあり、サンゴ状結石と言われます。

また、膀胱にできる結石も痛みはあまり見られません。

尿道結石は痛み、出血を伴うことが多いです。

 尿路結石の診断 

下腹部痛、背部痛を訴える方には、まず検尿をします。血尿があったり、尿潜血検査が陽性であれば、尿路結石を疑います。
結石発作の際には肉眼的に見える血尿がよく出ますが、肉眼的に見えない場合でも顕微鏡上の血尿やテステープで確認する尿潜血反応が生じます。また、感染を伴っている場合には尿の白血球反応が陽性になります。
尿のpH(尿の酸性度)の推移によって尿路結石症を引き起こす潜在的な疾患を疑うことがあります。

痛みがあり、尿の出血がある場合、当院で最初にするのは腹部超音波検査です。

主に水腎症(腎臓の尿の出口の腫れ)をみます。この水腎症があれば、尿管で閉塞する状態があり、痛みの原因と考えられます。腎盂に続く尿管を超音波でみていきますが、結石による尿路閉塞を指摘できるのは熟練の技術が必要で、私は今まで3例しか指摘できませんでした。うち、一例は当院の職員でした。

また、血液検査で炎症反応の有無を調べます。腎機能(クレアチニン)の確認、カルシウム、リン、尿酸などの尿路結石症を引き起こす可能性のある病気の確認を行います。
カルシウムが高い場合には、副甲状腺ホルモン(PTH)を調べることで原発性副甲状腺機能亢進症の有無を確認することができます。

レントゲン検査(腎尿管膀胱単純撮影(KUB))をすることもあります。ほとんどの尿路結石はレントゲンに映りますが、キサンチン、シスチン結石、尿酸結石は映りません。
また、大きさが小さい結石や、腸管内のガス像が多い場合、結石の性状、部位により骨盤骨と重なるなど判定しにくいことがよくあります。
以前は当院でも造影剤を使った腎盂尿管造影検査をしたこともあります。
静脈内に造影剤を点滴注入し、造影剤が膀胱に達するのを待って、腎臓・尿路系のⅩ線撮影を行なうものです。
尿路閉塞、水腎症などがわかます。それなりに有用な検査ですが、後述するCT検査の方が効率がいいため、今ではしなくなりました。

尿路結石で一番信頼できる検査は腹部CTです。
そのため症状がある患者さんの場合、レントゲン検査は省略して、病院でのCT検査をお願いすることが多いです。
超音波検査や単純X線検査では、結石が写らないこともありますが、CT検査ではこのような見落としはほとんどありません。
水腎症の有無もよくわかります。
検査後所見があれば、そのまま泌尿器科受診につなげます。

結石分析:結石が排出された方は是非当院に持ってきてください。結石の成分分析をします。
シュウ酸、尿酸など結石の検査を行うことにより、再発予防策の検討に役立てることが出来ます。

 尿路結石の主な治療 

痛みなどの症状がある場合、非ステロイド系鎮痛剤(NSAIDS)が処方されます。
一般名ロキソニン、ボルタレン坐薬などです。
効果ない場合、ペンタゾシンなどの非麻薬系鎮痛剤など注射をします。結石の種類がわかっている場合には病態に応じた薬剤を選択します。

尿路結石の治療法はいくつかあります。
結石の大きさや場所によって治療方法が異なります。また、複数の治療方法を組み合わせて治療が行われる場合もあります。
一般的には、小さな結石は自然に排石される可能性が高いので、排石を促す薬物治療を行います。
10㎜以上の大きい結石の場合には、自然排石される可能性が低いため、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や内視鏡手術が選択されます。

自然排石 尿と一緒に排石を促す治療方法です。
排石を促すための薬物と場合によっては、痛みを緩和する薬物治療も同時に行われます。

体外衝撃波砕石術(ESWL)体の外から衝撃波を当て結石を割る治療です。
砕かれた石は尿と一緒に排石させます。

経尿道的尿管砕石術(TUL)内視鏡を使用した治療方法です。
尿道から細い内視鏡を入れて尿管または腎臓の結石をレーザなどの砕石装置で砕石します。
破砕された結石片は、手術中に体外に取り出すことができます。
使用される内視鏡は、硬性内視鏡か軟性内視鏡のいずれかで、治療部位により選択されます。
治療効果の高い手術として近年増加しています

経皮的腎・尿管砕石術(PNL)内視鏡を使用した治療方法です。
背中に小さな穴を開け、その穴から内視鏡を入れ、腎臓の結石を砕石、取り出す治療です。
TULとの違いは、比較的大きな腎結石に対して行われることが多い手術です。
破砕した結石片は、比較的短時間で体外に取り出すことができます。
反面、腎臓に穴をあけるので出血のリスクもあります。入院期間は、1~2 週間程度になります。

 尿路結石の予防 

無事に結石が治癒しても半数以上の方が再発します。結石の再発予防のために日常生活では水分をしっかり摂取することとバランスの良い食事が推奨されています。
水分補給は特に重要であり、1日あたり2リットルの尿量を保つようにします。
結石の成分であるシュウ酸(コーヒー、紅茶、チョコレート、ほうれん草等に多い)や尿酸(ビール、プリン体の多いもの)は控えた方がいいです。

結石分析でシュウ酸結石の場合、尿のアルカリ化が有効で、薬を処方することがあります。
また、尿酸結石の場合、尿酸は下げておいた方がいいです。
リン酸マグネシウムアンモニア結石はは炎症の産物であることが多いので、尿細菌検査の結果をみて必要であれば、抗生剤を処方します。

汗をかくこれからの季節は特に尿路結石が増えますので、皆さんもなるべく水分をとって痛みの王様に出会わないように注意してください。

尿路結石は痛みや排尿障害、血尿などにより、仕事や日常生活などに支障をきたします。
下腹部・背部痛、血尿がある場合は早めの受診をお願いします。

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

編集後記

6月4日土曜日、岸和田徳洲会病院での緩和ケア研修会にファシリテーターとして参加するため、休診します。

ゴールデンウィークは当院カレンダー通り診療します。ゴールデンウィーク中、薬が無くならないように、こちらも気をつけますが、皆様もお気をつけください。

よろしくお願いします。