ホームドクター通信
2011年 2月 No.63

◆お知らせ


つい先日新しい年を迎えたかと思ったのですが、早いものでもう2月も後半です。相撲八百長問題が発覚し大阪場所中止、独裁者失脚などのニュースがあり、今はニュージーランドの地震が紙面をにぎわせています。優秀な看護師さんが海外での活躍を夢見てニュージーランドに語学留学、被害にあわれたことは同業者として胸が痛みます。なんとか無事救助されることを祈っています。

花粉が飛び始めました。今年の花粉量は昨年よりかなり多いとのこと。花粉症の方は見た目を気にせず、マスク、眼鏡など花粉ブロックを。当院は抗アレルギー剤処方(内服だけでなく点鼻、点眼薬も処方可能)程度しかお役にたてませんが、よろしければ症状をお聞かせください。

インフルエンザはやや下火になってきました。現在は若い人たちを中心にB型インフルエンザがこの地域では蔓延しているとのこと。学級閉鎖の知らせもまだ聞きます。いつもの繰り返しになりますが、まず予防。手洗い、マスク、うがいを励行してください。咳くしゃみが出る場合は思いやりとして、咳エチケットをお忘れ無く。

インフルエンザ予防接種について
忠岡町の65 歳以上の接種は3月末までできます。1回1000 円です。その他の方の自費での接種はワクチンがある間受け付けます。ご希望の方は予約ください。価格は1回3500 円で、2回目は2500 円です。接種は予約制にしていますが、定期診察時の接種にも対応しています。詳しくは受付にお問い合わせ下さい。

公費負担の予防接種3種類が2月1日からスタート
1.子宮頸がん予防ワクチン サーバリックス
   対象者は中学1年から高校1年生の女子 3 回接種
2.インフルエンザb型ワクチン ヒブ
   生後2カ月から4歳 3回接種
3.肺炎球菌ワクチン プレベナー
   生後2カ月から4歳 3回接種
ヒブとプレベナーは初回接種が2カ月以上7ヶ月未満に接種となっています。7ヶ月を過ぎると接種パターンが変わります。ヒブ、プレベナーは3種混合ワクチンとの同時接種も可能ですが、プレベナーは発熱が多い、と聞いています。詳しくは保健センターまたは当院受付にお問い合わせください。

2月20 日、泉州国際市民マラソンに参加してきました。
完走は出来ましたが、時間が4時間31 分58 秒で制限時間の4時間30 分を超えてしまったため、インターネットホームページには掲載されません。さらに泉州マラソンでは完走しても制限時間を超えると、ゴール時のバスタオルかけもないし、完走Tシャツも支給されず参加Tシャツのみ、記録証も発行されない、といった冷遇を受けます。自分の完走時間も大会事務局に直接電話して聞きました。
しかし、これは案内にも書いてある競技事項、納得の上での参加ですので文句は言えません。あと2分、とも思いますが最後は本当に足が動かなかった。足が棒になる、というのを実感できました。まだ力不足です。
泉州マラソンには昨年は医療班で参加しました。そのとき出場したランナーから話を聞く機会があり、自分もチャレンジしてみようと考えた次第です。昨年7月に申し込み、9月からスポーツジムのトレーナーについてもらって、フォームの矯正とか筋トレ、普段のランニングについてアドバイスを受けていました。
11 月、12 月、今年の1月と月200km 走り、1月にはハーフマラソンにも一度出ました。
しかし、1月30 日に右膝を痛めてしてしまい(腸脛靭帯炎・いわゆるランナーズニー・オーバーユース、大腿の筋力が足りない、フォームが悪いなどが原因です)、2週間のトレーニング中止を余儀なくされました。その間予定していた4 〜 5 時間のゆっくり走る長距離30 〜40km ランのトレーニングができず、不安を抱えたままのスタートラインとなりました。無理せず駄目なら棄権しようと思っていましたが(松葉杖で訪問診療というのも嫌なので)、初フルマラソン、なんとか完走できてよかったです。勢いで出場してしまいましたが、あとから思えば初マラソンに泉州マラソンは選択ミスだったかな。東京マラソンの制限時間は7時間ですし、ホノルルマラソンにいたっては制限時間無しですから。そんな制限のきつくない大会を選べばよかったかな、とも思いました。でもまあ無事に済んだ事ですので。
今後は長距離ランなどを多くトレーニングに加えながら、次のフルマラソン大会にも出たいと思っています。ちなみに大阪マラソンはエントリーしましたが、かなり倍率が高くなりそうなので、出られるかどうか。
極秘で…、と思っていましたが、ばれるものですね。大会実行委員長は和田忠岡町長でしたし、忠岡町出場選手を沿道に貼りだしていたとか。終了直後下肢筋肉痛のため階段が登れませんでした。3日間くらい足が痛かったです。しかし、懲りずに来年の泉州マラソンもでたいと思っています。

◆不整脈・心房細動について

人間の心臓は安静時、1分間に50 〜 100 回 規則正しく拍動しています。
心臓の血液の流れは学校で習ったことがあると思います。全身から酸素を消費した血液が大静脈−右心房−右心室から肺動脈を通って肺に行き、肺で酸素化を受け酸素の多い血液となって肺静脈より左心房−左心室−大動脈から全身に送られます。一方で、心臓の収縮をコントロールする電気信号の経路(伝導路といいます)は小中学校では習わないとのことなのであまりなじみはないようです。
心臓の電気信号は洞結節というところで発生し、房室結節で一旦中継され、左右の心室に送られます。この信号が規則正しく発生するために心臓は規則正しく収縮しているのです。
心臓が規則正しく収縮しないこと、少なすぎる脈(徐脈)、多すぎる脈(頻脈)も含めて不整脈といいます。脈が乱れる、脈が遅い(50未満)、脈が速い(101 以上)と表現されます。ほとんどの不整脈はあまり危険のないものですが、時々放置しない方がいい不整脈があります。今回ご紹介する心房細動もそのひとつです。他には失神を引き起こす徐脈性の不整脈、心不全を引き起こす高度の頻脈性不整脈などが治療の対象になります。

不整脈の診断は一般的に心電図で行います。内科の診療所ではどこでもありますし、健診などでもお馴染みの検査かと思います。心電図では心房、心室の収縮のタイミング、電気信号がどの伝導路をたどってくるかがわかります。動悸・失神などの訴えはあるものの診察室での心電図だけでは診断できず、24 時間心電図(ホルター心電図)で初めて不整脈が診断できることもあります。
さて、心房細動という不整脈です。
最近特に増えており、患者数は全国で70 万人から80 万人といわれております。高齢になるほど増えていき、65 歳以上では5.9%、80 歳以上では約10%の有病率と推定されています。今後も増えていくことが予想されています。心房細動とは心房の筋肉が不規則・高頻度に収縮するために心房全体が小刻みに震えている状態です。電気的には心房に伝わった電気信号が心房の中でぐるぐる回り続けたり、洞結節以外からの場所で異常信号が発生したりして、心房全体が無秩序に収縮する状態です。同時に心室の動きも不規則になり、脈の乱れが起こります。特に拍動数が100〜 150 にも増えることがあり、動悸、息切れ、血圧低下などの症状が現れます。

心房細動は心臓の弁に障害のある弁膜症、高血圧、心筋症、甲状腺機能亢進症が原因になることがあります。加齢により心筋が徐々に障害されるのも原因のひとつとして考えられています。明らかな原因がわからないこともありますし、一時的な心房細動というのもあります。

心房細動がなぜ悪いのか?放置してはなぜいけないのか?
2つあります。ひとつは心不全になること。もうひとつは脳卒中の原因になること、です。心不全とは心臓の機能が落ちて、血液を十分に体内に送ることができない状態・心臓のポンプとしての働きが落ちている状態です。心房細動のために心房の収縮が十分おこらなくなり、心房の血液貯留能が落ちます。それにともなって心室が十分血液で満たされなくなるために心臓から出る血液の量が正常なときに比較して約20% 落ちると言われています。また、心房細動では心房から心室に多くの電気信号が伝わるために、心室の収縮回数が増えます。つまり頻脈になるということで、あまり頻脈が続くと心室の収縮力が低下し、十分な血液を送り出せなくなります。健康成人でも、特に心臓の病気がないひとでも一分間に130 以上の頻脈がおこると、息切れや動悸を自覚し、この頻脈の状態が数日続くと心不全になります。
また脳卒中の原因になるという問題ですが、左心房にはその先端に左心耳という出っ張りがあります。不整脈のない状態では左心耳も一緒に収縮・弛緩を繰り返しますが、心房細動になると、左心耳は十分収縮できず、血液のよどみやすい場所になります。そのよどみが続くと左心耳の中で血は固まり、いわゆる血栓が形成されます。その左心房の左心耳にできた血栓は時々流れて血流にのって全身に送られることがあります。そのとき運悪く脳の血管にその血栓が引っかかって脳の動脈が詰まる、という状況になったとき脳梗塞が起こります。心房細動の人に脳のMRI 検査を行うとほとんどの人で多発性の脳梗塞(症状が無いことがあります)が認められます。

心房細動の治療
心房細動そのものをしまおうという治療があります。原因疾患の治療(弁膜症の治療、甲状腺機能亢進症の治療など)、直接的には電気的除細動、薬物的除細動、カテーテルアブレーションがあります。電気的除細動はいわゆる電気ショックです。薬物的治療として抗不整脈剤が使用されます。最近心房細動の原因のひとつに肺静脈の周囲からでる異常電気信号が注目されています。この異常伝導路をブロックするためにカテーテルアブレーションという方法があります。心臓にカテーテルを通し、肺静脈の周囲を電気メスで焼灼する治療法で、少しずつ広まりつつあります。しかし、電気的除細動・カテーテルアブレーションは症状のない落ち着いている高齢者の方は適応にならないことが多いです。
落ち着いている無症状の心房細動の患者さんには心不全、脳梗塞の予防治療が必要です。あまりに頻脈になっている場合は心不全予防のため脈を遅くする薬を使います。レートコントロールといいます。脳梗塞の予防のためには血をサラサラにしておく必要があります。主にワルファリンという薬を使います。取扱がちょっと面倒な薬剤です。一緒にのんではいけない薬は多いし(風邪薬なども影響します)、納豆・クロレラは禁止です。また治療域が狭いので1カ月に1回はその薬剤効果を調べておく必要があります。PT-INR という検査を血液でします。当院は院内で検査しています。若年者で2.0 〜 3.0、高齢者で1.5 〜2.5 の間になるように調整します。面倒ですが、効果はあります。今ワルファリンに代わる抗凝固薬が開発中とのことで、もうすぐ使用される見通しです。PT-INR 測定から開放されるかもしれません。

もし、動悸・脈の乱れが気になるようでしたら、不整脈・心房細動のことがありますので、ご相談ください。

◆かかりつけ患者さん募集中

 最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。


◆編集後記

1月号にも書きましたが、今年はホームページを充実させて、ブログ、ツィッター、フェースブックなど駆使しながら(いつも一カ月続かない)当院からの情報を発信させていきたいと考えています。
まず手始めに当院からの情報、お知らせをメールで患者の皆様にお送りしていこうかと考えています(同じ内容をツィッターにも載せようかと)。
ご希望の方はinfo@majima-clinic.jp までメールをお送りください。
また受付でも随時、皆様のメールアドレス(携帯でもPCでも)をお伺いしていきますので、当院からのお知らせを受け取ってもいいよ、という方は是非ご登録ください。