2013年 12月 No.97
ホームドクター通信

◆お知らせ

年末です。本当に寒くなりました。底冷えしてます。
クリスマス気分真っ盛りの頃に書いています。
12月25日を過ぎると、一気に年越し・正月モードに入るのでしょうね。ソチオリンピックの最終選考、東京都知事選挙のニュースも気になるところです。

今年は夏は猛暑に襲われ、秋はほぼ週末ごとに台風、大雨に襲われるという異常気象でした。
皆様にとりまして、どんな一年だったでしょう。
年々、月日がたつのが早く感じます。

日本漢字能力検定協会が発表する今年の漢字は「輪」でした。
2020年夏季オリンピックの東京招致成功、プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスの日本選手権シリーズの初制覇により東北地方に歓喜の輪が作られた事、更に平成25年台風第26号による伊豆大島災害や平成25年台風第30号によるレイテ島(フィリピン)災害に対する日本各地並びに世界各国からの支援の輪が広がったことなどが理由とされています。

私について今年一年を考えてみると、今年の漢字は「災」でした。
2月にランニングイベントで転倒し、右頬部裂創(眼鏡が割れて刺さった)、10月の大阪マラソンは風邪をひいてしまったためか、レース中に喘鳴が出現。
そして11月11日の夜ランニング中にバイクに接触して、左後頭部陥没骨折、左腓骨骨折受傷。ICU入院、左腓骨骨折の手術を受けました。受傷後3週間くらいは松葉杖で歩いていました。
来年は災い転じて福となす、よう期待しています。
ランニングは趣味としておいておきたいので、時期をみて再開します。
今は夜の時間、読書したり映画などみたりして過ごすことにしています。
久しぶりにできなかった仕事にもチャレンジしてみようかという気にもなっています。

11月退院後、何回か外来受診に行きました。
外来が夜のため、夜の診療を休診にすることになり、ご迷惑をおかけしております。
自分が患者となって、外来受診するときは、本やパソコン、スマートフォンなどを持って万全の待ち時間対策をして行きます。
しかし、本を読んでいても、スマホを操作していても、やはり受付の方の所作・対応はとても気になることがわかりました。
また当院の受付にも還元していきたいと思います。
自分の受けた診察はお二人の先生とも、十分な対応、丁寧な説明をして頂きました。
これも参考にしたいと考えています。

インフルエンザ予防接種

インフルエンザ予防接種を行っています。
1回2500円、2回目は2000円、忠岡町在住の65歳以上の方は1000円です。
一昨年からWHO推奨を受けて、3歳以上13歳未満は成人量と同じ0.5mlの二回打ちを推奨しています。
13歳以上は0.5ml接種、1回または2回となっています。
インフルエンザワクチンは打てば必ず発症がおさえられるというワクチンではありません。
その役割はかかりにくくすることと、かかっても免疫があるために重症化しないこと、です。
ワクチン接種により死亡者や重症者を減らすことが期待されています。
ワクチンの予防効果持続期間はおよそ5カ月と推定されています。インフルエンザは現在のところ(H25.12月末)、この地域では流行はまだみられていません。
寒くなってきましたので、発症が危惧されるところです。
感染対策をお願いします。
マスクをせずに咳やくしゃみをすると、ウィルスが2〜3 m 飛ぶといわれ
ています。
インフルエンザウイルスは飛沫の中に大量にいて、吸い込むと感染します。
感染拡大を防ぐにはマナーの向上が必要です。そこで必要なのが以前もご紹介しましたが、咳エチケット。
以下の3か条が呼びかけられています。

咳・くしゃみの際はティッシュなどで鼻を押さえ、周りのひとから顔をそむけましょう。
使用後のティッシュは、すぐにふた付きのごみ箱に捨てましょう。
症状のある人は、マスクを正しく着用し、感染防止に努めましょう。

今年度年末・年始休暇のお知らせ
12月29日(日)-1月5日(日)まで休診させて頂きます。今年は少し長いです。
予約診察がこの期間にあたる方は診療予約、薬の処方日数など変更させていただきます。
こちらも気をつけますが、定期薬服用中の方は休み中に薬が無くなるということのないようお願いします。
御迷惑をおかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

1月8日(水)午後診察、2月6日(木)
院長外来受診のため、休診します。

◆骨粗鬆症

骨粗鬆症とは骨量が減少し、骨組織の微小構造が変化し、骨がもろくなり骨折を起こし易くなった状態です。
この様な状態は骨を作る細胞(骨芽細胞)が減り、骨を溶かす細胞(破骨細胞)が増えた時、すなわち、骨形成(骨を作る能力)と骨吸収(骨を溶かす作用)のバランスが崩れた時に起こります。その結果、ちょっとしたケガ(転倒、尻もち、布団の上げ下ろし、くしゃみをした際など)で簡単に骨折を発生します。
特に、大腿骨頚部骨折になりますと、20%前後が「寝たきり」になるといわれております。

 骨粗鬆症は閉経後の女性や老化に伴って生じる原発性骨粗鬆症がほとんどです。50歳代の女性では4人に1人が、70歳代では2人に1人が骨粗鬆症といわれ、わが国では1000万人程度(女性800万・男性200万)の骨粗鬆症の患者がいると推定されています。

 原因としてはカルシウムの摂取不足やカルシウム吸収力の低下(摂取したカルシウムを腸管から体内に取り込めない方)、女性ホルモンの減少(閉経後のホルモン分泌低下のよるもの、婦人科疾患によるホルモン分泌異常)および遺伝的因子などが考えられます。女性ホルモンは骨吸収にかかわる破骨細胞の抑制をします。閉経後女性ホルモンが少なくなると、その抑制が取れ、破骨細胞が骨を溶かす作用が強くなってしまいます。

診断・検査
大腿骨頚部骨折、腰椎圧迫骨折など骨粗鬆症による骨折の予防のためには早期診断・治療が大切です。
当院では踵骨の超音波で骨密度測定しています。必要に応じて病院でのDEXA法(レントゲン)による腰椎・大腿骨の骨密度をお願いしています。

骨密度が若い人の平均と比べて70%以下の場合を骨粗鬆症、70-80%の場合を骨量低下、と呼んでいます。70%以下の方には治療をお勧めしています。70-80%の方については更に、ネット上で FRAX WHO 骨折リスク評価ツールを使用して、将来10年間の骨折危険度を推定します。これは、年齢、性別、身長、体重、過去の骨折歴、飲酒、タバコ、ステロイド服用、関節リウマチ、二次性骨粗鬆症の有無などを勘案して、腰椎、大腿骨骨折のリスクを推定するものです。15%以上が危険域で、予防策が必要かどうかを考慮します。同時に骨代謝マーカーを測ります。いくつか種類がありますが、当院では骨形成マーカーとしてBAPを、骨吸収マーカーとしてTRACP-5b、尿中NTXを採用しています。
骨形成マーカーと骨吸収マーカーの測定により、骨の密度が低くなっている理由が主に骨吸収の亢進によるのか、骨形成の低下によるものかを推定します。
以上の検査をした上で、治療薬を考慮します。
食事療法や運動療法も骨粗しょう症の予防には欠かせません。
しかし、骨粗しょう症と診断された場合には薬が治療の中心となります。

骨粗しょう症の治療薬は、作用によって次の3種類に分けられます。

  1. 腸管からのカルシウムの吸収を促進し、体内のカルシウム量を増やす・骨吸収と骨形成のバランスをとる薬=活性型ビタミンD3製剤
  2. 骨の形成を促進する薬=活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、テリパラチド(副甲状腺ホルモン)
  3. 骨吸収を抑制する薬=女性ホルモン製剤(エストロゲン)、ビスフォスフォネート製剤、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)、カルシトニン製剤

治療に使われる主な薬を簡単に説明します。

・活性型ビタミンD3製剤

商品名:エディロール、アルファロール、等
食事で摂取したカルシウムの腸管からの吸収を増す働きがあります。また、骨形成と骨吸収のバランスも調整します。エディロールが骨折抑制効果の強い新しい薬で、最近は活性型ビタミンD3製剤の中ではよく使われています。ビスフォス製剤との併用が多く、副甲状腺ホルモン、カルシウムとの併用はしません。

・ビタミンK2製剤

商品名:グラケー
骨密度を著しく増加させませんが、骨形成を促進する作用があり骨折の予防効果が認められています。

・骨形成促進薬/テリパラチド(副甲状腺ホルモン:PTH製剤)

商品名:週一回:テリボン、毎日:フォルテオ 注射薬です。
新しい骨をつくる骨芽細胞を活性化させ、骨強度を高めます。骨密度が非常に低いなど重症の患者さんに適した薬です。ホルモンの中には骨代謝に関わっているホルモンが存在します。副甲状腺ホルモンもその一つで、骨吸収を促進することで、血中のカルシウム濃度を上げます。
つまり、骨からカルシウムを吸収して、血中に放出するわけです。
つまり、PTHが持続的に存在すると、骨吸収の亢進が骨形成を上回り、骨量が減少します。
骨からカルシウムを抜いて、骨量を減少させるPTHが何故骨粗鬆症の薬になるか私にとっては疑問でした。
しかし、PTH製剤を間欠的に投与すると骨形成が亢進し、骨吸収された分よりも多くの骨が形成されるため、骨量は増加することが実験で確認されたのでした。
副甲状腺ホルモンには「骨芽細胞を増やす作用」や「骨芽細胞の自然死抑制」などの作用もあり、間欠的な投与によりこの骨形成促進作用のみが引き出されたと考えられます。つまり、骨芽細胞の数が増えるため、骨形成が促進されます。現在、1日1回患者さんが自分で注射をする皮下注射剤と、週1回医療機関で皮下注射してもらうタイプとがあります。
骨折危険度の高い方に使用されます。
テリボンで72週、フォルテオで24カ月の注射制限があります。動物実験で長期の投与で骨腫瘍が現れることがあったためだそうです。

・女性ホルモン製剤(エストロゲン)

商品名: エストリール、ウェールナラ、ジュリナ
女性ホルモンの減少に起因した骨粗しょう症に有効です。
閉経期のさまざまな更年期症状を軽くし、骨吸収を抑制することにより併せて骨粗しょう症を治療する目的で用いられます。
一方で乳がん、卵巣がん、血栓症の副作用もあります。SERMが出たので、更年期障害の強い方にしか使いません。

・SERM(サーム:選択的エストロゲン受容体モジュレーター)

商品名:エビスタ、ビビアント
骨に対しては、エストロゲンと似た作用があり、骨密度を増加させますが、骨以外の臓器(乳房や子宮など)には影響を与えません。

・ビスフォスフォネート製剤

商品名:ボナロン、フォサマック、ベネット、アクトネル、フォルテオ、ボノテオ、リカルボン
4週に一回の点滴:ボナロン、4週に一回の注射:ボンビバ
骨吸収を抑制することにより骨形成を促し、骨密度を増やす作用があります。骨粗しょう症の治療薬の中で有効性が高い薬です。
ビスフォスフォネートは腸で吸収され、すぐに骨に届きます。そして破骨細胞に作用し、過剰な骨吸収を抑えるのです。
骨吸収がゆるやかになると、骨形成が追いついて新しい骨がきちんと埋め込まれ、骨密度の高い骨が出来上がります。ビスフォスフォネート製剤は大変いい薬なのですが、歯科治療に影響がある場合があります。
抜歯などの歯科治療の際には数カ月前から服用を中止することが多いです。更に今までは、カルシウムとビスフォス製剤が結合して失活しないよう。食道にひっかかると食道潰瘍を起こす危険性があることより、朝起きてすぐ、水で服用して、30分間は寝ないようにまた何も食べないように、という制限がありました。
そのためか、治療開始後1年で、以前はビスフォス剤の服用は毎日で、患者さんの5割近くがきちんと薬を服用出来ていないというデータがあります。少しでも患者さんが服用しやすくなるように、投与間隔や剤型に工夫が加えられた薬の開発も進められました。高齢者では錠剤が飲みにくい問題に配慮した、経口ゼリー製剤も登場しています。
数年前から週一回服用が主流となりました。最近では4週1回製剤(錠剤・点滴・静脈投与)が開発されました。
当院でも、4週に一度の受診時に静脈注射を希望する方が増えてきました。ビスフォスの内服薬は4週に一度にしても、朝起きてすぐ、その後30分寝てはいけない、食べてもいけない、というのは苦行です。
よく毎日服用していた人がいたものだと思います。
効果が同等である、というのが大前提ですが、今後は4週に一回外来受診時の注射(または点滴)が主流になると考えています。

強力な骨形成作用をもつPTH製剤、強力な骨吸収抑制作用をもつビスフォス剤。作用が違うのだから、併用したら、さぞかし効果があるだろう、と考えますが、実際の実験研究結果では、両者は相殺されてしまい、相乗効果は無いのだそうです。
なので、併用は保険診療では禁止されています。

・カルシトニン製剤(注射薬)

商品名:エルシトニン、エルカトニン等
骨吸収を抑制する注射薬ですが、強い鎮痛作用も認められています。骨粗しょう症に伴う背中や腰の痛みに対して用いられます。
6か月続けて保険治療をすることができますが、6か月以上となると自費診療になります。当院では自費では600円で注射しています。
痛みのある方が対象です。

今回は骨粗鬆症の新しい治療ということで、薬剤にフォーカスをあてたお話をしました。実は最近よく使うようになった、活性型ビタミンD3の進化系・エディロールと骨形成に効果のある副甲状腺ホルモン薬週一回注射・テリボンと、4週に一回の注射・点滴製剤のビスフォス系薬剤・ボンビバ、点滴用ボナロンを紹介したかったのです。
2-3年前と比べて、随分選択肢が増えましたし、有効性も増大しているようです。
しかし、骨粗鬆症の治療、骨折の予防については、食事療法、運動療法も大変大事です。
軽視しているわけではありません。また次の機会にロコモ対策、骨折予防のための食事療法、運動療法のお話をしてみたいと思います。

◆アネトス通信

 日ごとに寒さが増してまいりますが、いかがお過ごしでしょうか?
今月は先月お知らせしたようにアネトスで働く職員の紹介をします。
まず看護師 榎谷(えのたに)ですが、よく名前を「えのきだにさん」や「えのもとさん」など、よく間違えられているのでふりがなうってみました・・・施設長代理やサービス提供責任者を一任されていて、皆がとても頼りにしています。在宅で、ご家族様を看取った経験があるので利用者様やその家族様の気持ちに対しても配慮した関わりができます。
その分、在宅に対しては熱いものがあるような気がします・・・・
ヘルパーの松尾は、利用者様、スタッフを笑顔にする巧みな話術を持っています。
口下手の私にはちょっとまねできません・・・開設時から勤務する唯一の人物で利用者様にも思い入れが強く,利用者様のアネトスでの様子を写真に撮りボランティアでDVDを作成していました。また、ガン末期の利用者様が、安心して子どもさんの小学校卒業式に参加できるようにと「サービス利用日を卒業式の日に振替えし、職員付き添いで出席してもらおう!!」など・・・あっと驚くことを提案し実行してきています・・もちろん利用者様は子ども様の卒業式を最後まで見ることができました。私もお供としてスーツでばっちり?きめて出席したのですが、必死に子供さんを探し写真を撮っている利用者様の母親としての姿を目の当りにして、看護師としてではなく同じ小学生の子どもをもつ親の一人として胸が熱くなりました・・・とても貴重な時間を過ごすことができました。
運転手兼ヘルパーの松田は、今年の10月から勤務する期待の星です。仕事の覚えも早く、
車はいつも整理整頓されています。事務長(真嶋医院とアネトス兼任の・・知ってますか??)に似てきっちりしています。なかなかのイケメンで女性の利用者様に人気があります!!
最後に看護師小野です 昨年、勤務していた病院を退職しその年の8月にアネトスに就職しました。以前、訪問看護師を少し経験していましたが、いざ在宅に戻るとカルチャーショックに陥りました・・・それでも看護に対する気持ちは同じで、利用者様に対して思いやりのある看護ができるように努めていきたいと思っています。
長くなりましたが職員の紹介でした。
以上のメンバーで利用者様をお待ちしていま〜す!!

◆編集後記

今年度年末・年始休暇のお知らせ

12月30日(月曜日)〜1月4日(土曜日)まで休診させて頂きます。
1月6日(月)より通常診療いたします。

今回は例年に比べ、少し長めになっています。
診察予約がこの期間にあたる方は診療予約、薬の処方日数など変更させていただきます。
こちらも気をつけますが、定期薬服用中の方は休み中に薬が無くなるということのないようお願いします。
御迷惑をおかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いします。