ホームドクター通信
2011年 11月 No.72

◆お知らせ

急激に寒くなってきました。早いもので今年もあと1ヶ月と少しになりました。クリスマスの装飾が街を彩っています。今年もあっという間に終わってしまいそう
です。年々、月日がたつのが早く感じます。

10月30日(日)に第1回大阪マラソンが大阪市内で開催 されました。
午前9時の号砲を合図に大阪城公園前をスタートし、大阪市の中心部を南北に縦断するメインストリートである御堂筋や京セラドーム、通天閣などの観光名所を
巡りゴールは南港のインテックス大阪の魅力的なコースでした。
マラソンの参加者総数は約3万人、5倍以上の17万人以上の応募があったとのこと。
私は残念ながら、抽選で落選したため、出られませんでした。
それなら、と医療班に申し込んだのですが、こちらも希望者が多くて残念ながら落選しました。
終了後ニュースをみていて驚いたのはiPS細胞の京都大学山中伸弥教授が出場されていたことでした。
約20年ぶりにフルマラソンに出場した山中教授は4時間29分53秒でゴール。 「ペース配分がうまくいって良いレースができました。ベストランでした。出身地の大阪で、CiRA(iPS細胞研究所)のメンバーと共にフルマラソンを完走出来たことを嬉しく思います。次のレースに向けて良いステップになりました。これからも楽しみながら走りたいと思います。」と感想を述べられていました。

京大病院は、 疾患特異的 iPS細胞研究を進めるために iPS細胞臨床開発部を新設することを決定したというニュースもありました。
多種多様な疾患の患者さんから体細胞をご提供いただき、さまざまな疾患の iPS細胞を樹立し、薬剤や治療法の開発を目指した研究を実施していく部門です。難病の治療など、世界をリードする画期的な医学研究ができることを期待しています。

インフルエンザは現在のところ(H23.11月末)、この地域では流行はまだみられていません。
急に寒くなってきましたので、発症が危惧されるところです。
感染対策をお願いします。まず手洗い、マスク、うがい。
手についたウィルスが感染するのは意外に多いです。

インフルエンザ予防接種しています

10月1日よりインフルエンザ予防接種を行っています。
1回3500円、2回目は2500円、忠岡町在住の65歳以上の方は1000円です。
今年からWHO推奨を受けて、3歳以上13歳未満は成人量と同じ0.5mlの2回打ちに変更になっています。
13歳以上は0.5ml接種、1回または2回となっています。インフルエンザワクチンは打てば必ず発症がおさえられるというワクチンではありません。
その役割はかかりにくくすることと、かかっても免疫があるために重症化しないこと。死亡者や重症者を出来る限り減らすことが期待されています。
ワクチンの予防効果持続期間はおよそ5カ月と推定されています。ワクチンの接種を受けていても、日頃から手洗い・うがいをきちんと行い、流行時期は人ごみをさけて感染機会を減らすことはとても大事です。
逆に、咳くしゃみが出る場合は咳エチケットをお忘れ無く。外出時にはマスクを。咳くしゃみがでるときは、ティッシュで口と鼻を覆うよう気をつけてください。

肺炎双球菌のワクチンのお知らせ

65歳以上の高齢者・基礎疾患があって抵抗力が落ちている場合は肺炎の原因微生物の約半数を占める肺炎球菌のワクチンの接種も勧められます。
当院では自費7000円、予約制で肺炎球菌ワクチンを接種しています。ご希望の方は受付に申し出てください。
一回の接種で5年間は有効です。5年経過すれば再接種可能です。子宮頸がんワクチン、Hibワクチンも引き続き受け付けています。予約制です。

禁煙治療

随時受け付けています。最近は先日放映されたためしてガッテン、およびテレビコマーシャルの影響で、飲み薬を希望される方が多くなりました。

今年度年末・年始休暇のお知らせ

12月30日(金曜日)〜1月3日(火曜日)まで休診させて頂きます。
予約診察がこの期間にあたる方は診療予約、薬の処方日数など変更させていただきます。
こちらも気をつけますが、定期薬服用中の方は休み中に薬が無くなるということのないようお願いします。

御迷惑をおかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

◆アネトス通信

10月27日 大正琴の鑑賞へ出かけました。その日は小春日和で、酸素が必要な利用者様や腰痛や認知症状のある利用者様、気管切開をされ吸引が必要な利用者様など5名と散歩を楽しみながら会場まで出かけました。会場には、御家族やいつも来てくれているボランティアさん、役場の担当者の方も来られ、歌を口ずさんだり、手を叩いて喜ばれたり、楽しいひと時を過ごしました。今年の音楽会は、アネトスの関係者だけを招いてくださり、本当に贅沢な音楽会でした。 琴和会の皆さん、ありがとうございました。来年も楽しみにしています。

次月号より、アネトス通信の担当者が川上から南に代わります。

◆小麦アレルギー

最近驚いたニュースに茶のしずく石鹸問題があります。
これは「美肌効果がある」として通信販売で大ヒットした「茶のしずく石鹸」に含まれていた小麦由来成分によるアレルギー被害のニュースで約500人に健康被害がでたと報 道されているもの。
  厚生労働省によると、原因物質の可能性があるのは、茶のしずく石鹸に含まれていた保湿成分「グルパール19S」。
小麦に酸を加えた「加水分解小麦」と呼ばれる原料の一種です。

  グルパールは他の加水分解小麦と比べ分子サイズが大きいといわれています。
サイズの大きい物質のほうが免疫反応を引き起こしやすいため、利用者の皮膚などから体内に吸収された際に小麦アレルギーを誘発。
その後、パンやうどん、パスタなどの小麦製品を食べると、アレルギー症状が出るようになったとみられています。

 国民生活センターなどによると、茶のしずく石鹸によるアレルギー症状には顔や目の回 りのかぶれ・蕁麻疹といった皮膚障害のほか、全身のかゆみや呼吸困難など、重篤な症状となるケースも少なくないそうです。急性アレルギー反応(アナフィラキシー)を発症して一時意識不明になった人も複数いるとのこと。
現在はこのグルパールを除去した石鹸が販売されています。

スギ花粉に長年暴露されていたことにより、スギに対するアレルギーが突然発症することはよく知られています。また、小麦を食べていて、いままで何もなかったのに突然小麦を食べるとアレルギー反応が出現するのもわかります。シャンプーが原因なら、そのシャンプーを使ったときに皮膚症状、かゆみがでるのでしたら理解できます。
しかし今回の茶のしずく石鹸のような形で、つまり、シャンプーの小麦成分が原因で、食物の小麦アレルギーが誘発されるとはあまり知りませんでしたので、少し調べてみました。

以下リウマチアレルギーセンターの小麦加水分解物含有石鹸「茶のしずく」を使用したことにより発症する小麦アレルギーについて、を参考にして書いてみます。

すべてのタンパク質は人間にとってアレルゲンになる可能性がありますが、その中でも小麦のタンパク質はアレルゲン性の強いもののひとつと考えられています。
茶のしずく石鹸で毎日のように洗顔して、この成分、“加水分解コムギ”が少しずつではありますが目の粘膜、鼻の粘膜、顔の皮膚に付着しからだに侵入し、からだがこの成分を危険なものと判断し、外に出さねばならないと判断したために、この石鹸を使ったひとの一部は、この含有成分“加水分解コムギ”に対してアレルギー反応がでるようになりました。
そして、小麦のアレルギーが眼や鼻の粘膜や顔面の皮膚で最初に成立したものであっても、一度小麦アレルギーになってしまうとアレルギー反応は全身で起こり得ます。
結果的に一部の方は、小麦を食べた時にもアレルギー反応を起こすようになってしまいました。
石鹸やシャンプー・その他の化粧品成分に対するアレルギーで、それらを使用した後に、じんましんや皮膚炎になるという現象はこれまでもよくわかっていました。
しかしながら、このような石鹸やシャンプー・その他の化粧品成分に対するアレルギーが食物アレルギーに関係するとはよく知られていませんでした。
したがって、今回茶のしずく石鹸の中の加水分解コムギに対するアレルギーにより、小麦アレルギーを発症してしまったという現象は、これまで予想されていなかったと言ってもよいと思います。

症状の出現の仕方ですが、
石鹸使用開始後数カ月から数年して、小麦の食物アレルギーを発症する患者さんが多いです。
典型的な症状の方は食物アレルギー症状が出てくる前に、やはりまず、石鹸を使用した時に、眼のかゆみや皮膚のかゆみ・鼻炎症状が始まります。

しかし、石鹸を使用した時の症状は必ずしも強いものではなく全く自覚の無い方も少なくありません。
石鹸の使用を続けると、この石鹸使用時の症状は少しずつ悪くなっていきます。
小麦を食べた時のアレルギー症状は、患者さんによって様々ですが、眼のかゆみや眼の腫れ、顔のかゆみや顔の腫れ、鼻炎症状などの、石鹸を使用した時に出るものと同じような症状がでることが多いようです。

アレルギー症状が軽い場合は、眼や鼻、顔の症状だけのこともありますが、症状が重篤な場合は、腹痛・下痢、血圧低下、ふらつき、呼吸困難などの様々な症状( アナフィラキシー)が出現します。
小麦を食べた時に必ず症状が起こるとは限りません。
小麦を食べた後運動をしたときにのみ、食物アレルギーの症状が起こる患者さんも少なくありません。これを小麦依存性運動誘発アナフィラキシーと言います。
以上は、典型的な症状であり、必ずしもすべての患者さんがこの典型的な症状になるわけではありません。
実際、使用した人のどのくらいの割合で発症するのかは今のところ全くわかっていないそうです。

グルパールは安全性試験が十分でなかったという報道もあります。
被害者の中にはパン、ピザ、パスタ、そば、ラーメン、たこ焼き、お好み焼き.... 大好きだった食べ物は、茶のしずく石鹸によって取り上げられた。という声もあげられています。
これからも同じようなアレルギーが発見されるかもしれません。
私も人に勧められるままいろんな石鹸をためしていますので、これからはちょっと気をつけます。

とりあえず茶のしずく石鹸を使用した人は注意が必要。
血液検査で小麦に対するアレルギーがあるかないかを確かめておいてもいいかもしれません。
心当たりのある人はまたご相談ください。

実は今回は蕁麻疹について調べたことを書こうと思ったのですが、イントロで引用するはずの小麦アレルギーのメカニズムをあまり知らなかったので、調べたことを書いてみました。
蕁麻疹についてはまた機会を改めて書きます。

◆編集後記

当院からの情報、お知らせをメールで患者の皆様にお送りしようと考えています。
ご希望の方は info@majima-clinic.jp まで登録可能のメールをお送りください。
また受付でも随時、皆様のメールアドレス(携帯でもPCでも)をお伺いしていきますので、当院からのお知らせを受け取ってもいい、という方は是非ご登録ください。